島の外に出ることがほとんどない、貴重な島ハチミツ

小笠原だけでしか味わえない、小笠原限定グルメの1つが「島ハチミツ」です。生産量が少ないためほとんど島内で消費されてしまうので、味わったことがある人は少数。小笠原のハチミツはヤシの蜜が混じるため、私たちが普段見かけるハチミツより色が濃くなります。さらに季節によって花の種類が変わるので、ハチミツの色味や味わいも変化します。
小笠原には何軒かのハチミツ農家がありますが、その中から株式会社小笠原エコツーリズムリゾートのハチミツ農園を見学させていただきました。

世界遺産の中にポツンとある農園を借りて始めたハチミツ作り

案内してくれたのは、小笠原ガイドでもありハチミツ農園を管理している矢田部克也さん。夜明山の山頂近くにあるハチミツ農園の入り口にはバイオトイレが設置されていて、微生物が分解したあと畑の肥料として使用するそう。ハチミツ農園は、ご高齢になりご自身で管理することが難しくなった地元の方から借りる形で運営しています。パイプで作ったぶどう棚にはパッションフルーツの木の枝が這い、その下にパイナップルやトウガラシが。そして、植物の間にミツバチの巣箱もありました。

女王バチが変わるとハチの性格が変わる!?

ハチミツ農園を始めたのは約7年前。ミツバチは約5年で新しい女王バチが産まれ、世代交代が起こるのですが、新女王バチが誕生すると、それまでの女王は一部の仲間を連れて巣から出ていきます。すると残ったハチ達の性格が変わるのだとか。ミツバチ農園で働く人達は、ハチの様子の変化から、女王バチが変わったことを察するのです。ハチミツの収穫は年に2~3回。ハチミツは本来新しく生まれたハチの子のための食糧なので、人間が多くハチミツを採りすぎ、ハチの子育てに影響が出ないように細心の注意を払っています。

小笠原の固有種を守りつつ、荒れた畑を再生したい

小笠原エコツーリズムリゾートは、小笠原の自然を守ること、回復することを目標としながら農業を行っています。ハチミツ農園も、小笠原の固有種を守りながら荒れた畑を再生する取り組みのひとつ。他にも小笠原の外来種であるアカギの木を伐採し、材木を椅子や土産物に加工して再利用するなど、無理のないかたちで小笠原の森を本来の姿に戻す取り組みを行っています。農園のハチミツとアカギのお土産は、港に近い「ギフトショップハートロック」で購入できます。旅の途中にぜひお店をのぞいてみてください。

取材担当者から一言

世界自然遺産の小笠原で採れる貴重な島ハチミツと生産者さん、そして頑張って働くミツバチに感動しました。これからも美味しい島ハチミツの生産を続けて欲しいですね♫

新村晃代(TOKYOLOVERS NO_31)
https://tokyogrown.jp/tokyolovers/member/akiyo_niimura/

RELATED ARTICLERELATED ARTICLE

トピックス

「フローリスト農家」が目指す、ちょっぴり豊かな暮らしの提案。

トピックス

【第12回】「まちのタネ屋さん」は進化する!~野村植産と東京西洋野菜研究会

トピックス

【第11回】ヤギのナチュラルチーズで新規就農! 東京の山地農業にも勝算あり「養沢ヤギ牧場」

トピックス

給食という名の愛と導き 中野区立緑野中学校 

トピックス

新春特別寄稿『都市に農地を創るときが来た』

トピックス

陽のあたる縁側 すぎのこ農園

トピックス

【第10回】目黒で農地を残すには?コミュニティの拠点として都市農地を守る  目黒区「八雲のはたけ」

トピックス

【第9回】小松菜400連作!「全量残さず出荷、それこそが一番のエコだと思う」 江戸川区 小原農園

トピックス

【第8回】落ち葉を重ねて数百年 『 武蔵野の黒ボク土』をコミュニティで掘り下げる! 三鷹市 冨澤ファーム

トピックス

【第7回】女性が主体となれる農業経営の仕組みづくり( 株式会社となったネイバーズファームの狙いと可能性)

ページトップへ