First View Image

東京では年間約22万鉢のシクラメンが出荷されています。なかでも瑞穂町は、シクラメンの生産が盛んな地域で、「みずほ育ちのシクラメン」として親しまれています。 一般的なシクラメンには香りが控えめな品種が多いなか、瑞穂町では豊かな香りが特徴の品種も生産されています。今回は、瑞穂町でシクラメンを育てる栗原園芸の園主である栗原吉徳さんに、産地の魅力や栽培へのこだわり、花を長く楽しむためのポイントを伺いました。

瑞穂町でシクラメン巡り。生産者の思いが育む「みずほ育ちのシクラメン」

瑞穂町では、岩蔵街道沿いを中心にシクラメンの栽培が盛んで、「シクラメン街道」として親しまれています。 農家ごとに育てる品種や特色が異なるため、直売所を巡りながら、お気に入りの一鉢を探す楽しみもあります。

瑞穂町でシクラメンの栽培が始まったのは、約50年前。2011年には、地域の生産者が品質向上を目指して「みずほ育ちのシクラメン」ブランドを立ち上げました。

産地の発展を支えてきたのが、生産者同士のつながりです。栗原園芸の栗原さんによると、生産者同士が交流し、互いに栽培技術を磨いてきたことが、品質の向上につながっているそうです。地域で力を合わせて育ててきたシクラメンは、今では瑞穂町を代表する特産品の一つとなっています。

シクラメンの生産直売にこだわり続けて36年。栗原園芸

シクラメンの生産直売にこだわり続けて36年。栗原園芸

園主の栗原吉徳さんと妻の清美さん
写真提供:栗原園芸

栗原さんの父親は養鶏業を営んでいましたが、ホームセンターでのアルバイトをきっかけに花の美しさに魅了されたといいます。その後、同じ瑞穂町のシクラメン農家で研修を積み、独立して現在の栗原園芸を立ち上げました。

栗原園芸の温室には、さまざまな品種やサイズのシクラメンが並びます。生産直売にこだわり、購入した人が花を長く楽しめるよう、満開になる前の鉢を販売しています。

さらに、自宅での管理に役立つ「育て方マニュアル」と、花を育てるための肥料「お弁当肥料」も添えています。こうした工夫もあり、購入したシクラメンを翌年の4月頃まで楽しめることもあるそうです。毎年購入を楽しみに訪れるリピーターも多く、近隣地域の人々に親しまれています。

温室には、赤やピンク、白など色とりどりの花が楽しめ、まるで植物園のよう。実際に花を見比べながら、自分好みの一鉢を選べるのも、直売ならではの魅力です。

Content Image

写真提供:栗原園芸

また、栗原さんは、シクラメンを通じて生まれ育った瑞穂町をもっと盛り上げたいと、町内の「みずほエコパーク」でシクラメンの植栽活動にも取り組んでいます。栗原さんをはじめ、瑞穂町のシクラメン農家の有志が集まり、約5,000ポットのシクラメンを植え付けていきます。

植えられているのは、冬の寒さに強い原種のシクラメン。9月から翌年5月頃まで、3品種の花を楽しめるそうです。

Content Image

みずほエコパーク
写真提供:栗原園芸

シクラメンを育てるだけでなく、地域の人々にも花の魅力を届ける。こうした活動からも、栗原さんのシクラメンと地元への想いが伝わってきます。

種まきから約1年。手間をかけて育てるシクラメン

店頭に並ぶ華やかなシクラメンですが、その一鉢が出荷を迎えるまでには、種まきから約一年もの時間がかかります。
発芽した苗は、成長に合わせて少しずつ大きな鉢へと植え替えていきます。その回数は3回。植え替えは一鉢ずつ手作業で行うため、多くの時間と手間がかかります。

また、年間を通して育てるシクラメンは、季節に合わせた管理も欠かせません。成長が盛んな春と秋にはしっかりと肥料を与え、暑さが厳しい夏には肥料を控えめにします。

特に気を配るのが、夏の暑さ対策です。シクラメンは暑さが苦手なため、夏場の温室では遮光カーテンで日差しを遮り、扇風機やファンを回して温度管理を行います。

栗原さんは、シクラメンも人間と同じように、日々よく観察することが大切だと話します。植物の状態を見ながら、肥料の量や水やりの頻度を調整する。こうした日々の細やかな気配りが、美しい花を育てることにつながっています。

