東京都の中心に位置する国分寺。そんな国分寺駅の賑やかな北口の繁華街を抜けて北へと進んでいくと、のどかで自然豊かな農風景に出会うことができます。
今回は、その国分寺の農畜産物を広く市内外へPRすることで、地域の活性化につなげる取り組み「国分寺三百年野菜 こくベジ」の普及にも尽力されている清水農園の5代目、清水雄一郎さんの直売所へお伺いしました。
清水農園の畑を案内していただきながら、国分寺を含めた東京の農業の魅力を語っていただきました。
「おいしい野菜を作る秘訣は春夏秋冬、それぞれにあります。旬の良さを取り入れて季節ごとに様々な野菜を作れるところが東京の農業の特色です。」
「“こくベジ”で大切にしていることは、その農作物が作られる背景にあるストーリーです。
-北風が強い冬でも、白樫のような常緑樹が民家を守る役割を担い、玉川上水があり、五日市街道沿いのケヤキの木は、夏は涼しく、冬は落葉して日が差す-
ここに来れば、そんな風景をイメージしてもらえると思います。」
と話す清水さん。
この日の畑では、オータムポエムという野菜が栽培されていました。
別名アスパラ菜。黄色い花が咲く、秋においしい菜花の仲間です。
愛される直売所の秘密
「これから直売所へ野菜を運ぶので一緒にトラックに乗りますか?」
そう笑顔で話す清水さんと、採れたての野菜をトラックの荷台に積んで清水農園直売所へ運ぶと、そこには既に開店の準備をする奥様の姿がありました。
「清水農園のおすすめはサラダセット。お客様の声を聞きながら品揃えを考えることもありますよ。」
優しく微笑みながら、手際よく野菜を陳列していきます。
「直売所で大事にしていることは、来てくれるお客様へワクワク感を提供することです。」
山小屋のような温かみのある建物に、ポップな旗が飾られた直売所はどこか懐かしい雰囲気が漂います。
この日のお客様の中には、買ったばかりのキュウリにかじりついている小さなお子さんの姿もあり、賑やかで活気に満ちていました。
例年、野菜が少ないこの季節、近隣の農家さんから仕入れた果物や畑で育てた色とりどりの花を店頭に並べるなど、出来るだけ多くの品物を揃えるための工夫も直売所のワクワク感を生み出す秘訣のようです。
清水さんが直売所を中心に地域のお客様と交流を深めるのは、ただ野菜を売るためだけではありません。
「都市農業は畑と宅地の距離が近いので、風が強い日は畑の土埃が舞うこともあり、近隣の住宅へご迷惑をおかけすることもあります。でもお互いに顔が見える関係であれば、そのような出来事も自然と農業への理解に繋がるきっかけになっていくと思うのです。」
都市農業ならではの問題を少しでも解消できるよう、住民の方とのコミュニケーションを大事にする清水さん。時には、たくさん採れたトマトを近隣住民の方へお渡しすることもあるそうです。
インスタグラムでも積極的に配信する清水さん。農家として、もう一つ、ある想いがありました。
「日本の農家の技術は本当にすごいです。常にいいものを追求するために、日々色々な努力を重ね続けている。そんな農家の知恵と工夫、そして大変さを少しでも世間の人に知ってもらいたいという想いから、毎日少しずつではありますが情報発信も行っています。」
最後に、清水さんへ都市農業の可能性を広げるための取り組みをお伺いしました。
「都市農業を盛り上げるための取り組みには、常にアンテナを張って協力をしていきたいと考えています。世間の流れを掴んで自分ができることは積極的に対応したい。その中心としてこれからも地域の皆様と共に直売所を発展させていきたいと思っています。」そう穏やかに語る清水さん。
畑、住宅地、人。全てが緩やかに繋がる街づくりを担う清水農園の直売所。その素朴な佇まいの中に、都市農業の魅力と未来につながる可能性がたくさん溢れていることを発見できました。
【国分寺清水農園直売所】
・東京都国分寺市北町5-8
・OPEN 10:00〜12:00、15:00〜17:00(不定休)
※営業時間は、変わる可能性があります。
▼https://www.instagram.com/shimizu_ya31/
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株式会社エマリコくにたち
荒木 陽子/ARAKI YOUKO
〒186-0004
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