HUNTING

シジミの基本情報

食品成分シジミ
廃棄率75%
エネルギー64kcal
水分86.0g
たんぱく質7.5g
脂質1.4g
炭水化物4.5g
灰分1.2g
重量100g

淡水と海水が混ざっている砂地に住む小さな二枚貝で、殻の表面が若いうちは茶褐色、成長すると黒くなります。日本に広く生息するシジミは、ヤマトシジミという種類です。

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羽田沖で土用のシジミをハント!

土用にシジミ!

土用にシジミ!

今どきの土用は、すっかりウナギの日になっていますが、夏に産卵期を迎えるシジミは栄養があり、江戸っ子は夏の土用の滋養強壮に、シジミを好んで食べていました。
そんな江戸前のシジミが、どこで獲れるのかご存知でしょうか。

穴守稲荷の鳥居 桟橋 桟橋

飛行機の見える漁場

潮の香りがする下町の住宅街を抜けると海に向かってそびえたつ象徴的な鳥居があります。
東京都大田区にある穴守稲荷の古い鳥居で、戦後、GHQに接収された空港を拡張する際に移転したものだそうです。
湾に向かって小さな桟橋が、いくつも伸びて漁船が停泊しています。

そんな羽田空港や鳥居のすぐ近くにある大田漁業協同組合(大田漁協)さんへ、江戸前のシジミを取材しにお邪魔しました。
漁協の裏には、嵐などで波が荒れたときに船を停泊させる退避所があり、今回は特別に、そちらから乗船させていただきました。

シジミ漁 大田漁協 シジミ会会長 福石さん シジミ漁

漁に出たよ!

船に乗せていただいた福石さんは、東京湾で代々漁業を営む家に生まれた漁師さんです。
大田漁協の中でシジミ会の会長さんをなさっています。
シジミは、昨日たくさん獲れたからといって、今日、同じ場所に行っても獲れるわけでなく、経験や勘に頼る部分が大きいそうです。
海水と川の水が混じり合うところを「汽水域」と呼ぶのですが、漁師さん達がシジミを獲るときは、多摩川河口の汽水域の辺りで漁をします。
砂に沈めた金属製のマキカゴの柄を手で握り、先についた籠を小さく左右に揺らしながら後ろ向きで歩く「腰巻き漁」と言われる伝統的な漁法です。こうすると、機械で獲るよりも、シジミのちょうつがいの辺りが白くならず、全体的に傷つきづらいのだそうです。
シジミは、温かい砂の中が好きで、夏は砂の中の浅い場所で、冬は深い場所にもぐっているそうで、夏と冬では、マキカゴを砂に入れる深さを変えるそうです。

多摩川河口域でのシジミ漁 多摩川河口域でのシジミ漁 大きなシジミ

環境や水産資源に配慮した漁業

多摩川河口域でのシジミ漁は、漁業権が設定されています。
漁業権というのは、獲ることを権利として認められるだけでなく、資源を守る義務もあるので、シジミを獲っていい時間は1日に3時間と決められているそうです。
このあたりで獲れるシジミは、天然ものなので、大きさが不揃いです。
こんなに大きなシジミも、発見しました!
「ガタ」と呼ばれる網の隙間が10mmになっているため、それより小さいシジミはガタの目から落ちていくので、それらを川に帰して資源保護に努めています。
シジミは通年で獲れますが、8月が産卵期になるため、禁漁です。
むやみに獲るのでなく、強い意志を持って水産資源を守る取り組みがなされていることに感銘を覚えました。

大田漁協のシジミ

昨年、大田漁協では、海洋環境や水産資源に配慮した漁業および養殖業由来の水産物を証明する制度であるマリンエコラベル認証(MEL認証)を取得したそうです。

大田漁協のシジミ

水産資源の変化

今、多摩川下流域では、工事や台風の影響により水産資源が激減しています。
昔は、シジミやアサリ、ハマグリなどの貝類やアナゴなども獲れたそうですが、今では、シジミがメインだそうです。
平成24年には120トン近くあったシジミの漁獲が、昨年は2トンまで落ち込んだそうです。
「海が落ち着かない」って表現をなさっていたのが印象的でした。
あまりの漁獲高の落ち込みに、大田漁協では昨年から海に稚貝を撒き始めました。今年は夏と秋に計4トンのヤマトシジミの稚貝を撒いて自然の状態で育てる活動をし、資源が枯渇しないようにするそうです。
福石さんからいただいた江戸前のシジミで味噌汁を作りましたが、びっくりするほどダシが出て本当においしかったです。


レシピ「しじみと小松菜のリゾット」のページはこちら
https://tokyogrown.jp/recipe/detail?id=672787

島田さん

福石さん

江戸前のシジミ

水産資源にとってより良い漁場になるために、育てる漁業に取り組んでいます。

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