東京農業アカデミーとは?
「東京農業アカデミー八王子研修農場」は、東京で唯一の公的な農業研修機関です。東京都が設置し、公益財団法人東京都農林水産振興財団が運営。農家出身ではない農外からの就農希望者を対象とし、2年間のカリキュラムの中で、農業全般に関わる座学研修から、独立就農に結び付く実践的な実習研修までを行っています。技術と経営の両面から、東京農業に必要な知識やノウハウを総合的に学べる研修内容となっています。
東京では農家の数が減少している一方で、新規就農者数は増加傾向も。新規就農者は、親元での就農、法人での雇用就農、農外からの新規参入の3つに大別されます。「東京農業アカデミー八王子研修農場」では、東京で農地を借りて新たに就農したいという農外からの参入者を対象に実践的で手厚いカリキュラムを提供。現在は第8期生を募集中です。本記事では東京農業アカデミーで学べることと研修生のリアルな声をご紹介します。
「東京農業アカデミー八王子研修農場」は、東京で唯一の公的な農業研修機関です。東京都が設置し、公益財団法人東京都農林水産振興財団が運営。農家出身ではない農外からの就農希望者を対象とし、2年間のカリキュラムの中で、農業全般に関わる座学研修から、独立就農に結び付く実践的な実習研修までを行っています。技術と経営の両面から、東京農業に必要な知識やノウハウを総合的に学べる研修内容となっています。
◆研修1年目
基礎知識と技術の習得を中心としたカリキュラム構成です。主な研修場所は、約2万平方メートルもの広さを持つ八王子研修農場。同期生のチームで20品目以上の野菜を栽培します。荷造り出荷作業や販売実習も実際に行うのだとか。1年目の後半では、都内全域での農家派遣研修も実施。多様な農業モデルを知って、自身の就農モデルの構想を練っていきます。同時に就農希望先(市区町村)への挨拶や農地確保の可能性等についても検討していきます。
◆研修2年目
就農をイメージした主体的かつ実践的なカリキュラム構成になっています。研修農場内に自分の畑を持ち、特に作りたい品目について集中的に栽培実習を行います。就農希望地での農家派遣研修も実施。具体的な就農計画を作成し、独立就農へとつなげられるようにしていきます。
◆外部講師による特別講義
作物栽培や経営に関する基礎講座のほか、POP研修、マーケティング入門、AI活用、SNS活用、販売等に向けたマナー講習、農福連携の事例検討等を行うなど、時代のニーズに合わせた外部講師による特別講義も行っています。
東京での農業は、農地の確保の難しさと、大消費地に近いという利点の二面性があります。東京農業アカデミーは、東京だからできる農業を実践的に学ぶ場として機能しています。
東京農業アカデミー八王子研修農場の農場長 小寺孝治さん
農業を行う上で必要なことは、経営理念があること、人間力(コミュニケーション力や忍耐力、向上心、礼儀など)があること、資本(資金)があること。そして、新規就農者が農業で生きていくためには、多くのことが必要です。売れる農作物がつくれること、畑をきれいに管理できること、販路が確保されていること、地域との関係が良好なこと、計画や収支管理ができること、生産環境を計画的に整えていくこと。農地の他に住居・作業場・保管庫・保冷庫・機械庫の確保等々、5〜10年を見据えた生活パターンの構築も必要です。「当アカデミーではこういったことに細やかにサポートできるよう定員を5人に限定しています。我々がもっとも大切にしているのは“人づくり”です。修了生たちが地域に根差して喜ばれる存在になるのが理想です。」と小寺農場長は穏やかな笑顔で語っていました。
研修2年目をむかえる安留もみじさんと石谷征彦さんにお話を聞きました。
◆安留(やすどめ)もみじさん
安留もみじさんは大学を卒業してすぐに東京農業アカデミーに入学しました。「高校や大学で週1回程度の農業実習があり、自分には農業が向いていると直感で思っていました。とはいえ、非農家・未経験の自分が就農するのは、農地の確保も含めて極めて難しいことだという理解はありました。いろいろ調べている中でこのアカデミーを見つけ、倍率が4倍と高かったのですが、なんとか合格できました。」とのこと。修了後はあきる野市で就農予定。「まとまった農地も確保できて、地域の方とのコミュニケーションも深めているところです。アカデミーに入学して、本当によかったです!」と安留さん。
マスクメロンの宙吊り栽培にも挑戦中。ふるさと納税に出品するのが夢だとか。
あきる野市はトウモロコシが名産ということで、研修農場内で自分に割り当てられた畑ではトウモロコシを栽培実習中。この日はチャレンジ品目として、赤いトウモロコシの大和ルージュの手入れをしていました。他に、スイカ、ナガイモ、キャベツ、ブロッコリー、赤ネギ、カリフローレなど、「直売所で選んでもらえるような品目にも取り組んでいます。」とのことでした。
◆石谷征彦(いしたに ゆきひこ)さん
石谷征彦さんは、前職では千葉県の障がい福祉施設に勤務されていました。施設では軽度知的障がい者の外部作業として農作業があり、上司からの指示でその担当を任されました。当初は興味がなかったけれど、入所者たちがいきいきと作業する姿を目の当たりにして、自分もやる気に火がついたのだとか。しかし、人事異動で農業とはまったく関係のない部署に配置となり、悲しくなって退職に至ります。友人からも「農業してた時は、一番イキイキしてたじゃん!」と言われたのが、農業の道を志すきっかけでした。「1人でたくさんの畑をもたせてくれるし、2年間みっちり学べるのはここだけです。すごく勉強になりました。」と石谷さん。
キュウリを管理中の石谷さん。奥に見えるのはキャッサバ。レア品目にもチャレンジ中。
現在はトマトやキャベツをはじめ、かなりの多品目を栽培中。「1年目はみんなで作業したので回せていましたが、一人では管理する品目数に限界があることを実感しています。これもいい勉強になりました。」とのこと。修了後は東村山市で就農予定。その地域は高齢の農業従事者が多いので、キャベツやダイコン、ジャガイモなど重めの野菜で給食用出荷を目標としているそうです。
東京農業アカデミーでは、現在、第8期の研修生を募集中です。
◆研修期間
令和9年4月から令和11年3月まで(2年間、約2,600時間)
※研修日は月曜から金曜まで(祝日除く)
※必要に応じて休日(土曜・日曜・祝日)も野菜の栽培管理を行うことあり
※夏季(8月)・冬季(12~1月)に約1週間の休暇、春季(3~4月)には在宅学習あり
◆募集受付期間
令和8年9月11日(金曜日)から11月6日(金曜日)まで
◆募集定員
5名程度
◆応募資格
18歳以上(令和9年4月2日時点)等
◆選考
作文・実地試験等による選考
東京農業アカデミーには、東京という地で、農業で生計を立てるための学びがぎゅっと濃縮されています。定員は5名程度という狭き門ですが、その分だけ非農家からの就農という無謀とも言われる夢を実現できるはず。熱い心を持った小寺農場長と講師陣、研修生とともに、あなたもチャレンジしてみませんか?

フード系ライター。著作に「旬野菜のちから−薬膳の知恵から−」「毎日おいしいトマトレシピ」等がある。日本野菜ソムリエ協会発行「野菜ソムリエ通信」編集担当。保有資格は、野菜ソムリエプロ、漢方臨床指導士、薬膳アドバイザー、他多数。現在は社会人大学生として地理学を勉強中。




