亀戸ダイコン

秋の深まりとともに、さまざまな秋冬野菜が顔を見せ始めるシーズンとなりました。今回は10月以降に旬を迎える東京産の野菜をピックアップ。東京には、亀戸ダイコン、練馬ダイコン、伝統大蔵ダイコンなどの伝統的なダイコンがあります、そのほか、東京ウド、シントリ菜、馬込三寸ニンジン、コマツナの5つについて、それぞれの特徴やおすすめの食べ方などをご紹介します。

現在主流の青首から伝統品種までいろいろ楽しめる「ダイコン」

東京都農作物生産状況調査(令和6年産)によると、東京都内でダイコンが作付されている面積は20,725アール、年間収穫量は7,803トンで、生産の主流は青首ダイコンです。もっとも栽培されているのは八王子市で1,102トン。次に青梅市(706トン)、町田市(623トン)、練馬区(570トン)です。

ダイコンは古くから親しまれ、各地に伝統的な品種も複数残されています。東京にも「亀戸ダイコン」「練馬ダイコン」「伝統大蔵ダイコン」など、江戸東京野菜に数えられる伝統的な品種が受け継がれています。青首ダイコンは通年で青果売場に並んでいますが、東京の伝統的なダイコンが出回り始めるのは10月中旬頃からです。個性的な見た目や味わいなど、青首ダイコンとは異なる魅力を楽しんでみませんか?

◆亀戸ダイコン

亀戸ダイコン

まず始めに出回るのは亀戸ダイコンです。収穫時期は10月中旬~4月中旬頃。先端が細長く尖った円錐形で、長さは25〜30cm。一般的な青首ダイコンに比べて、小振りで華奢な見た目が特徴です。ダイコンでは珍しい白い葉軸が「粋だねぇ」と江戸っ子たちから評価され、かつては高値で取引されていたとも言われています。根も葉も軸もクセがなくやわらかいことから、ダイコン全体をつかった浅漬けや味噌汁、サラダなど、あえて調理の手間をかけずに食べるのがおすすめです。

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◆練馬ダイコン

練馬ダイコン

練馬ダイコンの収穫時期は11月中旬~12月上旬頃。練馬系と呼ばれる大根には数種あり、たくあん漬用の「練馬尻細大根」と、煮食用の「練馬秋づまり大根」が代表的な品種です。おすすめの食べ方はやはり漬物。塩と米ぬかだけで漬ける伝統的なたくあん漬は、パリっとした歯ごたえと旨みが感じられ、練馬ダイコンだからこそ出せる味があります。

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◆伝統大蔵ダイコン

大倉ダイコン

伝統大蔵ダイコンの収穫時期は11月中旬~12月下旬頃。根の上部から先まで同じ太さの円筒形で、根長は50〜60cm、根径は8〜10cmの白首ダイコンです。青首系のダイコンに比べて水分が少なく、じっくり煮込む料理に向いています。少し肌寒さを感じる夕暮れ時には、昔ながらの味付けのおでんで伝統大蔵ダイコンを楽しんでみるのはいかがでしょう。

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「シントリ菜」の元の名は、ちりめん白菜

「シントリ菜」の元の名は、ちりめん白菜

10月中旬頃から出回る「シントリ菜」は、ちりめん白菜(唐菜・唐人菜)と呼ばれていたアブラナ科の野菜を若採りしたもの。外側の葉を取り去ってやわらかい芯の部分だけを使うことから、市場では「シントリ(芯取)菜」と呼ばれるようになりました。江戸川区、葛飾区、足立区、小金井市などで生産が続けられています。

収穫時期は10月中旬~3月中旬頃。丸みを帯びた葉と白い葉柄が特徴的です。繊維がやわらかく、アクがないので生でも食べられます。さっと湯がいておひたしやお吸い物の具材に、また中華風の炒め物やスープで食べるのもおすすめです。

