ノラボウナってどんな野菜?

天明の大飢饉や天保の大飢饉には、人々を飢餓から救ったと伝わる「ノラボウナ」。寒さにも強く、手をかけなくてもよく育つことから「野良坊菜」と呼ばれているという説もあるぐらい、生命力に溢れた野菜です。
五日市の「のらぼう部会」の部会長として、ノラボウナの育成に力を入れているのが乙戸博さん。38名(2019年3月現在)の部会員とともに、ノラボウナの育成・普及に努めています。

生命力を感じながら

カロテンやミネラル、ビタミンBを豊富に含むノラボウナ。寒さにも強く、有機無農薬でも育てやすいそう。
「肥料だけでよく育ちます。うちでは、様子を見ながらいくつかの肥料を使い分けながら与えています。ノラボウナは育てやすいので、どこでもよく育つんですが、その味にはやはり違いが出る。なので、味も見ながら育てていますよ。畑でポキッと折って食べてみたりね。部会仲間の他の畑でも、食べさせてもらったりするんですが、やっぱり、畑によって味が違うんです。他の人の畑も通りかかると試したくなってつい味見しちゃうから、そろそろみんなに怒られちゃうかも(笑)」

江戸から伝わる伝統野菜

江戸時代後期に、関東郡代伊奈忠宥が、「ノラボウナ」の種子を江戸近郊の村に配布した記録が残っています。
「ノラボウナが普及していたことで、天明の大飢饉や天保の大飢饉でも人々が救われたと言われています。古文書なども残っていて、この土地でずっとノラボウナが育てられてきたことが記録されています。自分自身も、父がノラボウナを栽培していたので、子どもの頃から普通に食べていた愛着ある野菜なんです」
あきる野市の子生神社(こやすじんじゃ)には、事績を記念して「野良坊菜之碑」が建立されており、毎年3月の最終日曜日には「のらぼう祭り」が開催されています。

のらぼう部会の仲間とともに

会員は、同じ種を使ってノラボウナを育てます。
「毎年、種を配る担当を決めて、その人が会員に同じ種を配布するんです。蝶々などが交配しないように、網をかぶせたりして守りながら育てます。畑の場所も植え替えて。同じ種で作っても、畑によって味が変わるぐらいですから、種が違うと見た目からも違いが歴然なんです。葉の形や色にも特徴があって。葉の先がとがっている方が、本来の伝統的なノラボウナの形です。よく見ると、その部分が丸くなっているものがある。それは、見ただけで種が違うな、ってわかりますね。それから色。葉の端が紫になっているのが、伝統的なノラボウナ。そういった伝統的な部分を守りながら、美味しいノラボウナを作りたいなと思ってやっています」

乙戸 博さんへの一問一答

QUESTIONS AND ANSWERS

Q.ノラボウナのレシピにはどんなものが?
A.甘味があってクセが強くないので、どんな食べ方にも合いますよ。試してほしいのは生! まず、生でノラボウナの美味しさを感じて欲しいですね。葉の部分だけじゃなくて、茎の部分をぜひ食べてみてください。知らない人は茎を捨てちゃうこともあるんですが、そこが美味しいのにもったいない!
Q.お気に入りの食べ方は?
A.お酒を飲むのが楽しみのひとつなんですが、つまみにするなら「辛し和え」がいいですね。つくり方も簡単なんです。ノラボウナを軽く茹でて、からしと麺つゆを混ぜるだけ。茎の食感が大事だから、茹ですぎないように注意してください。
Q.ノラボウナづくりのこだわりは?
A.自分は、味にこだわっています。とにかく食べて美味しいものを。季節になると、畑の横で試食もできるようにしているんですよ。食べた人は、だいたいそのまま買ってくれますね。やっぱり、食べてみないとわからない。登山やお花見のついでに寄ってくれたら嬉しいですね。

秋川農業協同組合 五日市のらぼう部会 部会長

乙戸 博さん/OTSUDO Hiroshi

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