東京野菜の流通を支える仕事

大田市場で青果物専門の仲卸業を営む「株式会社 大治」の代表取締役社長 本多 諭さん。全国から様々な農産物が集まってくる大田市場内において「東京産の野菜は大治さんで」と言われるほど、東京の野菜を幅広く扱っています。
そのきっかけは、20年ほど前に出会った練馬の農家さんとの出会いでした。全国各地で美味しい野菜を探していた矢先に、目と鼻の先の練馬区で品質の良い野菜が栽培されていることに気付かされたそうです。
それから取引をする農家さんが、農家さん達の人伝てで増えていき、今では約70農家、130種類以上の東京の農作物を取り扱うようになりました。

ひとつひとつの野菜にかける思い

今回は、最年少野菜ソムリエプロの緒方湊くんが本多さんにインタビュー!農業にかける熱い思いを語り合ってくれました。

東京の農業の特色として、大量生産が出来ないため、コストを抑えることが難しいということがあります。ですが、これは裏を返すと、ひとつひとつの野菜にかける思いや手間をたくさんかけられるということになります。
本多さんが雨の降った次の日に東京のキャベツ農家を訪ねると、キャベツに付いた泥を農家さんがひとつずつ拭いている光景を目にしました。今まで出会った農家さんでは普通やらないような丁寧さと野菜への愛情に、びっくりされたそうです。

東京の農家は消費者の目線に近い

東京の農家さんは大勢の消費者がすぐ近くにいるため、消費者の目線に近く、そのニーズを感じる力が鋭いと言います。自分たちのブランドを築き守ろうと意識する農家も多くいます。次にどんな品種を作るか、アピール方法をどうして行くかなど、様々な相談をされることもあるそうです。
「株式会社 大治」では農家さんが野菜作りに専念できる環境を作るため、農家さんの所まで野菜を受け取りに行っています。
仲卸業者と農家さんの2人3脚で、品質や価値を良くしていこうと取り組んでいるんです。

東京野菜普及協会の立ち上げ

「株式会社 大治」では、仲卸業の仕事に留まらず、東京の野菜の素晴らしさを世界中の人に知って欲しいとの願いから「東京野菜普及協会」を立ち上げました。
東京23区~多摩地域の農地はちょうど南と北の地域で育つ野菜がどちらも栽培できる気候にあります。また、島々では熱帯系の野菜も多く栽培でき、奥多摩などの山間部ではその標高や清流などを利用した生産も行えます。東京は農業にとって、実はとても魅力的な土地なんです。
また、点在した畑だから農薬が飛んでくる心配をせずに有機野菜の栽培が出来たり、畑を地域の人に解放することでイベントやコミュニティの拡大を実現しやすいなど、様々な利点や活用法があります。

認証取得という新たな取り組み

大治が運営する東京野菜普及協会では、令和2年1月にJGAPの団体認証を取得しました。JGAPとは、第三者機関が認証するGAPのひとつで、農産物の安全性や環境に配慮した農業を目指すこと、作業者に対する適切な労務管理など、農業活動全般においての取り組みの基準を指します。
多くの場合、GAPは個人の農家やJAに代表される生産組織が中心となって取り組んでいます。しかし大治は卸売業者でありながら、小売店や消費者など販売先の皆様に東京野菜普及協会の農産物の魅力を伝えるひとつの手段として認証を取得したそうです。
GAPにも取り組む東京野菜にご注目いただきたいと思います。

東京で農業をする意味をもう一度考えよう

東京の農業の可能性は、まだまだ無限に広がっています。
本多さんは、東京で農業をする意味をもう一度考えてみようと語ってくれました。そこには、地球の環境改善や、付加価値を見出すきっかけ、今までにない活用方法など、様々な魅力やアイデアの種が埋まっています。
緒方湊くん達の世代がどのような農業を生み出していくのか。将来を見据える湊くんの瞳がキラキラと輝いていました。
ぜひ皆さんも、東京の農業の可能性について、考えてみてはいかがでしょうか?

▽緒方湊君の農林水産体験レポート
 「日本一の青果市場に大潜入!」
 https://tokyogrown.jp/special/report/detail?id=757436

▽株式会社 大治
 https://www.daiharu.co.jp

▽東京野菜普及協会
 https://yasai.tokyo.jp

▽緒方湊(TOKYOLOVERS NO_28)
 https://tokyogrown.jp/tokyolovers/member/minato_ogata/

代表取締役社長 本多 諭さんへの一問一答

QUESTIONS AND ANSWERS

Q.個人的に好きな野菜は?
A.キャベツとブロッコリー。
野菜炒めなどにしてよく食べます。
Q.趣味は?
A.柔道と読書です。
柔道は黒帯五段、読書は歴史物を読むことが多いです。
Q.東京のおすすめスポットは?
A.浅草寺です。
日本を感じられるとても良い場所だと思います。

青果物専門の仲卸 株式会社 大治

代表取締役社長 本多 諭さん/HONDA Satoru

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