東京の林業を学ぶ| 学ぶ・働く|とうきょうの恵みTOKYO GROWN

東京の林業を学ぶ

東京の林業を学ぼう!

都会という印象が強い東京ですが、西多摩エリアを中心に都の総面積の約4割は森林が占めています。まずは林業とは何かということから、森林のはたらき、森林認証制度など、林業により親しんでいただけるよう、「林業の基本」を分かりやすくご紹介します。

林業とは?

林業においては、伐採、植え付け、手入れという森林循環を促進すること、そして木材を利用することが大切です。その森林循環についてイラストでご紹介します。

森林のはたらきとは?

東京都の総面積の約4割を占める森林は、約1300万人の都民の暮らし重要な関わりを持っており、水・大気・景観・静けさなど都市の快適環境を育む源泉として、ますます、その存在価値を高めています。私たちのくらしにも大いに役立っている森林のはたらきについて、ご紹介します。

天然の空気清浄機

世界中で問題になっている地球温暖化の主な原因は、人間の生活から出る二酸化炭素(CO2)です。森は光合成によりCO2を吸って酸素を出します。そのため、森を育てることは、CO2の減少につながり、地球温暖化防止に役立ちます。

天然の空気清浄機イメージ

天然の浄水器

森が蓄えた水は、ミネラルなどをたっぷり含んだおいしい水になります。

天然の浄水器イメージ

天然のクーラー

木の葉が日差しをさえぎってくれるだけでなく、森が蓄えた水が木々の葉から蒸発することによって周りの気温を下げてくれます。

天然のクーラーイメージ

みんなの防波堤

木は土の中にたくさんの根をはりめぐらせています。雨が降っても、森の木々の根や土がスポンジのように雨水を吸収し、一度に雨水が流れ出すのを防いでくれます。そのおかげで、私たちのまちは水浸たしにならずにすんでいるのです。

みんなの防波堤イメージ

生き物たちのすみか

さまざまな植物が茂った森は、食べ物が豊富で、動物が安心してすめる場所になっています。

生き物たちのすみかイメージ

人間の憩いの場

おいしい空気・水にあふれる森は、訪れた人をほっとさせ、癒やしてくれます。山歩きを楽しんだり、キャンプをしたり、いろいろな楽しみ方ができます。

人間の憩いの場イメージ

森林認証制度

森林認証制度とは、独立した第三者機関が環境・経済・社会の3つの側面から一定の基準をもとに適切な森林経営が行われている森林または経営組織などを認証し、その森林から生産され木材・木材製品にラベルを付けて流通させることで、持続可能性に配慮した木材についての消費者の選択的な購買を通じて、持続可能な森林経営を支援する民間主体の取組です。

しくみ
ラベリングした木材・木材製品の流通のために、流通に関わる者は消費者の手元に届くまでの各段階において、認証された森林からの木材・木材製品をそれ以外のものとは区別して取り扱う体制になっていることを認証されること(Chain of Custody認証:CoC認証)が必要です。
森林認証制度の歴史
1993年に自然保護団体を中心にドイツで創設されたFSC(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)と1999年に欧州で始まったPEFC(Programme for the Endorsement of Forest Certification Schemes:PEFC評議会)の二つの制度が国際的に普及しています。また、2003年にスタートした日本のSGEC(『緑の循環』認証会議:人工林が多く、小規模・零細な所有が多い日本の実情に対応)など、国ごとに開発された制度もあります。
森林管理認証のための主な基準・指標
持続可能な森林経営を行っている森林かどうかの基準・指標は、制度ごとに異なる部分がありますが、共通する項目として以下のものが挙げられます。
  • 1.合法性、政策、制度枠組への遵守
  • 2.森林の生産力の維持・向上
  • 3.森林の環境便益の維持・向上
  • 4.生物多様性の維持・向上
  • 5.社会経済機能の維持・向上

主な森林認証制度

FSC
環境団体、林業者、木材取引企業、先住民団体、地域林業組合などの代表者から構成される団体で、1993年にWWF(世界自然保護基金)を中心に設立。森林認証制度の運用主体の草分け的存在。環境影響や地域社会、先住民族の権利などを含む10原則56基準に沿って、FSCが認定した認証機関が審査を実施。
【森林管理認証面積】
全世界:1億9500万ha、国内:39万ha、東京:756ha
【CoC認証件数】
国内:1103件

