東京しゃもってどんな鶏?

武士の時代からペットとして飼われていたというしゃも。あきる野市にある浅野養鶏場では、研究を重ねて誕生した「東京しゃも」を育成しています。しゃもを漢字で書くと「軍鶏」。なんだか勇ましいイメージですよね。普通の鶏とは、いったい何が違うのでしょうか。そこで、普段はあまり見学を受け付けていないという養鶏場に特別にお邪魔して、東京しゃもの魅力について教えてもらいました!

江戸から続く伝統の味を求めて

1万羽ほどの鶏がいるという浅野養鶏場。東京オリンピックの年(1964年)からこの場所で養鶏を始めたそうです。
戦後、大量飼育に向いたブロイラーがたくさん東京に入り、安い肉が食べられるようになりましたが、鶏本来の味がしなかったと、養鶏場の浅野良仁さんは話します。「いろいろな用途で使えるのはいいんですが、やっぱりそれまでの鶏肉とは違うんですよね。それで、もともと下町にしゃもを食べる文化があったから、日本の鶏、東京の鶏とはこういうものだ、というのをつくってみようと思ったんです」。
伝統あるしゃもを、今の技術もある程度取り入れながら、品質を保てるよう苦労を重ねたと言います。

しっかり育つよう工夫を重ねて

餌の改良や飼育する場所の工夫は重ねても、しゃも自体は改良されていないそう。江戸時代からの伝統を守って育てているので、成長の過程で気をつけることも多いと言います。「しゃもは『シャム』のなまりで、もともと温かい国の鶏なんです。だから寒さには弱い。しかも、普通の鶏よりも小さいんです。身体が弱くて、ちょっと濡れただけでも死んでしまうこともある。普通の鶏なら生後30日もすればそれほど寒がらなくなるけど、しゃもはだめなんです。なので、ひよこは1ヶ月間、40度に保った育雛器(いくすうき)で育てています。体温も42度ぐらいあるんですよ」。

愛情を持ってしゃもを育てる

「いいしゃもは、まず大きさで見ますね。それから、背中が立っていること。特にオスは、足の前側に体重をかけてスッとした立ち姿勢になっているのがいい。常に前のめりな感じで、首をあげて。それがカッコイイんです。飼育している時、オスとメスは分けてあるんですよ。オス同士は対抗意識があって、常に張り合ってる。弱いオスはエサも食べなくなって弱ったりするんです。それで弱ってるオスをメスの中に入れると、すぐに元気になる。見ていて笑っちゃうくらいですよ。ペットなら最後まで飼うけど、しゃもは家畜だからどこかの段階で人の役に立つことで命をまっとうする。それを大切に感じながら育てています」。

※この記事は2019年3月15日に作成しました。

今回の取材担当より一言!

東京しゃもは初めて見ましたが、存在感が凄かったです。姿勢もピンとしていて、なんだか威厳もありましたね。取材の途中でしゃもを抱かせてもらったんですけど、足は冷たいのかと思ったら暖かくて。そのぬくもりに癒されました。

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営業時間
11:00~14:30、17:00~21:00
定休日
水・木曜
電話
042-558-8590
所在地
東京都あきる野市雨間673-4
WEBサイト
https://tokyogrown.jp/restaurant/detail?id=571839

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