株式会社加賀屋の越村健太郎さん

東京が誇るブランド鶏「東京しゃも」をご存知でしょうか?
江戸の名物料理として人気を博した「しゃも鍋」は時代の経過とともに一時は姿を消しかけた食文化でしたが、昭和40年代になると伝統的な味の復活を求める声が高まり、軍鶏系統を75%引き継ぐ「東京しゃも」の開発へと至ります。料理人から高い評価を受ける「東京しゃも」の魅力について、今回は、明治10年創業の鶏肉専門問屋「株式会社加賀屋」の越村健太郎さんに、「東京しゃも」の魅力やおすすめの食べ方についてお話を伺いました。

東京が誇るブランド鶏「東京しゃも」とは

江戸時代、闘鶏につかわれていた軍鶏(しゃも)を「しゃも鍋」で食すのが、江戸っ子にとって人気のグルメだったことが当時の文献に記録されています。
しかし、明治、大正、昭和と時代を経るなかで、その食文化は次第に衰退。昭和40年代には、鶏肉は生産コストが低く、大量生産に適したブロイラーが中心となっていました。

一方で、淡白な味わいのブロイラーに対して、コクがあって味がよく、江戸の伝統を受け継ぐ「しゃも」の味を復活させたいという声も高まっていきます。その声に応える形で、旧東京都畜産試験場(現東京都農林総合研究センター)を中心に研究が重ねられ、昭和57年に現在の交配方法を確立。昭和59年に「東京しゃも」として流通が始まりました。令和元年には、地理的表示(GI)保護制度に基づく登録も受けています。

東京しゃも

「TOKYO GROWN フォトライブラリー」より

軍鶏の血統を受け継ぐ「東京しゃも」の特徴

「東京しゃも」は、軍鶏に他種の鶏を交配して生まれました。けんか鶏である軍鶏の血統を75%も引き継いでいることから、他の鶏肉に比べてかなりの筋肉質。高タンパクで低脂肪、肉の赤みの濃さも特徴的です。「オスについては特段に強い歯ごたえがあり、噛むごとに肉本来の味が直に伝わってきます」と越村さんは言います。

しゃも肉

写真提供:株式会社加賀屋

「東京しゃも」がプロの料理人に選ばれる理由

「東京しゃも」は、一般的なブロイラーの約3倍の期間(20週)をかけてじっくり飼育されます。長期間飼育することで、肉の熟度が増して味わいが濃厚になり、よいだしが出ると評判です。火を入れても肉汁が逃げにくく、旨みやコクをしっかり味わえる点もプロの料理人に選ばれる理由のひとつと言えるでしょう。

こうした肉質から、鍋料理だけでなく、鶏のうまみを生かすラーメンなどにも使われています。越村さんによると、「清湯(チンタン)系の、いわゆる高級路線のラーメン屋さんで、東京しゃもが使われていることが結構あったりしますよ」とのこと。鶏ガラから上品なだしが取れることも、「東京しゃも」が料理人から支持される理由のひとつです。

鶏のスペシャリスト加賀屋さんおすすめの食べ方

では、「東京しゃも」はどのように味わうのがおすすめなのでしょうか。
越村さんにおすすめの食べ方を尋ねると、「それはやはり、しゃも鍋でしょう!」との答えが返ってきました。

「東京しゃもは味が強いので、東京の甘めの割下にも負けません。筋肉質なので煮崩れたりもしません。ただし、食感がだいぶしっかりしているので、薄くスライスして調理するのがポイントです。これぞしゃも!という味を楽しめますよ」

江戸の名物料理として親しまれてきたしゃも鍋。東京しゃもの濃厚なうまみとしっかりした肉質を味わうなら、まさにぴったりの料理です。

鶏のスペシャリスト加賀屋さんおすすめの食べ方

写真提供:株式会社加賀屋

「東京しゃも」をはじめ、さまざまな地鶏を取り扱う株式会社加賀屋さん。
創業は明治10年で、2027年には創業150周年をむかえます。地鶏の販売に本格的に力を入れ始めたのは平成3年。越村さんのお父様の代になってからのことだとか。

「代表(父)は、とにかく鶏が大好きで、よりおいしいものを求めて全国の産地を駆け回った結果、地鶏と赤鶏の取り扱いが日本一多い店と言われるまでになりました」と越村さん。鶏に関するあらゆる知見を多く持っていることから、他の鶏肉専門店・卸などから相談を受けることも少なくないそう。お父様と同様にとにかく鶏が大好きだという越村さんは、「地鶏といえば加賀屋という、“専門店の中の専門店”という立ち位置を目指していきたい」とも語っていました。

「東京しゃも」はどこで食べられる?

越村さんに教えていただいた「東京しゃも」を食べられる主な飲食店をご紹介します。

なお、取り扱いや提供メニューは時期によって変更される場合があります。
訪問前に各店舗へご確認ください。

「東京しゃも」はどこで購入できる?

加賀屋さんのECサイトで、贈答用「東京しゃも」の取り扱いがあります。

新橋にある店舗では、1羽単位なら小売対応も可能とのこと。
「東京しゃも」は筋肉質で素人が捌くには難易度が高いため、事前に予約して職人さんに捌いてもらうのがおすすめです。小売価格については店舗へご確認ください。

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株式会社加賀屋
住所 東京都港区新橋3-6-6 加賀屋ビル
TEL 03-3591-1835
JR新橋駅烏森口 徒歩3分
都営三田線 内幸町駅 A1出口 徒歩3分

「東京しゃも」で江戸の風情に思いを馳せる

池波正太郎の時代小説「鬼平犯科帳」にも登場するしゃも鍋。鬼平と呼ばれた、火付盗賊改方の長谷川平蔵宣以も好んだとされています。

現代に蘇った「東京しゃも」のしっかりとした歯ごたえや濃厚なうまみを味わいながら、江戸から続く東京の食文化に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

「東京しゃも」で江戸の風情に思いを馳せる

写真提供:株式会社加賀屋

タナカトウコ/Toko Tanaka

フード系ライター。著作に「旬野菜のちから−薬膳の知恵から−」「毎日おいしいトマトレシピ」等がある。日本野菜ソムリエ協会発行「野菜ソムリエ通信」編集担当。保有資格は、野菜ソムリエプロ、漢方臨床指導士、薬膳アドバイザー、他多数。現在は社会人大学生として地理学を勉強中。

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