種まきから約1年。手間をかけて育てるシクラメン

写真提供:栗原園芸

瑞穂町ならではの香りシクラメン「みず穂の香」

瑞穂町のシクラメンのなかでも注目したいのが、豊かな香りを楽しめる「みず穂の香」です。

レースのようなフリンジが入った花びらと、ウッディフローラルの香りが特徴。見た目の美しさだけでなく、香りでも楽しませてくれる、個性豊かなシクラメンです。

そのルーツは、東京都農林総合研究センターが育成した香りシクラメン「はる香ミディ」にあります。一般的なシクラメンは香りがありませんが、香りも楽しめるように品種改良が行われました。この品種をもとに、瑞穂町の生産者が「みず穂の香~ファーストラブ~」として販売しています。

一般的なシクラメンに比べると、花が咲き終わるまでの期間はやや短いものの、豊かな香りは大きな魅力。「みずほ育ちのシクラメン」のなかでも、瑞穂町ならではの個性を感じられる品種です。

瑞穂町ならではの香りシクラメン「みず穂の香」

写真提供:栗原園芸

農家さん直伝!シクラメンを長く楽しむためのコツ

せっかくお気に入りのシクラメンを購入するなら、できるだけ長く花を楽しみたいもの。そこで、栗原さんに、選び方と自宅での管理のポイントを教えていただきました。

【選ぶときは、葉の数とつぼみに注目】
シクラメンを選ぶときは、まず葉の多い鉢を選ぶのがポイントです。葉の数が多いものほど、たくさんの花を楽しめるといいます。

さらに、葉の間をのぞいて、さまざまな大きさのつぼみがついているかも確認しましょう。大小のつぼみがあれば、これから咲く花も期待できます。今咲いている花だけでなく、これから開くつぼみにも注目することが、長く楽しめる一鉢を選ぶコツです。

【暖房の風を避け、置き場所にも気を配る】
シクラメンは暑さが苦手な植物です。特に、暖房の効いた部屋や暖房の風が直接当たる場所では、花が早く咲き進み、観賞できる期間が短くなることがあります。

置き場所は、暖房の影響を受けにくく、明るく涼しい場所がおすすめです。日が当たる場所を選び、室温が高くなりすぎないように気を配りましょう。

水やりは、鉢のタイプに合わせて行います。一般的な植木鉢タイプの場合は、土の状態を確認しながら、土が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。水を与えるタイミングを見極めることも、元気な花を長く楽しむための大切なポイントです。

農家さん直伝!シクラメンを長く楽しむためのコツ

写真提供:栗原園芸

冬の暮らしに彩りを。心を豊かにする東京の花

「みずほ育ちのシクラメン」は、生産者による直売のほか、期間限定のJAアグリパーク販売会や、JA全農東京が運営する産地直送通販サイト「JAタウン」などでも購入できます。

栗原さんは、花について、野菜やお米のように生活に欠かせないものではないけれど、あることで心を豊かにしてくれる存在だと話していました。

寒い冬は、家で過ごす時間も長くなる季節。そんな暮らしに、鮮やかなシクラメンが一鉢あるだけで、部屋の雰囲気も華やぎます。

色とりどりの花を楽しむのはもちろん、香りを楽しんだり、日々の成長を眺めたりするのも、シクラメンならではの魅力です。生産者の思いが込められた「みずほ育ちのシクラメン」を迎えて、冬の暮らしに彩りを添えてみてはいかがでしょうか。

のはらななこ/Nanako Nohara

病院、施設、保育園など10年以上現場の栄養士として活躍後、現在は栄養指導業務を中心にフリーランスの管理栄養士として活動しています。 料理が好きで、食べて健康になれるようにお野菜多めのレシピをSNS・レシピサイトで投稿しております。プライベートでは1児の母として毎日奮闘中です!

BACKNUMBER

東京の農家に会いに行こう

RELATED ARTICLERELATED ARTICLE

トピックス

カエル×ビール=祭り? 東京まんなか水田「 やぼたん」プロジェクト

トピックス

女性農業経営者のホンネ! ~東京農業の未来を考える「東京農村」6周年スペシャルイベント~

トピックス

「自然の近くで暮らす」ライフスタイルも魅力的に! 新規就農7年目、繁昌農園が多くの人々を引き寄せる理由

トピックス

「ガストロノミー」が、東京農業の新たな一手となる!

食材ハンター

エディブルフラワー

トピックス

「地域住民との絆を結ぶ直売所」 国分寺清水農園

トピックス

多摩地域唯一の村、檜原村名産のコンニャク ~伝統のバッタ練り製法が生み出す本来のおいしさ~

トピックス

生ごみを宝に!市民が活躍するコミュニティガーデン ~日野市 せせらぎ農園~

トピックス

色で楽しむ東京野菜シリーズ ~『きいろ』編~

トピックス

色で楽しむ東京野菜シリーズ ~『橙色』編~

ページトップへ