令和6年2月3日に、東京都日野市にある石坂ファームハウスで、「東京の畑で食育!七草を摘んで七草粥を食べよう!」のイベントが開催されました。
このイベントは、東京の畑で農業者の指導の下、畑の見学や農作業体験等をすることにより、参加者に東京の農業や農作物、食に関心を持ってもらうことで、地産地消及び食育の推進を図ることを目的としています。
快晴に恵まれたこの日、石坂さんのお話しを聞きながら、親子で七草摘み、薪拾いを体験し、七草粥を作りました。
農園で採れた果物のジャムづくりや、蒟蒻づくりも体験し、改めて「農」と「食」について考え、実践する機会となりました。
主催は、(公財)東京都農林水産振興財団です。当日のイベントをレポートします。
石坂さん親子の話が始まりました。
「春の七草とは、セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロのことです。健康と豊作を祈って食べる七草粥は、昔の人の生活の知恵が詰まっているのですよ。今日は皆さんと一緒に七草粥を作りましょう!」
参加者は、興味深く聞き入ります。
続けて石坂さんからの、「七草のうたを知っている?地域による違いがあるものの、日本中にあるのよ。食べられる野草を覚えておくと、災害時にも役立つので、覚えてくださいね。」というお話を伺いました。
草を食べる?ということの意味がまだ分からない子どもたちも、「まずは、畑へ七草を摘みに行きましょう!」との言葉に、思わず歓声がでます。
七草摘み
さあ、七草を摘みに出発です。
まずは、田んぼで七草を摘みます。
石坂さんから「春の七草は、寒いと葉がロゼッタ状になっています。春になると立ってくるんですよ。草は、寒さにあたると赤っぽい色となるんですよ。」
さっそく、子どもたちは七草を見つけると、すぐ石坂さんの元へ走ります。
「これ、そうだよね!」「あった!生で食べて良い?」「これ、ナズナかな?」
七草を発見した、喜びの声が広がります。
大人も必死に探しますが、子どもたちの目の速さ、発見の速さには驚かされました。
田んぼでの摘み取りが終わると、高台にある「やさい畑・ブルーベリー畑」へ向かいます。
ここでも、七草を探します。
石坂さん親子のアドバイスを受け、たくさんの七草を摘むことが出来ました。
子どもたちが、キンカンの木を見つけました。
色鮮やかに、たわわに実ったキンカン。
石坂さんから「ひとり1個食べていいよ。ビタミンCがたくさんあるから、風邪ひかないよ。トゲがあるから気をつけてね。」との言葉が…
全員、大喜び。おやつタイムが始まりました。
裏山での枝ひろい
おやつタイムが終了すると、次はお粥を炊くための枝ひろいに裏山へ向かいます。
この時期は、落ち葉を集めて畑の堆肥を作るため、いつも落ち葉掃きをするそうです。
落ち葉の中の枝や、風で落ちた枝を煮炊きに使います。
さあ、枝ひろいです。
枝ひろいを終えた一行は、ファームハウスの井戸で手洗いを済ませます。
田んぼや畑で摘んだ七草を見ながら、石坂さんの話を聞きます。
「七草を摘んだり、枝ひろいはどうでした?七草には、いろいろな効果があるんです。これを、薬効といいます。少しでもいいから、覚えてね。」
ブルーベリージャムづくり
「みなさんが裏山で集めてくれた枝で、お粥用の鍋を沸かす間、ジャムづくり体験をしましょう。先ほどみなさんが見たブルーベリー畑で、去年の夏に収穫したブルーベリーを冷凍して保存しています。石坂家のブルーベリージャムづくりに挑戦してください!」
ブルーベリーは夏の果物。冷凍しておき、ジャムは食べる都度作るそう。
通常、ブルーベリージャムは、保存を考えてブルーベリーと砂糖を同量で作るそうです。石坂家では、砂糖を少なめにして、2~3日で食べきるようにしているとのこと。
さあ、ジャムづくりが始まりました。
蒟蒻づくり
ジャムづくりと並行して、蒟蒻づくりにも挑戦です。
「材料の蒟蒻芋は、育つのに3年かかるんです。石坂ファームハウスでは2~3本栽培しています。今日は、群馬県沼田から取り寄せた蒟蒻芋を使って蒟蒻づくりに挑戦しましょう。」
石坂さんの話と蒟蒻芋を実際に見て、大人も子どもも興味津々。
昔は生の蒟蒻芋を手ですりおろしていたそうですが、生だと手がかゆくなるとのこと。当日は、ミキサーを使用しました。ミキサーにかける時間は1分。
すると、保護者から質問が…
▪Q「皮も入ってますか?」 A「入ってます。」
▪Q「蒟蒻の色にいろいろあるのは、なんでですか?」 A「材料によるのでは。赤いのは唐辛子入りとか。」
▪Q「蒟蒻のにおいがしませんが?」 A「買った蒟蒻は、においがありますが、生から手作りしたものはにおわないのよ。」
ミキサーで1分ほどかけ終えたら、火にかけて混ぜます。
ここから、子どもたちがお手伝いします。
石坂さんから、「こげるので、なべ底から混ぜるようにしてね。」とアドバイスが。
程よく煮あがったら、最後に炭酸ソーダを入れます。ぐるぐる混ぜると固まってきました。どろっとした状態でお椀に入れます。(※ただし、あくが強くてすぐには食べられません。3回くらいゆでこぼすことが必要です。)
「蒟蒻には、蒟蒻芋の粉を原料としているものもあります。粉だと、少しの量でも大きくふくれますが、生芋で作る場合と味が違うんですよ。」(石坂さん)
七草を刻む
そろそろ、お粥が炊きあがって来たようです。
摘み取った七草を刻み、鍋に入れる準備が始まりました。
七草の歌を歌いながら、親子がペアになって七草を刻みます。
石坂さんから、「栄養があるのは、根の部分。根っこも食べられるように刻んでね。」と、アドバイスが。
炭火での餅焼き
親子で七草を刻む作業と並行して、炭火でお餅を焼き始めます。
このお餅は、炊きあがった七草粥の中に入れていただきます。
さあ、お粥が炊きあがって来ました。
仕上げに入ります。七草を、ダイコン、ニンジンと一緒に鍋の中へ。
七草粥の完成です!
参加者は、各自持参したお椀や食器を手にし、七草粥をよそってもらいます。お餅も一緒にお椀の中へ。
参加者から、大きな歓声が上がります。
石坂ファームハウスの庭にシートを敷き、早速、七草粥をいただきます。
参加者からは、自ら摘んだ七草の味をかみしめて、「おいしい!おいしい!」との声が合唱のように響きます。
副菜に、手づくりの蒟蒻が、自家製ゆずみそを添えてふるまわれました。
デザートには、ブルーベリージャムが載ったクラッカーが…。全員、大満足の様子でした。
終わりに
今回のイベントで、春の七草を摘み、それをすぐに食べるという、まさに地産地消を体験した参加者の皆さん。
「美味しかった」「楽しかった」「普段できない体験ができて良かった」との声が多数聞かれました。
東京にも、地産地消を体験できる魅力的なスポットが多くあります。
この春、お出かけされてみてはいかがでしょうか。
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東京グロウン/TOKYO GROWN