こんにちは!公認スポーツ栄養士の金子香織です。

今月のテーマは、「緑黄色野菜で副菜」です。
食事のバランスを整える上で、副菜と緑黄色野菜は欠かせません。
近年では、主食や主菜に比べ、副菜を意識的に摂る機会が少なくなっているため、その重要性が増しています。
今回は、そんな副菜と緑黄色野菜の役割や摂り方、子どもたちが食べやすい工夫についてもご紹介します。

ご紹介するレシピは、「バターナッツカボチャのナッツ炒め」です。

副菜の役割と緑黄色野菜とは

副菜は、“野菜”“海藻”“キノコ”を主としたおかずで、ビタミン、ミネラル、食物繊維を豊富に含んでいます。

その中でも、緑黄色野菜とは、可食部100gあたりβ-カロテンを600μg以上含む野菜を指し、ビタミンAの供給源となるほか、抗酸化作用を持つ栄養素が多いことが特徴です。
主に、色の濃い野菜(カボチャ、ホウレンソウ、ニンジンなど)が緑黄色野菜に分類され、これらは健康維持や子どもの成長に重要な役割を果たします。

緑黄色野菜は、ビタミンやミネラルを豊富に含むだけでなく、抗酸化作用により成長期の子どもや運動をする人の健康をサポートします。

日本人の野菜摂取量と課題

健康づくりの指標である『健康日本21』(厚生労働省)において、成人1人1日当たりの野菜摂取目標量は、カリウム、食物繊維、抗酸化ビタミンなどを適量摂取するために350g以上と設定されています。

しかし、『国民健康・栄養調査』(厚生労働省 令和5年〈2023年〉)によると、野菜の平均摂取量は256.0g(男性262.2g、女性250.6g)となっており、目標に達していないのが現状です。
特に20代の若年層では摂取量が少なく、食生活の改善が求められています。
また、小学生や中学生においても野菜(特に緑黄色野菜)の摂取量は十分とは言えません。

若年層にとって、日常的に野菜を意識的に摂ることは難しいと感じるかもしれませんが、野菜の摂取は成長期の体づくりに役立つだけでなく、スポーツや仕事のパフォーマンス向上にも貢献します。

ジュニアアスリートの現場でも「野菜が苦手」という声をよく聞きますが、
▪野菜スティックに好きなドレッシングやディップをつける
▪ハンバーグやカレーなどに刻んだ野菜を混ぜ込む
▪飲みやすいポタージュやスムージーにアレンジする
など、食べやすくするための工夫を紹介することが多く、アスリートのメニュー作成時にもこのような工夫を取り入れています。

緑黄色野菜を摂る習慣づくり

日々の食事で緑黄色野菜を積極的に取り入れることは、健康維持の第一歩になります。
野菜が苦手な子どもも、食卓にあがる回数が増えることで自然と食べられるようになることがあります。
サラダや煮物、炒め物など、さまざまな調理法で、毎日の食事で野菜を摂ることを意識してみてください。
また、自分で料理をすることで食材に親しみが湧き、苦手意識が薄れることもあります。
実際に、ジュニアアスリート向けの調理実習でも「苦手」と言いながらも自分で調理すると、試食の時には、パクパクと食べている子どもも多く見受けられました。

学校での調理実習に加え、ご家庭で子どもと一緒に料理をすることで野菜の大切さを伝え、子どもが「食べる楽しみ」を感じられる機会を増やしてみてはいかがでしょうか。

健康維持とエネルギー補給が同時にできる“カボチャ”

今回使用するカボチャには、抗酸化作用を持つビタミンA、C、Eが含まれており、免疫力を高める効果が期待できます。
さらに、エネルギー補給に役立つ炭水化物や、体内の水分バランスを整える働きを持つカリウムも含まれており、ナトリウム(塩分)の排出を助けます。
そのため、スポーツをする子どもにとっても適した食材と言えます。

それではさっそく作って行きましょう!

レシピ:「バターナッツカボチャのナッツ炒め」 材料(5人分)

・バターナッツカボチャ  小1個(500g程度)
・バター         20g
・ミックスナッツ     適量
 (無塩、ロースト)
・塩           少々

作り方

① バターナッツカボチャの皮をピーラーでむき、縦半分に切り種を取り除く。ナッツは粗く刻む。

② バターナッツカボチャにラップを巻いて、電子レンジ強(600W)で4分加熱する。
加熱後、一口大に切る。

③ 中火でフライパンを熱してバターが溶けたら②を入れて、柔らかくなるまでソテーする。

④ ナッツを入れ、1分程ソテーしたら塩少々で味を整えて皿に盛り付ける。

スポーツ食育POINT

▪エネルギー源となる糖質や、抗酸化作用を持つビタミンA、C、Eを含むバターナッツカボチャを使用しました。
▪ ナッツを加えることで、エネルギー量と栄養価を高めています。
▪ ナッツやバターに含まれる脂質が、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)の吸収を促進します。
▪ バターナッツカボチャの自然な甘みとバターの風味により、子どもが好む味付けになっており、お弁当のおかずやおやつとしてもおすすめです。

栄養成分表示(1人前)

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

金子 香織/KAORI KANEKO

Kakara Kai 代表
管理栄養士/公認スポーツ栄養士/修士(学術)
※公認スポーツ栄養士とは、公益社団法人 日本栄養士会および公益財団法人 日本スポーツ協会の共同認定による資格です。
https://www.dietitian.or.jp/career/specialcertifications/sports/

大学病院管理栄養士として勤務した後、スポーツ栄養分野へ転向。
スポーツ栄養士としてラグビー日本代表、ゴルフナショナルチームを始めとしたトップアスリート、社会人、大学生、ジュニア選手、女性アスリートなどの、各ライフステージにおけるスポーツ現場での食育活動に携わっている。
特技の手話を活かしてデフ(聴覚障がい)アスリートサポートも行う。
高校2年生と小学2年生の、2児の母。

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 『スポーツ食育』

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