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徳川吉宗が名付けたとされる「コマツナ」

徳川吉宗が名付けたとされる「コマツナ」

「コマツナ(小松菜)」の名称は、江戸時代初期に現在の江戸川区小松川付近で栽培されていたことに由来し、8代将軍・徳川吉宗と深い関わりがあると言われています。

11月の声が聞こえると、いよいよ東京都産コマツナのシーズンが始まります。東京都農作物生産状況調査(令和6年産)によると、コマツナの作付面積は東京都内で37,498アール、年間収穫量は6,407トン。もっとも栽培されているのは江戸川区で2,584トンです。次に葛飾区(683トン)、八王子市(424トン)、足立区(419トン)と続き、江戸川区・葛飾区・足立区の3区では農業産出額順位の1位品目がコマツナとなっています。

収穫時期は11月〜2月頃。味にクセがないため、おひたし、煮物、汁物の具材、サラダ、スムージーなど、コマツナはさまざまな料理に幅広く利用できます。東京のお雑煮には欠かせない青菜としての役割もあり、名脇役としての存在感がピカイチの野菜です。

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キュートな手のひらサイズの「馬込三寸ニンジン」

キュートな手のひらサイズの「馬込三寸ニンジン」

江戸東京野菜のひとつ「馬込三寸ニンジン」は、その名の通り大田区西馬込の農家によって育成された品種です。長さ10cmほどで先が丸みを帯びた太くずんぐりとした形をしていて、まさに“3寸”のサイズ感。ずんぐりとした円錐形が特徴的です。

収穫時期は11月中旬〜12月下旬頃。発祥の地である大田区や世田谷区などでわずかに生産が続けられています。肉質がやわらかく、香りと味は良好。煮物はもちろん、生でもおいしく食べられます。葉の部分はやわらかく香りがよいので、葉付きを入手できたらぜひ天ぷらに。サクサクとした食感と爽やかな香りを楽しめます。

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室と呼ばれる穴蔵で白く育つ「東京ウド」

室と呼ばれる穴蔵で白く育つ「東京ウド」 室と呼ばれる穴蔵で白く育つ「東京ウド」

冬の訪れとともに旬を迎える真っ白な「東京ウド」。室(ムロ)と呼ばれる穴蔵で光を遮断した環境で昔ながらの軟白栽培が続けられています。東京ウドは天然のウドに比べて苦みがまろやかで食感もやわらかいのが特徴です。

11月中旬から出荷し始める生産者さんもいますが、本格的な出回り時期は12月中旬~翌年4月下旬頃です。東京都農作物生産状況調査(令和6年産)によると、東京都内でウドが作付されている面積は1,177アールで、年間収穫量は143トン。もっとも栽培されているのは立川市で51トン、次に国分寺市(34トン)、小平市(21トン)です。3市で7割以上を占め、北多摩エリアの特産物ともいえるでしょう。

やわらかい穂先はそのままで、茎の太い部分は厚めに皮をむいて酢水にさらし、サラダや酢味噌和えなどで食べるとシャキシャキ食感を楽しめます。むいた皮はかき揚げやきんぴらに。丸ごとおいしくいただけるのが東京ウドの魅力です。

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「東京味わいフェスタ2026」で“東京産”を楽しみましょう!

今回ご紹介した「亀戸ダイコン」「練馬ダイコン」「伝統大蔵ダイコン」など、東京には昔から受け継がれてきた「江戸東京野菜」があります。「もっと江戸東京野菜について知りたい」「実際に見てみたい」という方は、東京味わいフェスタ2026に足を運んでみてはいかがでしょうか。

東京味わいフェスタ2026の丸の内会場では、江戸東京野菜の展示コーナーが設けられる予定です。普段の食卓ではなかなか見る機会のない野菜を実際に見たり、その特徴や歴史に触れたりしながら、東京の農業や食文化について知ることができます。

その他にも、東京産食材を使った料理の提供や、農産物の販売、東京の農林水産業の魅力を体感できるワークショップなど、さまざまな企画が予定されています。東京産野菜の断面を使ったスタンプ企画も実施予定です。
「東京味わいフェスタ2026」の詳細は、近日公開予定の記事でご紹介します。ぜひお楽しみに!

タナカトウコ/Toko Tanaka

フード系ライター。著作に「旬野菜のちから−薬膳の知恵から−」「毎日おいしいトマトレシピ」等がある。日本野菜ソムリエ協会発行「野菜ソムリエ通信」編集担当。保有資格は、野菜ソムリエプロ、漢方臨床指導士、薬膳アドバイザー、他多数。現在は社会人大学生として地理学を勉強中。

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東京産をおいしく食べる

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