東京の農業と食を味わって感じて魅力発信!

東京の「農業」と「食」の魅力を発信するイベント「東京味わいフェスタ 2023」が、10月27日から29日までの3日間、丸の内・有楽町・日比谷・豊洲の4つのエリアで開催されました。
各会場には味わいフェスタ限定メニューのキッチンカー、生産者と触れ合える東京のこだわり野菜のマルシェ、米粉パンの販売、体験イベントなどが並び、バラエティーに富んだ出展者の数は120にもなりました。

東京駅の駅舎を一望する丸の内の会場ではオープニングイベントが開かれ、主催した東京都の小池百合子都知事やJA東京中央会の会長、東京農業をPRする若手生産者、有名シェフが小平産のブルーベリージュースで乾杯し、東京農業の魅力について語りました。

小池都知事は、
「東京の農業、食を地産地消で味わって楽しんでいただくために、東京農業の将来を担うリーダーの東京農業男子や、東京を代表するシェフが勢ぞろいした。東京の豊かな食と農を世界へ発信することで、日本の農業全体を元気にしていきたい。収穫の秋、食欲の秋、リアルに見て味わって感じて楽しんでいただきたい。」と語りました。

続いて東京の農業を代表して、JA東京中央会の野﨑啓太郎会長は、
「東京にはすばらしい生産者による江戸東京野菜や様々な野菜がある。東京野菜宝船を見ていただき、東京の野菜は安全で、おいしく、新鮮と理解していただきたい。」と話しました。

東京農業の広報大使を担う東京農業男子で、東京青壮年組織協議会(JA都青協)委員長の笹本善之さんは、
「人を喜ばせる仕事をしたくて、お笑い芸人をめざしたこともあった。今はおいしい野菜を通して楽しんでもらい、食育活動に力を入れている」と話し、副委員長の高橋成司さんは、
「東京の農業は、食や農を学び、触れ合う場でもあり、地域の皆さまと結びついてやっている。東京にも農家は身近にいるので、積極的に関わって、農業のファンになっていただきたい」と挨拶しました。

セレモニーでは、東京の食を伝える三國清三シェフ、山下春幸シェフらとともに、小平産のブルーベリージュースで乾杯し、3日間のイベントが開幕しました。

東京農業や生産者が関わる出展ブースの、ほんの一部を紹介します。

江戸東京野菜おそろいの法被をまとって、PRをするNPO法人江戸東京野菜コンシェルジュ協会の皆さん。
生産者やJA関係者、野菜ソムリエなど様々な立場で、食育や地産地消の推進活動をされています。

現在、「江戸東京野菜」には52品目が認定されています。
ここ数年の傾向として、伝統文化や在来種を継承する観点から、SDGsの一環として、学校での郷土学習などで取り上げられることが増えているそう。
ブースに立ち寄ったお客さんは、色や形、大きさも異なる個性ある野菜を手に取り、普段、目にしている野菜との違いや、自分の住む近所にも産地があることを知り、伝統野菜に興味関心を寄せる人が多く見られました。

JA東京グループのブースには、JA東京女性組織協議会会長でJAマインズ女性部長の鈴木栄子さんをはじめ、皆さんがJA東京女性協おそろいのTシャツで、新鮮な野菜や加工品を販売。
オープニングの乾杯に使用された、小平産のブルーベリージュースも並びました。

東京の生産者自らが、自家製野菜を販売する「東京農村」は6つのブースが並びました。
国分寺市の農家で、代表の中村克之さんは、
「東京でもこんなにおいしい野菜が作られていることを、多くの人に知ってもらいたい。ここ丸の内には、オフィスワーカーも、観光客も外国からも人が集まるので、発表の場としては最高。」
「また、若い農家さんたちにも、こんな東京の中心にマルシェを出してお客さんとふれあうことで、東京の農業って楽しいなと思ってもらえれば、東京の農業はもっと盛り上がる。」と笑顔で話してくれました。

こちらのブースの魅力は、なんといっても、自分の畑でつくった野菜を農家自ら販売すること。
一般の物流では切り落としてしまう「葉付きのダイコンやニンジン」も、新鮮な状態で届けることができます。
葉っぱまでまるごと食べてもらえるのが、スーパーの野菜とは大きく違うところ。
実は、出店は2回目ですが、去年は想像以上に、葉付きのダイコンやニンジンが売れて驚いたそう。
消費者の方が、農家と直接のやりとりを求めていたのかと、今年はたくさん集めて持って来たのだとか。
この夏は暑かったから野菜が高いですねと、直接お話しすると、納得してくれる人は多いそうです。

キッチンカーの前に行列ができていたのは、「米粉パン」ホットドッグです。
熊本県産や新潟・魚沼産など4種類の品種や特徴の違う米粉パンから選ぶことができます。
東京都では、輸入小麦の高騰を受け、米粉の活用を推進しています。
米粉を食べることで日本のお米産地の応援にもなるのですから、これは食べなければ!

味フェス特別価格の、500円。米粉パンホットドッグを買ってみました。
魚沼産コシヒカリの米粉パンはもっちりした食感で食べごたえあり、肉汁あふれる粗びきソーセージにもぴったり。片手で食べられるとあって、大人気でした。

また、会場には、福島いわき近海の「常磐もの」のPR販売もあり、福島県の内堀雅雄知事と一緒に会場を回った小池知事は、
「東京には1,400万人の胃袋があり、消費力も大きな力です。東京でお魚をいただくことで、食育や水産の問題を知り、日本の水産業も盛り上げていきましょう」と、東京の持つ“食べて応援する力”をアピールしました。

秋の青空にも恵まれ、大勢の来場者でにぎわった「東京味わいフェスタ 2023」。
東京の農家が自ら作ったものを販売し、一流シェフによる料理も堪能できる。
江戸から続く文化や歴史、都市ならではのおいしい食の情報ももりだくさん。
東京産野菜は新鮮で安心な上に、食べ方の工夫や、畑での苦労などマルシェでのおしゃべりも楽しい。
知れば知るほど味わい深い東京の食と農の魅力のつまった3日間でした。

※ 豊洲エリアの様子は、次回の開催レポートをお楽しみに。

野菜を作るアナウンサー「ベジアナ」

小谷 あゆみ/KOTANI AYUMI

世田谷の農業体験農園で野菜をつくるアナウンサー「ベジアナ」としてつくる喜び、農の多様な価値を発信。生産と消費のフェアな関係をめざして取材・講演活動
介護番組司会17年の経験から、老いを前向きな熟練ととらえ、農を軸に誰もが自分らしさを発揮できる「1億農ライフ」を提唱
農林水産省/世界農業遺産等専門家会議委員ほか
JA世田谷目黒 畑の力菜園部長
日本農業新聞ほかコラム連載中

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東京味わいフェスタ2023(TASTE of TOKYO)

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