東京の花き

東京の花きといえば、江戸時代から続く伝統の菊、シクラメンに代表される鉢物、多彩な花壇苗、島しょ地域の切り葉・切り花などがあります。今回は東京の花きの生産者ではなく、生産者と消費者を結ぶ「多摩生花地方卸売市場」で働く“競り人”を取材してきました。

多摩生花地方卸売市場

東京都日野市にある「ティー・エフ・シー 東京フロリネット・多摩生花地方卸売市場」は、1950年に立川で開場した伝統のある花き卸売市場です。日本中の花きが集まり、多摩〜八王子を中心に東京の花屋などへ出荷されます。多摩生花地方卸売市場は東京の花文化を支える大事な流通の拠点です。

伝統を守る「手ぜり」

現在日本の主要花き市場では機械を使った“機械ぜり”が一般的です。しかし多摩生花地方卸売市場では昔ながらの「手ぜり」を採用しています。「手ぜり」とは職人が買い付けに来た卸売や小売業者の前に立ち、仕草と言葉でせりを行う方法です。その伝統の「手ぜり」の第一線で活躍している、競り人の佐藤清人さん。競り人歴32年の佐藤さんは「手ぜり」について、「機械ぜりよりも素早く安定した販売ができ、極端な安価を回避しやすい。競り時間が短いので生花店は開店から鮮度の良い花を販売できる。そして安定した販売をすることで生産者に還元できる。」と話します。

競り人としてのやりがい

「手ぜり」の現場は圧倒される活気があります。そんな中でのやりがいは「市場での花形の仕事のところ。また販売価格を天候や入荷数量、日柄などで需給バランスを考え販売するところ。」だそうです。そんな佐藤さんにも、昔は「もっと高く販売できたんじゃないか…。」と考え悩むことも多々あったそうです。そして32年間、第一線に立っている佐藤さんは手ぜりで最も大事なのは、「生産者と業者の方からの信頼」だそうです。「少しでも安定販売をする競り人には、生産者も継続的に良い花を出荷してくれる。」そんな信頼で人と人をつないでいる佐藤さんは、今日も手ぜりの第一線で活躍しています。

▽東京の特産物(東京の花き)
 https://tokyogrown.jp/product/?type=flower

競り人/執行役員 佐藤 清人さんへの一問一答

QUESTIONS AND ANSWERS

Q.競り人で大変だったことは?
A.最初の頃、手ぜりを覚えるために先輩のやり取りをテープに録って、河原で練習したこと。
Q.東京の花の魅力は?
A.何と言っても“鮮度”!鮮度の良い状態で消費者へ届けることができます。
Q.2020オリンピックに向けて
A.花業界の一員としてビクトリーブーケ提供等に関われないか検討中

多摩生花地方卸売市場/TFC東京フロリネット株式会社

競り人/執行役員 佐藤 清人さん/SATOU Kiyoto

RELATED ARTICLERELATED ARTICLE

トピックス

「フローリスト農家」が目指す、ちょっぴり豊かな暮らしの提案。

トピックス

【第12回】「まちのタネ屋さん」は進化する!~野村植産と東京西洋野菜研究会

トピックス

【第11回】ヤギのナチュラルチーズで新規就農! 東京の山地農業にも勝算あり「養沢ヤギ牧場」

トピックス

給食という名の愛と導き 中野区立緑野中学校 

トピックス

新春特別寄稿『都市に農地を創るときが来た』

トピックス

陽のあたる縁側 すぎのこ農園

トピックス

【第10回】目黒で農地を残すには?コミュニティの拠点として都市農地を守る  目黒区「八雲のはたけ」

トピックス

【第9回】小松菜400連作!「全量残さず出荷、それこそが一番のエコだと思う」 江戸川区 小原農園

トピックス

【第8回】落ち葉を重ねて数百年 『 武蔵野の黒ボク土』をコミュニティで掘り下げる! 三鷹市 冨澤ファーム

トピックス

【第7回】女性が主体となれる農業経営の仕組みづくり( 株式会社となったネイバーズファームの狙いと可能性)

ページトップへ