PEFC
欧州11カ国の林業団体が、各国の制度を相互承認する組織として1999年に設立。個別の森林管理についてPEFCが直接認証するのではなく、149カ国が集まって策定された「政府間プロセス」という基準を採用しているPEFCの規格要求を満たしているとPEFCが認めた場合、その国独自の森林認証制度をPEFCが承認する制度。
【森林管理認証面積】
全世界:3億3300万ha(国内:151万8195ha、東京:994ha※SGEC分)
【CoC認証件数】
国内:635件(内、446件SGEC分)

SGEC
国際的な認証であるFSCが浸透するにつれ、人工林のウエイトが高いことや零細な森林所有者が多いことなど日本の森林状況に合った独自の認証制度への要望が高まり、2003年に誕生した日本独自の認証制度。7つある基準では、特に生物多様性と水土保全を中心に、森林経営計画制度を活用した効率的な審査。SGECが国際認証制度として発展するために、2014年にPEFCへ加盟し、2016年6月3日に相互承認が認められた結果、現在SGEC認証を取得した事業者は、SGEC認証材を使用した製品にPEFCのラベルを貼ることが可能。
【森林管理認証面積】
国内:151万8195ha、東京:994ha
【CoC認証件数】
国内:446件

林業Q&A

東京にはどれくらいの森林があるのか、森林の持ち主は誰なのかなど、東京の林業に関する5つの素朴な疑問に答えます。

Q

東京の森林ってどのくらいの広さがあるの?

A

東京の森林面積は、7万8567ha(多摩エリア5万 2872ha・伊豆諸島2万5695ha)で、都の総面積(21万9090ha)の約4割を占めています。森林の約7割は多摩西部に偏在しています。

Q

東京の森林って誰のものなの?

A

森林には国が所有する国有林と、都道府県や市町村 が所有する公有林、個人や企業が所有する私有林があります。また、公有林と私有林をまとめて民有林と いいます。東京の森林の約1割が国有林で、八王子の 高尾山と伊豆諸島、小笠原諸島の一部にあります。多摩の森林では私有林が約3/4を占めています。

Q

人工林と天然林の違いって?

A

主に木材にするために、人が苗木を植えて育てている森林を人工林、自然に発芽し育った森林を天然林といいます。人工林のほとんどが、成長の早く、建築材料として優れているスギやヒノキなどの針葉樹で、多摩エリアの森林では、全体の約6割を人工林が占めます。一方、伊豆諸島・小笠原諸島においては、人工林は約1割で大半が天然林です。

Q

木にはどんな種類があるの?

A

森林を構成する樹木は、主に気温と降水量により異なってきます。
東京で気温が低い、最高峰・雲取山(2017m)周辺では、カラマツやダケカンバなど落葉樹とともにコメツなどの亜高山性の針葉樹林を見ることができます。また、標高1200mをこえる檜原都民の森周辺には、ブナ、ミズナラ、ケヤキ、トチノキなどの落葉広葉樹林 見られます。さらに、標高700〜800mより低くなってくると、スギ・ヒノキ等の針葉樹人工林が多く見られます。この多摩川中流域の山地では、土壌が肥沃で 林木の生長に適しているため、江戸・東京の旺盛な木 材需要に応える形で、古くから「青梅林業地」として林業が続けられてきました。さらに、標高300mより低い多摩丘陵では、古くから主に薪炭の生産を中心に里山の管理がなされた結果、クヌギ・コナラなどが繰り返し伐採され、切り株からのひこばえにより雑木林が形成されていましたが、高度経済成長時代に多くが開発されました。
一方、都心部でも例えば、明治神宮の森は大正4年(1915)に造営され、現在自然に近い照葉樹林を見ることができます。伊豆諸島では、タブノキ、スダジイ、ヤブツバキ、ツゲ、ハチジョウグワ、オオシマザクラなどの照葉樹林や巨樹を見ることができます。さらに南にある小笠原諸島の亜熱帯性の森林では、オガサワラワ、シマホルトノキ、ウドノキ、ムニンヒメツバキ、コガシ、オガサワラビロウ、タコノキなどの希少性の高い固有種が多く見られる一方、外来種アカギの進入が著しくなっています。

御蔵島のスジダイの巨木
多摩丘陵の雑木林
Q

スギ花粉対策として何をしているの?

A

戦後の拡大造林政策により植えられたスギの多くは 、その後の木材価格の低迷により、伐採されることなく林齢を重ね、近年、スギ花粉による花粉患者の増加が大きな社会問題になっています。スギ花粉の飛散を削減するため、東京ではスギ林の伐採と花粉の少ないスギへの等への植え替えを行っています。花粉の少ないスギは、林木育種センターの検定を受けて登録された品種で、花粉飛散量は普通のスギの約1/100〜1/10に抑えられます。

スギの主伐事業