森林施業プランナーという仕事

森林施業プランナーという仕事

東京都の総面積の約4割を占める森林。その森林の約7割が、個人が所有する私有林ですが、現在、その多くが手入れの行き届いていない状態になっています。大きな理由の一つは木材価格の下落。木を伐採して出荷しても利益が出ないこともあるのが実情です。また、山は保有しているものの、所有面積が小さく、林業経営をしていない所有者がほとんどだということも、適切な間伐がされず放置されている森林の増加につながっています。間伐されない森は、健全な木が育ちにくく、天災などにも弱いといわれており、間伐の推進は全国的な課題となっています。
その間伐の推進を担い、森林所有者に代わって森林整備を行うことのできるのが森林組合です。東京都森林組合檜原事業所長の竹内希美重さんは、森林施業プランナーとして活躍しています。
「森林施業プランナー」聞きなれない言葉ですが、竹内希美重さんは東京都でただ一人の「森林施業プランナー」資格保有者です。主な仕事は、小規模森林を集約して、低コストで間伐などが行えるようにプランニングすること。「そう言っても、山の仕事のことは一般の人にはイメージしにくいですよね」と竹内さん。「間伐するためには、そこまで機械を運んだり、丸太を搬出したりするための作業道も必要です。間伐する面積などによって補助金の金額も違ってきますので、作業道を作り、間伐し、丸太を出荷するまでにかかるコストと補助金を相殺したら手元にいくら残るかなど、収支を明らかにした見積もりを提案しています」とわかりやすく説明してくれました。
「山主さんに相談された時、制度や補助金などについて理解していないと、最善の提案ができません。ですから毎日が勉強です」と語る竹内さん。そんな竹内さんを癒してくれるのは7匹の猫たち。仕事の疲れも猫たちと遊んでいると吹き飛ぶそうです。

製材所や運河の筏(いかだ)は日常的な光景だった!

竹内さんが生まれ育ったのは江東区の木場。「近くには製材所が何軒かありました。家の前に運河があって、船が筏を引いている風景を日常的に目にしていましたね。でも、あれは外材だったんだろうな、多摩産材じゃなくて」と笑う竹内さん。しかし、その頃はまさか自分が山の中で仕事をするなんて思いもしなかったそうです。

製材所や運河の筏(いかだ)は日常的な光景だった!

山主さんたちに育ててもらいました

大学では林業について学んでいた竹内さん。山の仕事がしたくて、森林組合に就職しました。新人の頃は、森林所有者と接するなど慣れないことも多く、戸惑いもあったそうです。また「女性が山に入るのか?大丈夫なのか?」と、不安がられたことが悲しかったといいます。しかし、地道な努力を重ね今では信頼を獲得。「今思えば、山主さんたちに育ててもらったんだな、と思います。」

山主さんたちに育ててもらいました

森林施業プランナー(東京都森林組合)

竹内 希美重さん/TAKEUCHI Kimie

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