50㎝サイズ お化け小松菜が大人気
住宅地に囲まれた鉄骨ビニールハウス。江戸川区での小松菜栽培は同じような施設栽培が多くみられます。しかし、小原農園のハウスの中に案内されてまず驚くのが小松菜のサイズが大きいこと。
「箱のサイズが50㎝でそれに入るように収穫しているので根っこ部分を除くと46㎝ぐらいですかね。これを1㎏で一束にして出荷するのが基本です。」(小原英行さん)
市場出荷の小松菜の規格の多くは25㎝前後のサイズで500g〜700gを1束とするか、袋詰めの規格は200〜250g程度なので通常では考えられないサイズです。
しかし、小原農園の小松菜の需要は引きも切らず、年間をとおして50tほどを出荷し、「令和4年 第51回 東京都農業祭 農林水産大臣賞」をはじめ、数々の農業関係の賞も受賞しています。
「主な出荷先は学校給食です。23区の小中学校は基本的に自校で給食を作っているので、管理栄養士さんたちとも情報交換しながら、需要に応える形でこの出荷形態を10年かけて作ってきました。重要なのはサイズではなくて、安定品質、安定出荷、安定価格、異物混入を極力無くす、がポイントになります。」(小原さん)
大きく育てて収穫すれば、栽培期間が長くなり、収穫の手数は削減できる。さらには撒く小松菜のタネの量も半分以下になります。単位面積当たりの収穫量も増えるので、この10年間、小原農園の生産性は上がり続けているといいます。
それだけ聞くと単に「楽して稼げる」を実践しているようですが、ニーズに合わせて栽培技術と磨くことにより、大きさだけではなく美味しさも追求してきています。注目すべきは誰もが挑戦しなかった領域を開拓して、独自の需要と出荷形態を自ら創りだしたというところでしょう。