トマトの旬について
今はハウス栽培により年中手に入るトマト。
6月で終了する冬春トマトに代わり、今から秋口にかけていよいよ露地物の夏秋トマトの本番です。
それぞれの品種、味わいをぜひ一年を通じて楽しんでください。
今回は、暑い夏のためのトマトレシピです。
オーソドックスなトマトおでんと、少し変わった冷やし麺をご用意しました。
後半は、向田邦子さんへのオマージュと、結婚・独身と料理についての想いに触れます。
今はハウス栽培により年中手に入るトマト。
6月で終了する冬春トマトに代わり、今から秋口にかけていよいよ露地物の夏秋トマトの本番です。
それぞれの品種、味わいをぜひ一年を通じて楽しんでください。
「東京トマト よみがえり」は、400年の歴史を持つ府中市の「うちで農園」が、2017年に小勝正太郎さんによる“第二の創業”を通じて世に出したブランドトマトです。
いかにトマトの生命力を高め、益虫なども用いながら農薬を減らしていくか研究と技術を積み上げ、作り上げられた味。
そのまま食べるのが、先ず以て美味しい。
桃太郎系の完熟トマトなのですが、透明な甘さのみならず、生命力に満ちた旨味がやってきて、本当に身体の中から「よみがえる」感じがします。
冬春トマトなので、残念ながら今シーズンは終わりですが、ぜひ12月以降を楽しみにしてください。
90年代終わりから2000年代初頭から一気に広まり、今では珍しくなくなったトマトおでん。
夏のおもてなしに。
イベント提供時写真 参加者のちびゆりさん撮影
【材料】
おでん出汁(昆布、鰹節、みりん、砂糖、薄口醤油)
トマト
オクラ
とろろ昆布
【作り方】
▪トマトはへたをくり抜き、熱湯をくぐらせて氷水に入れて湯剥きする。
▪オクラはガクを取り、大きさに応じて軽く湯通しする。
▪おでん出汁の材料を鍋にすべて入れ、煮出して濾す。
※(出汁とみりんと醤油の比率は好みでよいが、今回は水1升(1.8リットル)に対して、みりん…大さじ 3、砂糖…大さじ 3、薄口醤油…120 cc。)
お好みで塩少々を入れてもよい。
▪トマトとオクラに温かいおでん出汁を張り、冷蔵庫でよく冷やす。
▪冷やした器に盛り、とろろ昆布をのせて提供する。
筆者が高校生のときによく作っていたもの。
家族で食事時間がずれるときもこのソースを冷蔵庫に仕込んでおくと便利。カッテージチーズ(簡単に自作も可能)でたんぱく質も補えます。
【材料(2人前)】
トマト…大2個
ツナ缶…1缶
カッテージチーズ…100グラム程度(お好みで増やしてください)
大葉…適量 (パセリなど他の香味野菜もおすすめ)
クルミ…ひとつかみ
オリーブオイル…適量
砂糖、塩…適量
麺…2人分(パスタ、素麺または中華麺等)
【作り方】
▪トマトを1cmの角切り。トマト200グラムほどに対して、砂糖…大さじ1、塩…ひとつまみをふりかけて混ぜ、しっかり水がでるまで10分ほどおく。
▪オリーブオイルを入れ、軽く乳化させる(ツナ缶に油が入っている場合は適宜調節する)。
▪大葉とクルミは軽く刻み、オリーブオイルと塩(クルミが有塩の場合は塩は不要)とともにチョッパーなどで撹拌してジェノベーゼソースにしておくと便利。もっとも、事前に作るのが面倒であれば、刻んだ状態で用意しておくだけでもかまわない。
▪残りの材料とともにあわせ、少量の薄口醤油又は塩(分量外)で味をととのえて冷やしておく。
▪麺を用意する。冷水で洗い、水っぽくならないよう水気をよく切る。
※パスタであれば、2%の濃い目の塩水で茹でる。素麺はそのまま使えるが、中華麺(手延べ中華乾麺がおすすめ)であれば軽く醤油(分量外)で下味をつけると良い。
▪麺にトマトソースをかけて提供する。
