“受難と情熱の味”三宅島パッションフルーツ 前田洋一さん|THE 東京仕事人(農業編)|特集|とうきょうの恵みTOKYO GROWN

Translate

THE 東京仕事人

農業編2017/08/31 UP

“受難と情熱の味”三宅島パッションフルーツ 前田洋一さん

“三宅島パッション”で農業復興

Profile:三宅島パッションフルーツ生産部会会長

前田洋一さん

4年半に及ぶ全島避難をもたらした2000年の雄山噴火は、三宅島の農業に壊滅的な打撃を与えました。災害復興事業で農地は回復されたものの、問題は火山ガス。そこに活路を開いたのがパッションフルーツでした。「以前の主要作物は火山ガスに弱かったんです。そこで導入されたのがこの果実でした」と三宅島パッションフルーツ生産部会の会長で、東山農園の前田洋一さん。部会に属する農家は現在8軒。連携してグループ単位で出荷に取り組んでいます。「月1回定例部会を開いて、生産技術や販路など情報交換をしています。漁業のイメージが強い伊豆諸島ですが、農業にも目を向けていただきたい。私たちが自信を持っているパッションフルーツの味が、そのきっかけの一つになればと思っています。」

暑さに弱いトロピカルフルーツ!?

パッションフルーツの花が咲くのは3月。手作業で受粉を行い、5月には輝くような緑色の実がつき始めます。その後は美しく色づかせるため、木漏れ日程度の光が実に当たるよう枝や脇芽を摘んで、目配り手配りを欠かしません。「完熟して落ちたものを出荷します。以前は一面にネットを張って一気に集めていましたが、これだと実の表面に傷がつきやすかったんです。そこで個々にネットをつけるようにしたところ、手はかかりますが、飛躍的にきれいな状態で出荷できるようになりました。」収穫の最盛期である6月~8月には翌年の苗作りも始めます。挿し木で苗を育て、11月に定植。冬を越し、翌年の3月ぐらいからまた花が咲き出します。最も気を遣うのはどこですか、の問いには意外な答えが返ってきました! 「暑さです。南国のフルーツなのに高温に弱いんです。適温は15~30度。逆に寒さには強いので三宅島では冬越しができるんですね。」

生産者直伝。よりおいしく味わうコツ

島で作っているのは主に台農1号という品種です。「糖度17度前後、pH2.8~3、レモンぐらいの酸っぱさです。ただ甘いより、ほどよい酸味がコクを生むんです。」表面に皺が寄るまで2、3週間常温で置いておくのもおいしく食べるコツで、酸度がほどよく抜け、味がより深くなるそうです(写真左が収穫したてのもの。右が2~3週間置いておいたもの)。それに、その間は甘い香りが部屋中に漂って楽しめるのだから、スグレモノです。パッションフルーツの名は、花の中心部がクロスのようで、キリストの受難(パッション)を思わせることから名づけられたそうです。そして、この言葉のもう一つの意味は、そう、情熱です。前田さんが手塩にかけた実を一つ割り、スプーンで口に運んでみました。艶やかな舌触りとともに華やかに広がる香り。それは甘さと酸味、受難とそこから立ち上がる情熱が生み出す、たとえようもなく芳醇な味わいでした。三宅島パッションフルーツは島内のいきいきお魚センターと農業振興会、錆ヶ浜港にある三宅島観光協会の売店で購入できます。

パッションフルーツはこちらで購入できます

いきいきお魚センター
(いきいきおさかなせんたー)

詳しくはこちら