山奥でヤギを飼って暮らしているというと、まるで自給自足のスローライフを送っているのではと想像してしまいますが、堀さんは農業経営として収益性も考えた上でこの形を選んだといいます。
「理系の大学を出てから建築資材メーカーでサラリーマンをしていました。いずれは独立したいと考えるなかで、岡山県でチーズを製造している牧場のことを知って、これだ!と。チーズが特に好きだったということではなくて、自立した働き方・生き方を目指すならいい道だと思ったんです。」(堀さん)
堀さんは、まずは北海道の牧場で2年修行。そして、実際に就農を考えて関東で候補地を探していたところ、自身の出身地でもあるあきる野市でも可能なのではないか、と考えるようになります。
「牛の牧場となると、土地面積も初期投資もかなりかかります。でも、ヤギであれば圧倒的にコストを下げられる。牛は1頭800㎏の体重ですがヤギは70㎏ほどなので、一人で機械を使わずに数十頭管理することも可能です。さらに野菜生産など通常の農業には適さない斜面地でもできるということで、地元で探し始めました。」(堀さん)
就農するには実績も必要ということで、八王子の磯沼ミルクファームに勤めながら、実際に種付けされたヤギを1頭購入、生まれた2頭の子ヤギとともに育ててヤギチーズの試作に取り掛かりました。
幸いなことに最初の1頭の乳量が通常よりもかなり多く、大当たり。生まれた2頭も、ラッキーなことにメスでした。