みなさん、こんにちはー!東京・世田谷の農園で野菜を作るアナウンサー「ベジアナ」小谷あゆみです。
春の訪れとともにやってくる野菜づくりシーズン!土づくりや種まきや苗の準備など、心そわそわ浮き立ちますね。
東京23区の中でも都市農業が盛んな練馬区に3月19日、「高松みらいのはたけ」が完成。
わたしもオープニングイベントに参加してきました。
練馬区高松地区は、都市の貴重な農地を保全するために東京都が創設した「農の風景育成地区」に指定されています。
さわやかな青空のもと開かれたイベントには、地元の皆さんが大勢集まりました。
挨拶に立った練馬区の前川区長は、「練馬の都市農業は、住宅地の中に農地が混在しています。世界的に見ても稀有な地域です。『高松みらいのはたけ』が、練馬大根をはじめ、農産物の栽培を体験し、学べる拠点として、地域の皆さんに親しまれるよう願っています」と語りました。
「高松みらいのはたけ」の名称を考えたのは、小学校6年生の湊 悠輔さん。
地元高松小学校の児童に名前を募集したところ、およそ1,600件も寄せられた中から選ばれた秀作です。
湊さんは、「親しみやすくシンプルに、この畑が未来へ残るように願いを込めました」と、話しました。
会場では、練馬区の公式アニメキャラクター「ねり丸」やJA東京あおばの「たねりん」が描かれたラッピングトラクターのお披露目や、地元NPOや障害者事業所によるブースが並び、2,200㎡の畑では、子ども達や家族がジャガイモの植え付けを体験しました。
練馬区都市農業課の岡村課長にお話を伺いました。
Q.練馬区と言えば、「農業体験農園」発祥の地ですが、農業公園「高松みらいのはたけ」を開園した思いは?
A. 区民の皆さんが農に触れる機会としては、1年間を通して野菜を作る「農業体験農園」があり、このほか、その日だけの収穫体験イベントなどもありますが、ちょうどその中間ぐらいで農に触れる機会をつくれないかと思っていました。
農に触れて、練馬の農業者の応援団になっていただきたい。農に関心のある人たちが集って、人がつながって、みんなで農を守っていくコミュニティのハブになってほしいと思っています。
Q.区民の皆さんはどうやって利用するのですか?
A.春夏の野菜の募集は終了しましたが、これからは、トウモロコシ・枝豆・ミニトマト・落花生を栽培します。①種まき(または苗の植え付け)、②間引きなどの中間作業、③収穫という全部で3回の構成で、参加費用はいずれも1組1,000円。品目ごとに広報やホームページで募集し、秋冬には練馬大根の栽培もあります。
種まきから始めて、育つ過程を見守って、ようやく収穫したら、「こんなふうにできるんだ!」というような驚きがあると思います。成長のサイクルと育てる感覚を楽しんでもらいたいです。
Q.とれたて野菜を調理して食べられるキッチンもあるんですね。
A. 区民の皆さんの意見を取り入れようと、何年もかけてワークショップを開いてきた中に、「キッチン欲しいよね」「とりたての野菜を料理して食べられたら最高だよね」というようなご意見があったんです。
私自身、都市農業課に着任してから、農業者の方といろいろお話をする中で「旬のものってすごくおいしいんだよ!」と教えてもらうことが多く、練馬には直売所やマルシェもたくさんありますので、実際に購入して食べてみると、新鮮で食味の違いに驚きました。
そういう驚きや発見をしていただくには、その場で調理して食べてみるのが一番ですね。
実際の管理運営は、JA東京あおばが請け負います。
JA東京あおば地域振興部 農業振興課の中川課長と栽培管理担当の芹澤さんにお話を伺いました。
Q.何をつくれば楽しく興味を持ってもらえるか、品種選びにも力を入れたそうですね。
A.作物の実り方、花の咲き方も野菜によっていろいろあります。
落花生の場合、花が咲いて、その花の先が地中に潜って土の中にサヤができます。そういうのを子どもたちに知ってもらい、名前の由来を伝えることができたら楽しいでしょうね。
成長するまで毎日でも足を運んでもらい、変化を楽しんで農業に興味を持ってもらえたらいいですね。
Q.都市農業の存在価値を広く理解してもらうことについて、JAとしてはどんな思いがあるのでしょう。
A.住民の方が農に触れることで、農業者のモチベーションにもつながればいいなと考えています。都市で農業をやっていくというのは、現実としてはなかなか厳しい面もあり、相続などで農地や後継者が毎年減っていくなどの問題もあります。
練馬の農業は、昔はキャベツの産地だったんですが、だんだん直売所の形に変わり、今は収穫体験が増えています。区民の方と共同で一緒に耕していければ、省力化にもつながります。みなさんに農業に参加していただければ、農業者のモチベーションもあがります。
【ベジアナの取材後記】
「みらいのはたけ」を耕すのは、区民、農業者、自治体、JA、そして練馬区には「ねりま農サポーター」という制度があり、援農のボランティア活動も盛んです。
畑を使って地域みんなが一体となって交流し、コミュニティを築いていけたら、「都市に農があってよかった!」「都市にこそ農はあるべきだ!」などの考えがもっと広まると思います。
また、子どもの時から農に親しむことで、「農業って面白い」「将来は農業者を目指したい」という人材が現れるかもしれません。
練馬区では、11月に「全国都市農業フェスティバル」が開催されます。未来に向けて、ますますの都市農業の魅力の発信を期待しています。
【高松みらいのはたけ】
昔ながらの農の風景が残る高松一・二・三丁目『農の風景育成地区』(東京都指定)にある区立の畑。
農作物の栽培はJA東京あおばが行い、区民は種まきや収穫など、農作業のポイントとなる作業を楽しみながら体験できる。
管理棟にあるキッチン付の多目的室では、採れたての野菜を調理し味わうイベントを行う予定。
練馬区高松1-23-17 敷地面積:4,138 ㎡(うち畑部分:2,201 ㎡)
▼ねりま高松農の風景育成地区のTwitterはこちら
https://twitter.com/8QjYAI2LD38pwj7
▼ねりま高松農の風景育成地区のFacebookはこちら
https://www.facebook.com/nounofukei
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野菜を作るアナウンサー「ベジアナ」
小谷 あゆみ/KOTANI AYUMI
世田谷の農業体験農園で野菜をつくるアナウンサー「ベジアナ」としてつくる喜び、農の多様な価値を発信。生産と消費のフェアな関係をめざして取材・講演活動
介護番組司会17年の経験から、老いを前向きな熟練ととらえ、農を軸に誰もが自分らしさを発揮できる「1億農ライフ」を提唱
農林水産省/世界農業遺産等専門家会議委員ほか
JA世田谷目黒 畑の力菜園部長
日本農業新聞ほかコラム連載中
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