沖で命をかけ、陸(おか)で手をかけ
水揚げしただけでは終わらないのがテングサ漁です。そのまま干し上げて褐色の状態で出荷する島もありますが、三宅島では天日に干した後、水洗いをして塩分を抜き、再び天日に干します。手間はかかりますが、こうすることで白くさらされ、ところてんにしたときに艶が出るのだそうです。「雨が降ると色ムラが出るから、けっこう気を遣うんですよ」と干場を見回ります。さらしたテングサはユタンとよばれる帆布でくるんで漁協の作業場へ。選別機で異物を粗く除いた後は、さらに手作業で細かくチェック。特に石灰質のカキ(岩への着生部)は金槌で砕いたり、はさみで切り取ったりと、丁寧に取り除きます。ここまではひとり仕事ですが、最終段階では仲間と共同で圧縮作業をし、「三宅産テングサ」ブランドとして出荷します。