『色で楽しむ東京野菜』
管理栄養士、お野菜料理家の今村結衣です。0歳と3歳の子を持つ母でもあり、日々の生活の中で野菜を子どもたちと楽しんでいます。
食育コラム、『東京の恵みdeおうち食育』の第3シリーズ、色で楽しむ東京野菜の基本編をお届けします。
このシリーズでは、五感の中でも一番の刺激となる「視覚」を使った、乳幼児向けの食育をご紹介します。
シリーズの初回である今回は、乳幼児食に東京野菜を取り入れるための基本のお話。
次回からは色ごとに分けて、食育における東京野菜の楽しみ方をお伝えします。
大人も子どもも一緒になって、色の視点から東京野菜の魅力を再発見していきましょう!
〈目次〉
1.食育における色の役割とは?
2.カラフルな東京野菜
3.野菜の下ごしらえのコツ
4.かんたん!出汁のとり方
5.まとめ
食育における色の役割とは?
食育における色の効果はいくつかあります。
まず1つ目は、食欲を刺激する効果です。色鮮やかで美しい食べ物は子どもたちの「食べたい!」という気持ちを高めてくれます。
食材の色やその色の変化は、栄養素の種類や量とも比例しており、子供たちに栄養知識を教えるという大きな役割もあります。
さらに、色のバリエーションが豊かな食材を提供することで、さまざまな食材の摂取を促し、バランスのよい食事を摂ることができます。
色を活かした食育活動は、子どもたちにとって「楽しい!」、という印象を与えてくれます。色を見てワクワクしながら学ぶことができ、記憶にも残りやすいのです。
これらの効果を活かして、野菜の色を使って子どもたちに「食の大切さ」や「栄養バランス」の重要性を楽しく理解してもらうことができます。
カラフルな東京野菜
東京都内で生産される野菜を、このシリーズでは「東京野菜」と呼びますが、この東京野菜を目にされる機会が増えてきているのではないでしょうか。
東京野菜は、生産者と消費者との距離が近いことに加え、生産者や流通業者が協力し、品質管理や流通ルートの確保に力を入れているため、新鮮な状態で消費者である私たちの元へ届けられます。
そのため、鮮度が高く、高品質な野菜が多く流通しています。
また、地元の野菜を食べることで、地域の農業や経済の支援にもなります。食材の産地や生産者が分かることで安心感や食への関心が高まっています。
目にも鮮やかでカラフルな野菜が豊富に流通しているのも、東京都内の飲食店や消費者の関心が大きくなっているからこそ。
東京都の野菜は豊かな味わいや品質、安心感、そして食べ手を楽しませるバラエティ性を持ち、地域に密着した流通業者によって、消費者へと提供されています。
野菜の下ごしらえ 3つのコツ
ここまで野菜の色の重要性、そして東京野菜の魅力についてお伝えしました。
では、実際に野菜を乳児や幼児に楽しんでもらうためには、どのようなコツが必要なのでしょうか。
大切なポイントを3つに分けてご紹介します。
1⃣ 調理法は、「蒸し」で栄養を逃さない。
蒸す調理法は、栄養素の流出が少ないため、食材の栄養価を保持することができます。
食材の味や食感を引き立てることができるだけでなく、調理器具がシンプルで扱いやすいというのも嬉しいポイントです。
香りや色が残るため、野菜の色を鮮やかに、柔らかく仕上げることができます。
2⃣ 葉物野菜は、筋っぽさを抑えよう。
特に離乳食においては、野菜の筋を取り除くことでいくつかのメリットがあります。
その中でも大切な点は、消化性を向上させてくれるというメリットです。赤ちゃんの消化器官はまだ未発達であり、消化が難しい食物繊維を含む食材を摂取すると、お腹の不快感や便秘のリスクが高まります。野菜の筋は食物繊維の一部であり、取り除くことで赤ちゃんの消化をサポートします。
離乳食では、まずは柔らかく煮たり蒸したりした野菜を与えることが一般的ですが、筋を取り除くことでより安全で消化しやすい食事を作ることができます。
ただし、食材の栄養価や食物繊維を考慮し、適度な筋を残すことも大切です。
その他、食感を統一して食べやすくすること、窒息のリスクを減らすことなどもメリットとして挙げられます。
3⃣ 噛みきれない皮やタネは、取り除く。
葉物野菜の筋と同様に、皮も取り除くことがオススメです。
野菜の皮やタネは硬く、幼児が噛むのが難しい場合があります。皮やタネを取り除くことで、消化がしやすくなり、野菜の摂取量の増加にもつながります。
皮やタネにおいても、栄養素を含む部分もあるため、野菜の種類や食材の品質によっては、皮の一部やタネを残すこともあります。適切な判断をすることが大切です。
かんたん!出汁のとり方
乳児期には、野菜は出汁と合わせて濃度を調整します。
離乳食や幼児食を作る上で欠かすことのできない出汁は、「タンパク質」や「ミネラル」を含み、野菜の味を引き立て、食欲をそそる香りをプラスしてくれます。
今回は、昆布とかつお節を使った、簡単な出汁のとり方をご紹介します。
まず用意するのは、刻み昆布3gとかつお節3g。
刻み昆布を活用することで、短時間でうま味成分を引き出すことができます。
次に、耐熱容器に刻み昆布とかつお節を入れ、水400mlを沸騰させて注ぎ入れます。
フタかラップをして、3分ほどそのまま置いておきましょう。
昆布やかつお節が底に沈み、色がしっかりと出たところで、ザルや漉し器などを使って昆布とかつお節を取り除きます。
離乳食の裏ごし器を使うと便利です。
黄金色のかつお昆布出汁が出来上がりました。
作りすぎた場合は、製氷器に入れて冷凍保存がおすすめです。
出汁は風味が大切です。冷凍保存の場合でも、長くて2週間を目安に使い切りましょう。
まとめ
色シリーズ初回の「基本編」では、東京野菜の色を食育の視点から楽しむために、野菜の色の役割、カラフルな東京野菜の魅力、野菜の下ごしらえのコツ、簡単な出汁のとり方までをご紹介しました。
今後の『色で楽しむ東京野菜シリーズ』では、色ごとに東京野菜を紹介していきながら、野菜の色の持つ意味や栄養素、おうちでできる食育をお伝えしていきます。
ぜひ、『おうち食育』を通して、東京野菜に親しみを持つキッカケ作りをしてみてくださいね。
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管理栄養士
今村 結衣/IMAMURA YUI
管理栄養士、二児の母。
カット野菜工場など青果物流通業の会社員を経て、野菜の切り方教室や記事執筆、野菜染めグッズ販売など野菜に関する分野を中心に活動。
野菜を美味しく食べることが生きがいで、素材の味を生かしたレシピ作りが得意。
Instagram【 #やさあいレシピ 】で200レシピ以上公開中。
▼ https://www.instagram.com/ponsan.68/
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