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Tokyo one day trip VOL.19 魚介フレンチのシェフと江戸東京野菜の出合いから生まれる世界 Tokyo one day trip VOL.19 魚介フレンチのシェフと江戸東京野菜の出合いから生まれる世界

TOKYO GROWNのページでも、度々ご紹介している“江戸東京野菜”。
江戸時代から昭和にかけて、東京で作られてきた伝統的な野菜です。東京の食を支えてきた食材たちは、今では希少なものとなっていますが、普及活動のおかげで少しずつ触れる機会も増えてきました。
そこで江戸東京野菜を使ったことのないシェフにお願いして、江戸東京野菜の新たな魅力を発見する新企画!
今回は、代官山の魚介フレンチ「abysse(アビス)」の目黒 浩太郎シェフに江戸東京野菜をお届けして、シェフの視点で江戸東京野菜の魅力を掘り起こしていただきましょう。

CHEF/シェフ紹介 目黒 浩太郎 (abysee) CHEF/シェフ紹介 目黒 浩太郎 (abysee)

1985年 神奈川県生まれ。
ル プティニース パセダ 、カンテサンスなど、3つ星レストランでの修行を経て、2015年 南青山に abysse をオープンした、魚介フレンチのスペシャリストです。2019年に移転した代官山の店舗で、初の江戸東京野菜料理に挑みます。

01 旬の江戸東京野菜がずらり

数ある江戸東京野菜の中から、旬にあわせてシェフのもとに届けられた野菜たちのラインナップはこんな感じです。
おいねのつる芋、谷中ショウガ、寺島ナス、滝野川ゴボウ、内藤トウガラシ、内藤かぼちゃ、足立のつまもの(ツル菜、むらめ)などなど、普段目にするものとは色や形が違ったり、見ていて楽しくなるラインナップ!野菜と一緒に、奥多摩やまめも並んでいます。ファーストインプレッションはいかがですか?
「見たことのないような形のものがあって面白いですね。かぼちゃとか、見るからにいつも使っているものと違う。ツル菜やむらめなどは使いやすそうですね。川魚も、普段はあまり使っていないので興味深いです。脂がしっかりのっていていい感じですね。滝野川ゴボウも、味が濃そうな印象で気になります」(目黒シェフ)。
普段から、魚と同じくらい野菜選びにもこだわっているという目黒シェフ。「料理を仕上げるのに大切な要素ですからね。一番大事にしているのは季節感。野菜は季節を表現しやすいし、常に旬のものを使いたいと思っています」。

02 シェフと生産者の出会いはゴボウ畑で

届いた江戸東京野菜の中から、今回使う野菜を「滝野川ゴボウ」に決定した目黒シェフ。今回は、産地もシェフに見ていただこうということで、一緒に畑へ! 「店で使っている野菜も、ほとんど全部、一度は産地を訪れているんです。やはり実際にどんな風に育てられているのかは気になります。どんな環境で、どんな愛情をもって育てられているのか理解したうえで調理したいなと思います」。
いろいろな畑を訪れた経験はあるものの、ゴボウの畑は初めて見るそう。まずは、掘り起こすその深さに驚きます。「ゴボウを掘る時は、1m以上の深さを掘りますね。出荷の袋が90㎝なんですが、滝野川ゴボウはそれをはみ出る程の長さになります」と話すのは、今回滝野川ゴボウの畑を見学させてくれた岸野農園の岸野 昌さん。実際に、掘る作業を見せてくれました。「スコップと、ゴボウ掘り棒を使って掘り出していきます。細いものは簡単にするっと抜けるのですが、太いものは丁寧に脇芽を切りながら、折らないように慎重に掘り出します。春に種を蒔いて、他の土地だと10月くらいから収穫なんですけど、うちは8月には収穫出来るくらいになる。生育が少し早いんです。自分では、気候と土質によって育成が早くなるんじゃないかと感じています。下の方が赤土なんですが、赤土は雑菌もないので、ゴボウの肌がきれいな気がしますね。赤土は、肥料を吸いやすく、保水力もある。そういう土の力も、ゴボウの質をよくしてくれている気がするんです」(岸野さん)。

