
ヤマメ・アユの産卵
江戸時代には将軍家にも献上された多摩川の逸品で、涼やかな風味から「香魚」とも呼ばれるアユ、姿形の美しさから「渓流の女王」と呼ばれるヤマメ。いずれも清らかで冷たい水を好むこの魚たちが、10月上旬~12月中旬、産卵のシーズンを迎えています。上流部で成熟したアユ(写真左、中央)は川を下り、東名高速の多摩川橋と丸子橋の間位の中流域で産卵。卵は2週間日ほどで孵化し、東京湾に下ります。そして春先から故郷の多摩川へ遡上し、上流を目指します。一方、陸封型のヤマメは上流域で一生を過ごす魚です。自然の環境下で産卵するヤマメも、もちろんいますが、奥多摩さかな養殖センターでは、1998年に開発した「奥多摩やまめ」の養殖に取り組んでいます。毎年10月は、人工授精で孵化させるシーズン。人の暦では1年の締めくくりに向かう秋ですが、多摩川が誇る渓流魚の世界では、次の世代へ命を受け継ぐ始まりの季節なのです。