東京の漁業エリアは3つに分かれる
東京の漁業は3つのエリアに分かれており、それぞれの場所で揚がる魚介類の種類も異なります。
◆内湾漁業、内水面漁業(下流域)
東京内湾から河川河口域で行われている漁業で、いわゆる江戸前の魚介類が揚がります。
東京は世界屈指の大都会ですが、実は漁業も盛んです。
東京湾、伊豆・小笠原諸島周辺海域、奥多摩や都内の河川などで、多様な環境に合わせた漁業が行われています。なかでも小笠原諸島は、高級魚や大型魚が揚がる豊かな漁場です。初夏には赤く美しい深海魚、ハマダイが旬を迎えます。
今回は東京の3つの漁業エリアと、小笠原を代表する魚「ハマダイ」をご紹介します。
東京の漁業は3つのエリアに分かれており、それぞれの場所で揚がる魚介類の種類も異なります。
◆内湾漁業、内水面漁業(下流域)
東京内湾から河川河口域で行われている漁業で、いわゆる江戸前の魚介類が揚がります。
〔主な魚種〕
シジミ
アサリ類
スズキ
カレイ類
アナゴ
東京内湾や多摩川、荒川下流域においては、シジミやアサリを対象に「じょれん」という籠状の道具を使用して貝を漁獲する「腰捲き漁業」や、籠を船で曳く「底びき網漁業」が行われています。
さらに東京内湾では、スズキやカレイを対象に、魚の通り道に網を仕掛ける「刺し網漁業」や、アナゴを対象にした「筒漁業」が行われています。
◆島しょ漁業
伊豆諸島・小笠原諸島周辺海域で行われる漁業です。日本の南岸に沿って流れる暖流の黒潮と、特有の複雑な地形の影響によって、日本有数の豊かな漁場が形成されています。
〔主な魚種〕
メカジキ
メバチマグロ
キンメダイ
ハマダイ
ムロアジ
トビウオ
島しょ漁業は水揚げされる魚介類の種類が豊富で、使われる漁法もさまざまです。
小笠原諸島の海域では「たて縄漁業」が盛んに行われています。これは水深400~600mまでエサのついた針を沈めて、メカジキやメバチマグロといった大型魚を機械で釣り上げる漁法です。
キンメダイやハマダイなどの深海魚には、針がついた糸を生息域まで垂らす「底魚一本釣り漁業」。釣竿で1匹ずつていねいに釣ります。また、夜に灯りをともして行う「イカ釣り漁業」のように特徴的な漁法もあります。
◆内水面漁業(中~上流域)
奥多摩や秋川などの多摩川水系をはじめとした、都内の河川での漁業です。多摩地域では東京都が開発した「奥多摩やまめ」、マス類の養殖も行われています。
〔主な魚種〕
ニジマス
ヤマメ
イワナ
主な漁法は、岸辺や船上から円錐状の網を投げ入れる「投網」や、レジャーとしての「釣り」です。アユ釣りでは、おとりのアユを使った「友釣り」が行われています。
ユネスコの世界自然遺産に登録されている小笠原諸島。他の地域にはいない固有種の動植物が多く、東洋のガラパゴスとも呼ばれる貴重な場所です。
30あまりの島々がありますが、人が生活しているのは父島と母島の2か所だけです。どちらの島でも漁業が行われています。
◆独特の漁場と伝統料理
小笠原諸島は、東京が誇る優良な漁場です。もっとも近い八丈島から700kmほどの距離があり、亜熱帯気候に属しているため、他の海域とは異なる魚が生息しています。300kgを超えるメカジキ、100kg級のメバチマグロ、巨大なソデイカなど、迫力ある魚が揚がることでも知られています。
大型魚だけではなく、市場価値が高い魚が多いのも特徴です。イセエビやアオリイカ、ハマダイなど、料亭で出されるような魚種が揚がります。
小笠原諸島では、伝統料理にも個性的な海産物が使われています。ウミガメを煮た「亀煮」、たれに漬け込んだ白身魚がネタの「島寿司」、ササヨという魚を野菜と一緒に酢漬けにした「ピーマカ」。亀煮は島によって味付けが異なり、父島では塩、母島ではしょうゆを使うのもおもしろい特徴です。
◆小笠原を代表する高級深海魚「ハマダイ」
初夏に旬を迎える「ハマダイ」は、小笠原を代表する魚のひとつ。市場では高値で取引され、キロ数千円の値段がつくことも珍しくありません。二又に分かれた尾びれが長いため「オナガ」とも呼ばれます。
水深200m以上の深海に住む魚で、体長は1mにもなります。背中と尾の赤色は「深海のルビー」と称されるほどの美しさです。
小笠原のハマダイは、産卵を控えた初夏が旬になります。主に刺身として提供され、コリッとした歯ごたえと甘みのある味わいが特徴です。時間が経っても血合いの色がくすみません。
お祝いの席では美しい赤色を活かし、姿作りでふるまわれることも。皮の湯引きは特に美味とされています。ただ、値段が高く、魚屋やスーパーで見かける機会はほとんどないそうです。
一方で、料理店や寿司屋なら、タイミングが合えばハマダイに巡り合えるかもしれません。
東京の水産物を扱う飲食店・販売店は、TOKYO GROWNでもご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
今回の記事では、意外と知られていない「東京の漁業」をご紹介しました。
東京の漁業がこんなにバラエティ豊かだと知って、驚いた方もいるかもしれません。都会の一部として身近な東京湾と、そこから約1,000km離れた小笠原諸島では、魚種も漁法も全く異なります。多摩川水系で揚がる、アユやヤマメなどの淡水魚も魅力的です。
卓越した味わいと優雅な姿を併せ持つハマダイは、宝箱のような東京の漁業を象徴する存在といえます。赤く長い尾を揺らして深海を泳ぐ姿は、どれほど美しいのでしょうか。いつかは味わってみたい憧れの魚です。
特に小笠原諸島では、鮮度抜群の海の幸を楽しめます。亀煮や島寿司、ピーマカといった、独特の郷土料理も気になるところです。海鮮料理がお好きな方は、ぜひ船に乗って、現地を訪ねてみてはいかがでしょうか。
小笠原の漁業に興味が湧いた方は、ぜひこちらの現地レポートもチェックしてみてください。実際の水揚げ風景から、島の漁業のリアルが伝わってきます。
「人に歴史あり」を座右の銘に活動しているフリーライターです。
好きなものはバイクとサッカー観戦、苦手なものは庭の雑草とオバケ(ただし霊感はまるでなし)。
野菜のおいしさや食べることの素晴らしさを伝えていきたいと思っています。