向田邦子さんのレシピには、ごま油と酢醤油をあわせるトマトの青じそサラダを含めて、とてもお世話になりました。
向田さんはおもてなしで海苔吸いを出していましたが、我が家ではとろろ昆布の吸い物がその地位を占めており、ライフスタイルも大きく影響を受けました。
新潮社 「向田邦子 暮しの愉しみ」 向田邦子、向田和子著
料理、器、家具調度、ファッション、交友録などライフスタイルをカバーする貴重な一冊。
向田邦子の手料理 (講談社のお料理BOOK) 向田 和子(著・監修) 講談社(編) 発行:講談社
自立して自分の名前で仕事をする、家に仕事関係の客人を連れてきて料理でもてなす、美しい器を集める、外国の文化を取り入れ、全国の美味しいものを取り寄せる、酒や煙草も様になるのに、繊細な感性をもっている。
私が中学生のころ、そんなロールモデルは他になかなかありませんでした。
桐島洋子さんの「聡明な女は料理がうまい」(アノニマ・スタジオ)という名著もあるのですが、ちょっとハイソサエティすぎて、私はやはり向田派だなと思ったものです。
自分が美味しいと思うもの、自分が美しいと思うものを自分の文化として育み、自分の生き方をする、向田作品がなかったら、私はそんな風に生きようとは思わなかったかもしれません。
私自身も「結婚するまでは」と思って、長く一人暮らし開始時の家電で過ごし、器も増やし過ぎないようにしていました。友人の中にも40過ぎても結婚待ちで暮らしを整えるのを先延ばしにしている人がおり、そうした人は男女を問わず少なくないようです。自炊するなら冷蔵庫は、単身でも200L以上あってよいと思います。300L前後では二人暮らしまでいけますし、野菜や常備菜をストックするなら一人でも大きすぎることはありません。
積水ハウス株式会社住生活研究所による「いい夫婦の日に関する調査(2023年)」によると、結婚前後で最も大きく変化したこととして「食生活」(45.8%)があげられています。家で調理したり、お酒を飲んだりして、結婚により幸福感が増す姿が描かれ、男性も30代、20代では約半数が料理好きだそう。
他方、株式会社オレンジページが運営するオレンジページnetが、女性のみを対象として2023年に行った夫婦間での料理シェアの現状について調べた「いい夫婦の日調査」はもう少しシビアです。
妻が有職主婦の場合でも、93%が「主に妻が料理を担っている」と回答。専業主婦の場合は96%。妻が一番負担に感じているのも料理。夫婦仲と幸福度は夫婦間の家事分担の満足度とかなり強い相関があり、20代では91%が満足しているものの、年代が上がるにつれ低下します。
調査結果からも、結婚した後の方が料理は楽しいものの、結婚したときから料理がお互い任せられると、夫婦仲も良く幸福になれるという姿が見えてきます。
男女問わず、実家にいても、独身でも豊かに自分の食文化を楽しみ、結婚したらお互いの食で支えあって、家族が巣立っても、そしてまた一人になったとしても、長い人生を通して、食を楽しみ続けましょう。
1977年生まれ。神奈川県川崎市出身。大手法律事務所で弁護士として企業買収、企業法務に従事後、証券会社での勤務で地方創生、海外投資、ベンチャー投資等に深く関与。
その後、2014年から2022年まで農林中央金庫に在籍し、食産業及び農業に関する投資、国内外企業買収、各種リサーチや支援業務に携わる。
自他ともに認める食オタクであり、法務知識のみならず農林水産部門に関する知見を用いて、ベンチャー企業含む事業者や生産者の各種相談対応、新規事業創出支援、資金調達や事業承継支援を行う傍ら、料理で人を繋ぐことで課題解決への貢献を目指している。