東京ウドの育つ環境は年間を通じて一定温度
東京ウド栽培の最大の特徴とも言える室(ムロ)と呼ばれる穴蔵は、地下3.5mの深さ。井戸のように掘られた竪穴に、はしごを使って降りていくと、底にはさらに横穴が4方向に掘られています。ウドの茎は日光に当たると白くならないため、室の入口部分は作業の時以外は常にふたをかぶせておきます。室温は年間を通じて18~20℃。ウドの呼吸で二酸化炭素が穴の中に溜まりやすいため、室に入る時には必ずロウソクを付けて酸欠を確かめます。
立川市にある須﨑農園の須﨑雅義さんは、東京ウドを50年近く栽培しています。須﨑さん宅では、父親の代までは小麦や養蚕が中心の農家でしたが、昭和39年(1964)年の東京オリンピック後から東京ウドの栽培を始めたそうです。
「一番重要なのは、根株がどれだけ良いものができるかということ。それによってウドのできが決まります。」
須﨑さんは自分の畑で育てた種株を委託している群馬の畑に運び、根株を育成。その後、掘り上げて持ち帰り、この根株を室(ムロ)と呼ばれる暗くて暖かい穴蔵の中で30~40日かけて育てると、真っ白なウドができます。
「室で育てる軟白栽培という方法は、江戸の末期から武蔵野で始まりました。その後、北多摩地区一円に広がり、かつては東京が軟白ウドの出荷量全国1位だったこともあります。」
須﨑さんに案内され、広大な畑の一角にある室に到着。室の深さはおよそ3.5m。「昔は機械なんてないから、父親と一緒に手堀で穴を掘りました。」
はしごを伝って恐る恐る降りていくと、1mほどの高さの穴が4つに分かれています。目がだんだん慣れてくると、そこには白くまっすぐに伸びたウドが収穫を待っていました。
「色白で美人でしょ(笑)」と須﨑さん。「食べてみて」と、その場でウドを採ってくれました。かじった瞬間、ウドの香りが口いっぱいに広がり、上品な苦味とほのかな甘味が残りました。
「ウドの栽培には1年近くの手間ひまがかかります。でもこのおいしさをもっともっといろんな人に知ってほしい。これからも良質なウドを作っていきたいと思っています。」
東京ウド栽培の最大の特徴とも言える室(ムロ)と呼ばれる穴蔵は、地下3.5mの深さ。井戸のように掘られた竪穴に、はしごを使って降りていくと、底にはさらに横穴が4方向に掘られています。ウドの茎は日光に当たると白くならないため、室の入口部分は作業の時以外は常にふたをかぶせておきます。室温は年間を通じて18~20℃。ウドの呼吸で二酸化炭素が穴の中に溜まりやすいため、室に入る時には必ずロウソクを付けて酸欠を確かめます。
須﨑農園では、12月中旬から東京ウドの新物を出荷。販売先は市場と農産物直売所のほか、個人の注文も増えてきているそうです。立川市では、現在、約20軒ほどの農家がウドを生産・出荷していますが、最盛期には80軒以上の農家が500トン以上の生産量をあげていたそうです。須﨑さんはその中でもウド栽培歴約50年の篤農家です。また、東京ウドを使用したうどパイやせんべい、あられなどの加工品は、立川観光協会推奨認定品として、立川を代表するおみやげ品にもなっています。