江戸川の細川流「投網」の文化を未来に伝える 小島智彦さん|THE 東京仕事人(水産業編)|特集|とうきょうの恵みTOKYO GROWN

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THE 東京仕事人

水産業編2017/06/30 UP

江戸川の細川流「投網」の文化を未来に伝える 小島智彦さん

江戸時代から伝わる伝統漁法「投網」

Profile:
江戸川投網保存会会長

小島智彦さん

「俺は江戸川生まれの、江戸川育ち。というか川育ち。子どもの頃の遊び場といえば川だったからね。暗くなるまで魚を捕まえるのに夢中になって、よくお袋に叱られたよ」と語るのは小島智彦さん、59歳。船宿「あみ武」のご主人であり、江戸川投網保存会会長です。江戸川の汽水域(淡水と海水が混在する水域)では江戸時代から投網漁が盛んで、獲った魚をその場で調理してお客をもてなす粋な船遊びが昭和30年代まで続いていました。獲物はスズキやボラ、クロダイ、サクラマス、ハゼなど。この地に伝わる投網は細川流「本振り」とよばれ、半径4尋(約6m)の網を体を回転させるように投げるスタイルです。「うまく遠心力を使わなきゃ網は広がらない。ハンマー投げの室伏広治さんが練習に投網を取り入れたってのも納得だね」と小島さん。

伝統文化を守るために立ち上がった船宿の若手たち

平成に入ると、大型の屋形船の登場や湾岸の埋め立て工事の影響などで、魚の数が減ってゆきました。それに伴い、長い伝統を誇る投網漁の火は消えかかり、網を投げられる人はわずかとなりました。江戸川流域には「あみ武」のように屋号に「あみ」の文字が付いた船宿が多く、これはかつて投網を生業としていた名残ですが、船宿のご主人でも網が投げられない人が増えていったそう。そこで2001年、投網漁という伝統文化を守り継承するために、小島さんたち船宿の若手が立ち上がり、江戸川投網保存会を発足。「先祖が残してくれた文化を俺たちで絶やしちゃならない。だいたい、“あみ”という屋号を付けた船宿の人間が網を打てねえなんて格好悪いでしょ。」

保存会会員の晴れ舞台「お江戸投網まつり」

江戸川投網保存会には60名以上が在籍し、月に1度公園などで網打ちの練習をしています。会員には、なんとサラリーマンや女性も数多く在籍。彼らは、伝統文化に憧れ、会員となったそうです。2002年からは「お江戸投網まつり」もスタート、今ではGWの恒例行事になっていて、各船からいっせいに網を打つ「寄せ打ち」は祭りの華。小脇に抱えた大きな網を、まるで花火のように開かせる妙技は圧巻です。船房を営む人以外の会員も祭りに参加し、「投網」文化の継承を担う一員になっています。昔とは、形を変えながらも技が受け継がれているのです。「お江戸投網まつり」では見学船に乗って勇壮な投網を間近に目にすることができます。船上では刺身や天ぷらなどの料理も味わえ、獲れた魚をその場でいただくこともでき、昭和までの船遊びさながら。また、祭りの日以外にも「あみ武」をはじめ江戸屋形船組合の10事業所の屋形船に昼間に乗船すると、天候や潮目の条件によりますが、投網パフォーマンスを見学することもできます。ぜひ足を運んで江戸の文化を体感してみてください。
過去の「お江戸投網まつり」の様子はこちら

小島さんの営む屋形船はこちらです

船宿 あみ武
(ふなやど あみたけ)

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