昨秋、東京の食文化の魅力を広く発信した恒例イベント「東京味わいフェスタ2025(TASTE of TOKYO)」。
今回は、10月25日に日比谷会場のレストランで行われた、料理研究家・ワタナベマキさんによる「東京食材×スパイス&ハーブ」のペアリングレッスンの模様を振り返ります。

「未知なる一皿」との出会い 東京産食材の新しい魅力を引き出す

レッスンのテーマは「未知なる一皿との出会い」。
ワタナベマキさん(以下、マキさん)が提案したのは、東京産の野菜や肉をスパイスやハーブと掛け合わせ、新しい美味しさを生み出すアイデアです。

「今日は東京産のしゃも(軍鶏)やブロッコリー、旬の梨やリンゴなどを使って、スパイスとのマリアージュを楽しみましょう」と語るマキさん。
参加者の皆さんは、日頃からマキさんのSNSや著書を参考にしているファンの方も多く、真剣な眼差しで実演を見つめる様子からは、会場の熱い期待が伝わってきました。

「みなさま、よろしければ前にいらっしゃってください!」
難しいことはしていないのに、素敵なお料理が出来上がる、魔法のようなマキさんの実演。

直売所で見つける“旬の宝探し” 身近な場所にある新鮮な贅沢

世田谷区に住むマキさんは、普段から東京の直売所や無人販売所を愛用しているそうです。
「近所のJAや直売所へよく旬の野菜を買いに行きます。先日ビーツを見つけたときは、『東京でも作っているんだ!』と驚きました」

最近ではスーパーの“東京野菜コーナー”も活用しているというマキさん。
「東京産の野菜は新鮮だから、味が濃いんです。茹でたての青菜をオイルと塩だけでいただくようなシンプルな食べ方でも、十分満足できる美味しさですよ」と語ります。
“地産地消”を特別ではなく日常として楽しむマキさんのスタイルは、「身近な場所で採れた旬をいただくのが、一番の贅沢」というメッセージとして、参加者の心に響いていました。

【実演レシピ1】鶏肉とリンゴのクミンロースト

料理の実演は、東京しゃもを使った「鶏肉とリンゴのクミンロースト」からスタートしました。
「しゃもは筋肉質で旨味が強く、脂肪分が少ないのが特徴。筋を丁寧に取り除くのがポイントです」

お肉にニンニクのスライス、白ワイン、玉ねぎ、そしてリンゴを合わせて揉み込むことで、酵素の働きによりお肉がより柔らかくなるのだそう。
さらにクミンシードとバルサミコ酢を加え、オーブンでじっくり焼き上げます。「バルサミコ酢はお肉を焼くときに使うと深みが出るんですよ」といった、日々の料理にすぐ活かせる小ワザも惜しみなく披露されました。

【実演レシピ2】サバとハーブのソテー ~ 梨と菊のピッカ(ピクルス)を添えて~

続いては「サバとハーブのソテー」。
「ディルやタイムは魚料理にぴったり。ハーブを合わせることで、青魚がより食べやすく、新しい味わいに変わります」

「ディルは茎が太いので、舌触りが悪くなるので、葉だけを外して。柔らかいのであまり火を通さずに。逆に硬めのタイムは火を通して」

マキさんがサバをフライパンで焼き始めると、会場は一気に香ばしい香りに包まれました。仕上げに赤ワインビネガーと醤油を加えた瞬間、まろやかな酸味が立ち上がり、司会者からも「香りが変わりましたね!」と驚きの声が。
付け合わせの食用菊を美しく仕上げるコツなど、彩りを添える工夫も紹介されました。

「焼くときは皮を下にして。先程のディルとタイムを加え、香りを移すイメージで」

食用菊は、湯がく際にスプーン1杯の酢を入れるのがコツ。
それをしないと茶色くなってしまうのだとか。

感動の実食! 素材が引き立て合う絶妙なハーモニー

いよいよ待ちに待った実食の時間です。
焼き上がったしゃもは香ばしく、クミンのエキゾチックな香りとリンゴの甘酸っぱさが絶妙にマッチ。添えられたブロッコリーの味の濃さに、改めて東京産食材のポテンシャルの高さを感じさせます。

サバのソテーはマスタードを塗ったバゲットに乗せて。
梨と菊のピクルス、さらにピンクペッパーをプラスした華やかな盛り付けに、参加者からは「ハーブ使いを真似してみたい」「梨のピクルスがさっぱりしていて、菊の香りと調和している」と感激の声が次々と上がりました。

「ピクルスは冷蔵庫で2週間ほどもちます。お酢を一度煮立たせてから漬けると、酸味が抑えられ、まろやかになりますよ」
お酢使いが上手なマキさんらしい、日常に取り入れやすいヒントもいただけました。

東京を味わう。 それは「一番近くにあるごちそう」に目を向けること

レッスンの終わりに、マキさんはこう締めくくりました。
「東京産の野菜は、実は一番近くで手に入る“新鮮なごちそう”です。少し目を向けるだけで、素晴らしい食材との出会いがたくさんあります。ぜひ自分のお気に入りのお店を見つけて、暮らしの中で楽しんでみてください」

家庭のキッチンで再現できる手軽さと、地元食材への温かいまなざし。単なる“映え”ではない、日々のご飯を楽しむ喜びを再発見させてくれる、実り豊かなひとときとなりました。

都市農業ライター

三文字 祥子/SHOKO SAMMONJI

都市農業ライター「畑と私」
広告などの企画・編集・コピーライターを続けてきた傍ら、練馬区での都市農業を楽しんで暮らす。
都市農業のすばらしさを“農業素人”目線でレポートします!
密かに練馬大根引っこ抜き競技大会4度優勝の実力者。
趣味は三味線、民謡、盆踊り。
Instagramでも、日々の農業体験農園を綴っています。
https://www.instagram.com/hatake.to.watashi/

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東京味わいフェスタ2025(TASTE of TOKYO)

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