多摩産の朝採れ野菜にこだわる 青木幸子さん

家族に採れたて野菜を食べさせたい

農園というと一面のキャベツ畑や広大なトウモロコシ畑など、そんな風景をイメージする人が多いかもしれません。しかし、住宅街の合間に広がる青木幸子さんの農園は、真っ赤なトマトの隣はブロッコリーの畝、その横にはズッキーニが2畝といったようにバラエティ豊か。なんと年間70種類以上もの野菜を育てるそうです。青木さんが野菜作りで大切にしているのは、家族や周囲の人に安心して食べてもらえること。「野菜は新鮮さが勝負。なんといっても地場産の朝採れが一番おいしいんですよ。プロの農家の方は植えた野菜は100%収穫したい、でも私は50~60%でいい。だから無農薬栽培にも挑戦できるんです。」

野菜作りに向かうパワーの源

とにかくエネルギッシュでパワフルな青木さん。婚礼の着付の仕事から農家に嫁いだそうです。慣れない環境で主婦業をこなし、3人の男の子を育て上げ、ご両親を介護し、さらに農園の仕事を始めました。そのパワーはどこから来たのでしょう。「疲れ果てていたけど意地でしたね。自分の窮状を訴えるためにいっそ倒れちゃいたかったけど、毎日新鮮な野菜を食べていたおかげなのか健康そのもので、あてがはずれました」と大笑い。野菜作りを学ぶため、片っ端から本を読んだり、先輩の農家さんを訪ねたり、セミナーに参加してたくさんの人と話したり。昔は人見知りだったそうですが、野菜についてもっと知りたいという思いから、いつの間にか積極的な性格になっていたといいます。また、セミナーで出会う同じ女性農業者のパワフルさにも元気をもらったといいます。青木さんは大好きな野菜について語り出すと止まらなくなります。「実は、白菜の花やつぼみっておいしいのよ。収穫し損なったおかげで気づいたんだけどね。それから大根の花やつぼみもね、しっかりダイコンの味がして……。」といった具合に。

野菜作りに向かうパワーの源

やっと農家のスタートラインに立てた

2012年には念願だった「青木農園 農家料理」というレストランもオープン。いただけるのは旬の野菜を存分に味わえるお任せ料理。「根・葉・茎で味が違ったり、今まで知らなかった野菜のおいしさを感じてもらったり、もっとたくさんの人に多摩産の採れたて野菜を食べてほしい。」子どもたちも独立し、多少は自由な時間が持てるようになった彼女は「やっと農家のスタートラインに立てた」といいます。量に限りはありますが、青木さんが作る野菜は仲介業者さん(しゅんかしゅんか)を経由して、一部スーパーで販売されています。また青木さんのご自宅にある無人販売所などでも購入できます。

やっと農家のスタートラインに立てた

青木農園

青木 幸子さん/AOKI Sachiko

RELATED ARTICLERELATED ARTICLE

トピックス

【第7回】女性が主体となれる農業経営の仕組みづくり( 株式会社となったネイバーズファームの狙いと可能性)

トピックス

【第6回】馬と羊を飼い、穀物を育てる理想の有機農家をめざす

トピックス

【第5回】「多摩の酪農発祥の地」で、はぐくまれた有機農家たち。

トピックス

【第4回】肥料でも農薬でもない新しい資材「バイオスティミュラント」とは?

トピックス

【第3回】東京の西側、2つの有機農業

トピックス

【第2回】 “コンポストアドバイザー鴨志田純”が目指すまちなか農業

トピックス

江戸から続く循環型農法! 落ち葉をはいて堆肥にする馬場農園

トピックス

【連載第6回】「カラフル野菜で、身も心もパワーチャージ!『こびと農園』」

トピックス

【連載第5回】「人との繋がりを育み地域を元気にする直売所」

トピックス

新春特別寄稿『農業者と住民の多様な接点を作る2023年に向けて』

ページトップへ