03 畑で受けたインスピレーションを形に

実際に、ゴボウの収穫を見ていかがでしたか?
「ヒントも得られるし、インスピレーションも広がりますね。ゴボウを収穫しているところは初めて見たんですけど、土が柔らかいんだなあと思いました。また岸野さんから、採れたてのゴボウの香りが違うと伺って実際に香りを嗅がせてもらったんです。そういう経験をすると、この香りを生かしたメニューにしたいな、といった発想が浮かびますね。産地を見る前からすでに、こういうメニューにしようというイメージは出来ていたんですが、そのイメージ通りに自分が思ったものが作れそうだし、さらにそこにプラスアルファできるものもありそうな気がします」(目黒シェフ)。
生産者の岸野さんによると、滝野川ゴボウの特徴のひとつは香り。「いろいろな表現ができると思いますが、まさに“土の香り”だと思うんです。日本人だと、松茸の香りに近いというとイメージしやすいでしょうか? 本当にいい香りです。一般的なゴボウよりも、すこし柔らかめではありますが歯ごたえもあります。普通ならきんぴらにするのがおすすめなんですが、今回は、シェフが新しいメニューにしてくれるということで、私もとても楽しみにしています」(岸野さん)。
こうして実際に産地を見て、生産者の話を聞いて、シェフがキーワードとして選んだのは“土”。
「土が重要っていうことを改めて強く感じました。そのポイントを料理にも面白く使えたらいいですね。ゴボウって、よく土がついてるじゃないですか。買ってくると、実際に土の香りがする。そのイメージを活かして、土のスープにしたいなと思います」(目黒シェフ)。
土のスープ!? 一体どんなメニューが出来上がるのでしょうか。

04 ゴボウ界でも最高峰のおしゃれメニュー誕生!

「普段は魚がメインですが、今回はゴボウが主役のお料理。とはいえ、当店は魚介をメインにしたフレンチレストランなので、魚介と野菜を組み合わせた一皿にしたいと思います」(目黒シェフ)。
そこでシェフが取り出したのは、自家製の海藻バター。このバターでゴボウをソテーして、海のエッセンスを加えるのだそうです。「そのままだとゴボウがまだちょっと固いので、ソテーする前に油で煮ます。火を入れて柔らかくしてから、魚介の要素を足していきます。少量の油で済むように、油とゴボウを真空パックに入れたものを湯せんにかけるんです。今回は、ここにホワイトバルサミコ酢も加えます。ゴボウって酢水に漬けて変色を止めたりしますが、その効果も狙いつつ、甘みと酸味のバランスをとっていきます」。
1時間ほど熱を加えたゴボウは、ピクルスのような味わいでほどよいシャキシャキの食感に! 断面もきれいな色をキープしています。ゴボウと磯の香りが厨房に広がります。
ここで、シェフが土のイメージをトッピング! 「塩味のヘーゼルナッツのクランプ(細かく砕いたクッキー)です。そこにマリーゴールドの葉を散らします。ゴボウの下にはパセリのマヨネーズ。器の中に畑を再現してみました」。
ゴボウの香りと磯の香りのどちらも感じられるという不思議な世界。皿の上で、畑と海が見事にコラボしています。ゴボウがもちろん主役なんですが、いろいろな味わいや食感が味わえてビックリ。しかも、ゴボウがこんなにおしゃれになるなんてビックリです。
「メニュー名は特にないんですが……あえて呼ぶなら“海藻のバターでソテーした滝野川ゴボウ。それと塩味のヘーゼルナッツのクランプ”でしょうか(笑)。白ワインに合うと思いますよ。今回は、江戸東京野菜を初めて使って、新しい発見がありました。生産者の方とも触れ合えてよい経験もできたし。今後も、自分の引き出しを増やしていろいろな料理にチャレンジしていきたいです。滝野川ゴボウも、今後は店でも使っていきたいですね」。
RESTAURANT情報RESTAURANT情報

abysse(アビス)

電話050-5597-8280
住所東京都渋谷区恵比寿西1-30-12 EBISU-HILLS 1F
営業時間18:00~20:30(L.O)※土・日・祝はランチ営業あり12:00~13:00(L.O)
休み水曜

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次回もお楽しみに!!

今回のTokyo one day trip
江戸東京野菜でネオグルメ!
魚介フレンチスペシャリスト×滝野川ゴボウ

ゴボウはもともと好きだったんですけど、こういう食べ方は初めてでした!新しいゴボウの魅力発見です。ハーブっぽい爽やかさもあって、いろいろな味わいが融合して口の中に広がります。食べる部分によっても、また違う味わいが感じられて、一皿なのに楽しみがたくさんある感じ。江戸東京野菜って、まだまだ食べる機会も少ないですが、こうやってシェフがいろいろな新たな魅力を引き出してくれると、もっといろいろ食べたくなるし、江戸東京野菜を知りたくなりますね!

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