様々な経験を経て

東京都八王子市の農業法人「グリーンガーラ」で“職業農業人”としてご活躍されている廣本直樹さんに今回お話をお伺いしました。廣本さんは八王子市出身、高尾山の麓で生まれ育ちました。青果流通会社、農家レストランでのお勤めを経て、2014年にフリーランスとなり、都内で飲食業をしながら全国各地(福島、静岡、大阪など)で農業従事者としてその地に暮らす“2拠点生活”を送ったんだそうです。これまで露地野菜の生産技術と農業経営を主に学んできた廣本さんは、2018年に地元八王子市に戻り、現在の農業法人「グリーンガーラ」に所属しました。

新事業「ファームパーク夢畑」に携わり

現在は農場主任として年間約50種類の露地野菜を生産する部署を取りまとめる廣本さん。法人では就労継続支援B型(企業などへの就職が困難な方が就労訓練を行う福祉サービス)の施設の業務もこなしています。2019年、新事業「ファームパーク夢畑」の開発も担当し、地域に密着した“農作業の体験もできる直売所”を中心に取り組んでいらっしゃいます。ここに福祉の支援業務を合わせるので、これまでにないくらい頭を使っているんだそうです。廣本さんは「大変なほど仕事としての価値がある」と困難をも楽しんで毎日現場に入っているんだそうです。

トマト“クリエーター”に

物心ついた時からトマトが好きで、トマトを探求するためイタリアに3回渡るほど。勤務していた飲食店では全国の“トマトクリエーター”が作るものを通年扱い、たくさんのお客様に感動してもらえることにやりがいを感じていたそうです。そこでトマトがもつ魅力(品種・栽培方法などによる違い、ユーザーの好みが多種多様である)を強く感じ、「人を感動させる“クリエーター”になりたい」と思ったんだそうです。廣本さんが選んだのは「粗放栽培」。トマトの木に制限をかけずのびのび育てる手法です。現在は地中海生まれの品種を、収穫量と味のピークをその時期にできるよう作付を試行錯誤しているとお話ししてくださいました。

福祉と農業

福祉と農業のマッチングはメディアのイメージとは違い、現場で直面する難しさを常に抱えているそうです。その分「通所メンバーと向き合うことで、農業専門の仕事では得られない“気づき”を得られる」とお話してくださいました。メンバーの仕事を機能させるためのアイディアが、全体の作業効率向上にも繋がったそうです。福祉だからと農産物の価値は変わらず、野菜を食べてお客様が感じた評価が絶対。「その価値をどう作り上げるか常に考えアップグレードしていきたい」と強い想いをお聞きすることができました。

廣本 直樹さんへの一問一答

QUESTIONS AND ANSWERS

Q.趣味は?
A.DJ(ミックス)。自宅で楽しんだり、最近ではイベントで会場DJもやっています。畑で1日単独作業をするときは、ワイヤレスヘッドフォンで楽曲を聴き込んでミックスのネタを作っています。
Q.好きな食べ物は?
A.キャベツの松波という品種は、グリルにするといつまでも食べ続けられます。極上の野菜です。
Q.八王子のおすすめスポットは?
A.南浅川の御陵橋付近の陵南公園一帯。高尾山に向かって川沿いを歩き、季節のうつろいをぜひ楽しんでください。

夢畑(株式会社グリーンガーラ)

廣本 直樹さん/HIROMOTO Naoki

夢畑

電話
042-653-9247
所在地
東京都八王子市堀之内1052
WEBサイト
https://kusamura.org/introduction/hatake/

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