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暑い季節になると食べたくなるジェラート。その原料となる牛乳が、どのような環境で生産されているか考えたことはありますか?
今回、イートローカル探検隊に同行し、東京都西多摩郡瑞穂町にある「清水牧場 WESTLAND FARM」を訪問しました。人気のジェラートショップの奥には、ロボットやデータを活用した最先端の酪農現場が広がっています。東京で進化を続ける酪農のリアルに迫りました。

ジェラートの向こう側に広がる、都内有数の規模を誇る酪農牧場

都内有数の規模を誇る酪農牧場

清水牧場 WESTLAND FARMは、瑞穂町の岩蔵街道沿いにあり、そこはシクラメン街道とも呼ばれています。その通りに突如現れるおしゃれな建物を発見。家族連れからカップルまで多くの人がジェラートを求めて列をなしていました。そして驚くことに、店舗のすぐ奥には、現代のテクノロジーを結集した大規模な牛舎が併設されているのです。

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今回の取材は、株式会社エマリコくにたちが主催する「イートローカル探検隊」に同行して実現しました。イートローカル探検隊は、東京の農業や食の現場を訪ね、生産者の話を聞きながら地域の魅力を学ぶ体験型プログラムです。当日も参加者は清水さんに次々と質問を投げかけながら、牛乳が生産される現場を熱心に見学していました。普段何気なく手に取る牛乳や乳製品の背景にある生産現場を知ることができるのも、この活動の魅力のひとつです。

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牛が自分で搾乳に行く?最先端のロボット酪農

清水牧場は都内でも有数の規模を誇る牧場であり、目の前に広がる牛舎には55頭ほどの乳牛がいました。育成牛や子牛を含めると、全部で120頭ほどにもなるそうです。

牛が自分で搾乳に行く?最先端のロボット酪農

1頭あたり1日に30〜40リットルの生乳を生産し、牧場全体では1日約1,500〜1,600リットルもの生乳が搾られているそうです。
牛舎に案内されてまず驚いたのが、大型の搾乳ロボットでした。

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「牛が自分で搾乳ロボットに入ってくるんですよ」
清水さんにそう説明されて見ていると、1頭の牛がゆっくりとロボットの中へ入っていきました。牛は搾乳時にもらえる餌を食べながら、機械によって自動で搾乳されていきます。このロボットは2021年に導入されたもので、24時間365日稼働。牛は乳房が張るタイミングになると、自らロボットへ向かうそうです。一般的な酪農の搾乳回数は1日2回に対し、清水牧場では平均3回。牛のストレス軽減や乳量向上にもつながっているといいます。さらにロボットは搾乳だけではありません。牛ごとの乳量や体重、餌の摂取状況、反すう(食べた餌を口に戻してかみ直す行動)の回数までデータ化され、健康状態の管理に活用されています。

「調子が悪い牛は乳量が落ちたりするので、すぐに分かるんです」と清水さん。

経験や勘だけでなく、データを活用した酪農へ。そこには、私たちが想像する“昔ながらの牧場”とは少し違う、現代の酪農の姿がありました。

機械を導入する前は、搾乳だけでほぼ1日が終わってしまっていましたが、導入後は地域のイベントに参加したり、ジェラート事業に取り組んだりと、新しいことに挑戦する時間や、地域や消費者の方々と触れ合う時間が増えたそうです。

テクノロジーは人の仕事を奪うためではなく、人にしかできない仕事へ時間を使うために導入されている。そんな現代酪農の姿がそこにはありました。

新たな挑戦!ジェラート事業

瑞穂町の人気スポットのひとつである清水牧場 WESTLAND FARMのジェラート事業が始まったのは2018年とのこと。しかし、事業開始の4年ほど前から構想があったものの、店舗の施工に着手するまでに、さまざまな手続きや許認可が必要で、行政との調整を重ねながら少しずつ計画を進め、ようやく現在の形にたどり着いたといいます。

新たな挑戦!ジェラート事業

地元の恵みを生かした、瑞穂町ならではのジェラート

ショーケースに並ぶ色とりどりのジェラートは、定番のミルク味から季節限定フレーバーまでバリエーション豊か。

地元の恵みを生かした、瑞穂町ならではのジェラート

人気の「搾りたてミルク」は、生乳本来のやさしい甘みとすっきりした後味が印象的でした。また、紅茶とコーヒーのフレーバーは、ミルクとのバランスが抜群でした。
ジェラートづくりで大切にしているのは、できるだけ地元の食材を使うこと。
紅茶は近隣の茶園のもの、コーヒーは地元のコーヒー店のものを使用しています。季節によっては、瑞穂町や周辺地域で収穫されたイチゴやキウイ、トマト、メロンなどもジェラートやシャーベットとして提供しています。

東京で酪農を続けるということ

一方で、東京で酪農を続ける環境は年々厳しくなっています。
清水さんによると、東京都内の酪農家は減少傾向にあるそうです。実際に、2000年には100戸以上あった牧場が、2010年には64戸、2024年には37戸まで減少しています。今年もさらに廃業する酪農家があり、戸数は減少を続けています。後継者不足に加え、近年は飼料価格の高騰も大きな課題となっているとのことでした。

東京で酪農を続けるということ

「餌の多くを輸入に頼っているので、円安の影響は本当に大きいですね」
清水牧場では飼料用の畑も管理していますが、自給できるのは全体の1~2割ほど。輸入飼料価格の変動は経営に直接影響します。

ジェラートの先に見えた、東京酪農の未来

そんな厳しい環境下でも、前向きに挑戦を続ける清水さんの姿勢が印象的でした。牧場見学や学校の受け入れ、地域イベントへの参加、ジェラートショップの運営。酪農だけでなく、人と人をつなぐ場づくりにも積極的に取り組んでいます。
東京で暮らしていると、牛や牧場に触れる機会は決して多くありません。しかし、この清水牧場には食べることと生産することの距離をぐっと近づけてくれる力があると感じました。

ジェラートの先に見えた、東京酪農の未来

牧場で味わうジェラート

そのおいしさの背景には、最新技術を取り入れながら進化を続ける酪農の現場がありました。
清水牧場 WESTLAND FARMは、単なるジェラートショップではなく、東京の農業や酪農を身近に感じられる場所であり、地域と生産者をつなぐ拠点であることに気づかされました。
次にジェラートを口にするとき、その原料となる牛乳がどのように生産されているのか、少しだけ思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。

牧場で味わうジェラート

清水牧場がお届けする、ジェラート専門店。
搾りたての新鮮な生乳と、地産のこだわりの果物や野菜をふんだんに活かした自然の恵みあふれる、東京発の新しいジェラートをお楽しみいただけます。

営業時間:10:30~17:00
定休日:水曜日/年末年始

〒190-1231
東京都西多摩郡瑞穂町大字長岡長谷部353-3
TEL / FAX:042-557-8077

Fumi(長南史香)/Fumika Chonan

高校卒業後、アメリカに4年間在住。現地で多様な食文化や暮らしに触れた経験をきっかけに、食への関心を深める。帰国後は食品メーカーに勤務し、販促企画やメニュー開発、商品提案などに従事。

現在はフードコーディネーター/フードスタイリストとして、広告やカタログ、CM、販促ツールなどのスチール・動画撮影を中心に活動。商品の魅力を視覚的に伝えるスタイリングを得意とし、メニュー提案や商品開発、記事執筆など、食に関わる企画・編集領域まで幅広く手がけている。

食材の背景や文化、日々の食卓とのつながりを大切にしながら、「おいしい」の先にある食の魅力を、言葉とビジュアルの両面から発信している。

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