東京のブランド豚「TOKYO X」を生産する 澤井保人さん

「俺はTOKYO Xしか食べたことないからなぁ!?」

TOKYO Xという豚肉をご存知でしょうか。東京都内でのみ販売され、流通量は年間8000~8500頭と少ないブランド肉です。もちろん品質や味のよさは折り紙付き。そのおいしさの秘密に迫ろうと、約20年間、TOKYO Xの生産を続ける澤井農場の澤井保人さんを訪ねました。八王子市の田園地帯に澤井農場はあります。澤井さんは畜産のほかにも米や小麦、野菜の生産も手がけ、地元の人々が愛してやまない田園風景を守っています。「TOKYO Xのうまさですか? 豚肉といえば俺はここ10年、TOKYO Xしか食べたことないからなぁ。皆さんがおっしゃるにはTOKYO Xの肉は見た目がピンク色で美しい。ロースには高級和牛のようなサシが入っていてやわらかいですよ。その甘さや香りはアーモンドみたいっておっしゃる方も多いですね。」

シンプルに塩コショウだけで味わいたい希少肉

豚肉はTOKYO Xしか口にしたことがないというのは、まさに生産者ならでは。うらやましい限りです。北京黒豚、バークシャー種、デュロック種から作出されたTOKYO Xは、1991年に東京都畜産試験場で品種改良試験が開始され、1997年7月に国内初の合成品種の系統豚として日本種豚登録協会に認定されました。澤井さんが教えてくれた特徴のほかに特筆すべきは、TOKYO Xの脂身のおいしさ。融点が低いためすぐに溶け、そのおいしさを堪能するにはシンプルに塩コショウで焼くだけが最高です。しかしすぐれた肉質で知られるTOKYO Xの流通量がほかの種と比べて少ないのはなぜでしょう。おいしくて高く売れるのなら、数多くの畜産業者がこぞって生産を始めるのではないでしょうか。

シンプルに塩コショウだけで味わいたい希少肉

おいしくて安全性の高い豚肉の生産は楽じゃない

「通常、豚は病気に強くて、早く育つように改良を行うのですが、TOKYO Xは生産効率よりも美味しさを追求した結果、出荷適期の体重110~120kgに育つまで約7カ月と少し長く時間がかかる。おまけにほかの豚だったら、母豚は1度に10数頭出産するのですが、TOKYO Xは8頭がいいところ。また、飼料も遺伝子組み替えを行っていないトウモロコシや大豆粕を使った専用の飼料が決まっているなど、制約が多い。おいしくて、安全性の高い豚肉を生産するのは楽じゃないんですよ。」それでも澤井さんはTOKYO Xの生産をやめようと考えたことはないと言います。それは、TOKYO Xはほかの豚肉と異なり、出荷先の買い取り値が決まっているため収益が安定していることに加え、おいしい豚肉を提供したいという熱い気持ちのなせる技でしょう。澤井さんが手塩にかけたTOKYO Xは都内のデパートやスーパーなどのほか「道の駅 八王子滝山」で購入できます。

おいしくて安全性の高い豚肉の生産は楽じゃない

澤井農場

澤井 保人さん/SAWAI Yasuto

澤井さんの育てたTOKYO Xが買えるのはこちらです

電話
042-696-1201
所在地
東京都八王子市滝山町1-592-2
WEBサイト
http://www.michinoeki-hachioji.net/

RELATED ARTICLERELATED ARTICLE

トピックス

【第12回】「まちのタネ屋さん」は進化する!~野村植産と東京西洋野菜研究会

トピックス

【第11回】ヤギのナチュラルチーズで新規就農! 東京の山地農業にも勝算あり「養沢ヤギ牧場」

トピックス

給食という名の愛と導き 中野区立緑野中学校 

トピックス

新春特別寄稿『都市に農地を創るときが来た』

トピックス

陽のあたる縁側 すぎのこ農園

トピックス

【第10回】目黒で農地を残すには?コミュニティの拠点として都市農地を守る  目黒区「八雲のはたけ」

トピックス

【第9回】小松菜400連作!「全量残さず出荷、それこそが一番のエコだと思う」 江戸川区 小原農園

トピックス

【第8回】落ち葉を重ねて数百年 『 武蔵野の黒ボク土』をコミュニティで掘り下げる! 三鷹市 冨澤ファーム

トピックス

【第7回】女性が主体となれる農業経営の仕組みづくり( 株式会社となったネイバーズファームの狙いと可能性)

トピックス

【第6回】馬と羊を飼い、穀物を育てる理想の有機農家をめざす

ページトップへ