東京の農林水産総合サイト

Translate

THE 東京仕事人

水産業編2017/09/15 UP

「テングサの島」復活に向けて 梅田寛己さん

最高品質のテングサを素潜りで刈り取る

Profile:三宅島漁業協同組合 採介藻部会

梅田寛己さん

低カロリーで食物繊維豊富な寒天。その原料となるのがテングサです。全国各地で獲れますが、伊豆諸島産のものはコシや粘りが強く、最高品質といわれています。なかでも三宅島は、かつて「テングサの島」といわれたほどでしたが、2000年の雄山噴火後、漁獲高は激減。今回はそんな三宅島のテングサ漁の今を、若手のホープ・梅田寛己さんに伺いました。現在、三宅島で獲れるテングサはアラメ(オオブサ)やアシブト(オニグサ)など。「以前は坪田地区の三池浜で、水深20mぐらいに生えるマクサをフーカー(潜水器具)で獲るのが主流でしたが、噴火後はマクサがほとんど無くなっちゃった。今は水深3m位までの浅い所にあるアラメを、主に素潜りで獲ってます。」 漁期は5~10月。腰に網袋状のスカリを着けて潜り、スカリが一杯になると水面に浮かせたタンポ(磯樽)に結び、再び潜って……を繰り返します。「スカリ10~12個で出荷の単位1本(乾燥させて30㎏)。時期や潮によって違いますが、口開け(解禁)の頃なら1日で1本というところでしょうか。」

沖で命をかけ、陸(おか)で手をかけ

水揚げしただけでは終わらないのがテングサ漁です。そのまま干し上げて褐色の状態で出荷する島もありますが、三宅島では天日に干した後、水洗いをして塩分を抜き、再び天日に干します。手間はかかりますが、こうすることで白くさらされ、ところてんにしたときに艶が出るのだそうです。「雨が降ると色ムラが出るから、けっこう気を遣うんですよ」と干場を見回ります。さらしたテングサはユタンとよばれる帆布でくるんで漁協の作業場へ。選別機で異物を粗く除いた後は、さらに手作業で細かくチェック。特に石灰質のカキ(岩への着生部)は金槌で砕いたり、はさみで切り取ったりと、丁寧に取り除きます。ここまではひとり仕事ですが、最終段階では仲間と共同で圧縮作業をし、「三宅産テングサ」ブランドとして出荷します。

スカリを着けたファーストペンギン

梅田さんは三宅島生まれ。海に鍛え抜かれた体つきですが、意外なことに両親とも公務員で、テングサは見たこともなかったそう。大学を出て23区内で就職が決まったちょうどその時に噴火が起きました。居住制限の解除と共に島に戻って復興作業にも携わるスーパーに就職し、3年前に漁師に転身しました。「冬から春はイセエビ漁に集中していて、夏は何をしようかって時に、テングサの話を聞いて、やってみよう、と。」3年が過ぎた感想を尋ねると「代々の漁師じゃないから、占場(慣習的な自分の漁場)もないし、道具など初期投資もタイへン。」けれど獲るところから製品にするまで全てに関わり、手塩にかけるのはとても楽しいそう。「それに僕、泳ぐの好きだし」と笑います。今後の課題は、海の復興と若手の育成です。「海の復興はまだ未知数ですが、人の方は〝やれば何とかなる″。例えば、脱サラした僕が何らかの形で成功すれば、とりあえずの例になるじゃないですか。」リスクをとって最初に海に飛び込む勇気のある人のことをファーストペンギンというそうです。日焼けしたファーストペンギンが、島の真っ青な海を今日も泳いでいます。

三宅島のテングサはこちらで購入できます

いきいきお魚センター
(いきいきおさかなせんたー)

詳しくはこちら

三宅島のテングサはこちらで味わえます

ギャラリーカフェ・カノン
(ぎゃらりーかふぇ・かのん)

詳しくはこちら