山間地を開墾するところからはじまった
バス通りから山道をとおって、丘陵の山間に「あした農場」はあります。茨城県で有機農業を学び、新規就農先を探しているなかで出会ったのがこの地でした。もともとは植木畑だった場所が灌木と雑草で生い茂り、本格的な開墾が必要な状態だったといいます。
「町田市が貸借可能な農地をとりまとめて貸し出す『農地バンク』の仕組みを使って2013年に就農しました。開墾したばかりのころは大雨が降ると土が流れてトラクターでも乗り越えられないような川筋ができてしまうような有様で、随分と苦労しました」(渡辺さん)
表面だけ土づくりしても、斜面の上の方はどうしても土がながれてやせた赤土が露出してしまいます。初年度は全面に小麦を植えて、まずは地面を整えるところから。2年目から野菜の生産も始めましたが、環境の急変のせいか想像を超える害虫の被害に苦しめられたと言います。近くの牧場からの牛糞堆肥を投入して草をはやし、漉き込むことを繰り返して少しずつ生産性の高い土地に改良してきました。