2025年10月24日から26日までの3日間、都内4会場で開催された「東京味わいフェスタ2025(TASTE of TOKYO)」。
なかでも豊洲会場(「がすてなーに ガスの科学館」海側特設会場)は、東京の豊かな農林水産業を肌で感じられる体験型の広場として、多くの家族連れで賑わいました。

「畑の学校」「海の学校」「森の学校」と題したトークショーやワークショップのほか、東京産グルメのキッチンカーも集結。大都市・東京の「食」と「農」の今を学んだ、熱気あふれる会場の様子を振り返ります。

東京野菜マルシェ「東京農村」 都内各地の“実り”が勢ぞろい

マルシェエリアでは、東京の篤農家(とくのうか)による獲れたて野菜や加工品がずらりと並びました。武蔵村山市で有機農業に取り組む「あらはたやさい学校」代表の荒幡さんや、東京野菜のスペシャリスト「ツカサ商店」、さらに東京大学の農業応援団体「東大あぐりえこん。」の学生たちも店頭に立ち、東京農業の魅力を元気にPR。

武蔵村山市の小松菜やゴボウ、小平市の長ネギ、国分寺市の間引き大根、日野市の「ミズとうきょう農業」梅村桂さんが生産したカラフルトマトや練馬区のトマト、小金井市の落花生、八王子の乳製品など、都内各地から集まった個性豊かな農産物が来場者の目を楽しませていました。

東京都エコ農産物

また、会場では東京都が推進する「東京都エコ農産物」も販売。化学合成農薬と化学肥料を削減して大切に生産されたことを示す認証マークを一つの目印に、多くの方が安心・安全な東京の恵みを手に取っていました。

「畑の学校」 農家から学ぶ、家庭で楽しむ野菜づくりのコツ

「畑の学校」では、練馬区農業体験農園園主会によるワークショップが開催されました。
26日には練馬区の農業者・加藤義貴さんによる「おいしい野菜」の授業や、山口幸治さんによる「野菜づくりの楽しさ」を伝える講座を実施。
プランター栽培の実演では、参加者が熱心にメモを取る姿も見られ、自分の手で野菜を育てる魅力と、プロが教える栽培のコツに、大人も子どもも興味津々の様子でした。

「海の学校」 三宅島の漁師が語る、東京の海の豊かさと流通の知恵

「海の学校」に登壇したのは、三宅島の若手漁師であり、東京都の漁業の魅力を伝える広報リーダーである「ミスターとうきょう漁業」を務める西田圭志さん。
東京大学卒業後、三宅島漁業協同組合による長期漁業研修の第3期生として研鑽を積み、2018年に同組合へ加入。「西丸」の船主として独立した異色の経歴を持つ西田さんは、水深400メートルもの深海に挑む「キンメダイ漁」のリアルな現場を紹介しました。
三宅島の「日戻りキンメ」は、獲ったその日に港へ戻るため鮮度が抜群。一方で、島ならではの厳しい自然環境が、結果として魚の獲りすぎを防ぎ、持続可能な漁業に繋がっているというお話は非常に印象深いものでした。

集まった家族連れの中には、魚や生きもの好きな子どもたちもいて、次々と手を挙げて質問していました。
「船のお昼ごはんにキンメダイを食べますか?」との質問に、西田さんが「食べたこともあるけど、キンメダイは釣ってすぐはおいしくないんです」と答えると、「じゃあ、さっきの「日戻りキンメ」の鮮度は関係ないんじゃないですか?」と鋭い質問を投げかけました。
すると、西田さんは、「時間がたった方が脂が身に移っておいしくなるのだけど、市場へ出荷した後、すぐにお店に並ぶわけではなく、そこからまた別の場所へ運搬や輸送をするとさらに日にちがかかるので、市場へ出すのは早い方がいいんです」と、流通の仕組みまで丁寧に解説。会場からは「なるほど!」と感心の声が上がっていました。

「森の学校」 憧れの“かっこいい木こり”を目指して

東京都あきる野市の林業会社「株式会社山武師」の森谷隼斗さん。
東京都の林業の魅力を伝える広報活動リーダー『ミスターとうきょう林業』に任命されました。
森谷さんは、子どもの頃から自然が好きで、テレビで見て林業の仕事を知ったそうです。
2010年に都内の林業会社に勤務して2018年に独立し、株式会社山武師を設立し、現在は社員と5人で森林の維持管理や木の伐り出しをしています。

森谷さんが目指すのは、林業を「子どもたちが憧れる職業」にすること。Instagramなどで発信する現場の仕事ぶりは、まさに“かっこいい木こり”。
「自然が好き、体力に自信がある、そんな仲間と一緒に東京の林業を盛り上げたい」と語る情熱的な姿は、来場者に林業の新しい可能性を感じさせました。
林業に興味がある、自然が好き、体力に自信がある、地域や人が好きな方、ぜひ仲間になって東京の林業を一緒に盛りあげませんか。

東京の自然と共生するライフスタイルを、身近に感じた3日間

会場を彩ったJA東京中央会による色鮮やかな花々が、最終日には来場者へおすそ分けされるという温かな演出もありました。

大都市・東京のすぐそばで、農業、林業、漁業がしっかりと根を張り、自然とともに生きる人々がいる。それを学び、体験したこの3日間は、参加者にとって「東京の農林水産業」がより愛おしくなる特別な時間となったはずです。

野菜を作るアナウンサー「ベジアナ」

小谷 あゆみ/KOTANI AYUMI

世田谷の農業体験農園で野菜をつくるアナウンサー「ベジアナ」としてつくる喜び、農の多様な価値を発信。生産と消費のフェアな関係をめざして取材・講演活動を行う。
介護番組司会17年の経験から、老いを前向きな熟練ととらえ、農を軸に誰もが自分らしさを発揮できる「1億農ライフ」を提唱。
農林水産省/世界農業遺産等専門家会議委員ほか
JA世田谷目黒 畑の力菜園部長
日本農業新聞ほかコラム連載中

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東京味わいフェスタ2025(TASTE of TOKYO)

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