農産物の国際基準GLOBALG.A.P. (グローバルギャップ)を取得
農業現場では、「GAP(ギャップ)」(GoodAgricultualPractice:農業生産工程管理)という、農業において食品安全・環境保全・労働安全等の持続可能性を確保するための取組が広まりつつあります。GAPの取組にはいくつかの認証制度がありますが、その中にはマークを表示できるものもあるので、購入された野菜にGAPのマークがついているのを見かけたことがあるかもしれません。
矢ヶ崎さんは、GAPの国際基準であるGLOBAL.G.A.P. (以下:グローバルGAP)と、製品に認証農場マークをつけることができる ASIAGAPの2つのGAP認証を受けました。
「きっかけは量販店のバイヤーさんから『グローバルGAPをやらないか?』と言われたことです。調べてみると、東京都も都内の生産者のGAP取得に力を入れていて色々助けてくれるみたいだし、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの選手村で使う野菜は、“グローバルGAP”などの認証を受けたものが求められると聞きました。ちょうど自分の経営を見直したいという気持ちもあったので、挑戦してみようと思いました」
しかし認証を受けるまでの道のりは生半可なものではなかったと言います。
「農作業はもちろん、人の行動や設備の管理に至るまで、基準に従って改善し、全てをこと細かに記帳していきます。肥料や農薬を置く場所、置いた量、置き方も決まっていますし、どのハウスでいつ誰が何をやったか、土壌診断をして、どんな結果で、どんな肥料をやったか、農薬は基準以上使っていないか、いつどのくらいの量を使ったか、収穫は誰がしたか、収穫した作物の目方を量り、土などを取り除いた状態でまた量り、歩留りのパーセンテージを出す、など、とにかくありとあらゆるものにキチンと記録を残します。荷造り(袋詰めなど)をする作業場の衛生管理、蛍光灯も割れても飛散しない蛍光灯に変えました。東京都農林水産振興財団が派遣してくれたGAPコンサルタントがいなければ、取れなかったと思いますよ。」
矢ヶ崎さんは、コンサルタントの指導の下、これらの項目を全てクリアし、2018年3月に「グローバルGAP」を、同年5月には「ASIAGAP」を取得しました。2018年4月に開始した東京都GAP認証制度についても、制度開始後いち早く申請され、審査を待っているそうです。
播種から収穫までの作業工程を見直すことができたおかげで、作業効率が上がる等、様々な経営の無駄を省くことができるようになったそうです。