小笠原の海洋生物の研究をもとに漁業を支援

小笠原の漁業支援を目的に昭和48年に設立されたのが、父島にある「小笠原水産センター」です。かつてはウミガメの孵化・放流を行っていましたが、現在はその事業を小笠原海洋センターに移し、小笠原の海洋生物の研究や、無線で海の情報を伝える役割を担っています。海に囲まれた小笠原の島々にとっては必要不可欠なセンターですが、島民や観光客も海をより身近に感じられる取り組みも行っています。それが、小笠原に住む海洋生物を紹介する「小さな水族館」です。

歯を磨かせてくれるアカハタ(アカバ)に思わず歓声!

小笠原水産センターの敷地を入ってすぐ右手にある「ウミガメ放流発祥の地」の記念碑と池。そこに海亀とたくさんのアカハタという魚が泳いでいます。ここにいるアカハタたちが、歯磨きさせてくれる魚。池のそばに用意されている歯ブラシを池の中に入れるとアカハタ達が近づいてきて大きく口を開けます。歯ブラシで口の中をこすっても逃げずにその場にじっとしているアカハタはとってもかわいくて、周囲から「わ~!」と歓声が上がりました。

小笠原唯一の水族館に夢中になるひと時

歯磨きを楽しんだら、今度は水族館の中へ。いくつもの水槽が並ぶなか、ミズクラゲが泳ぐ水槽に引き寄せられました。ふわふわと水中を漂うクラゲの姿はとてもファンタスティックです。小笠原の海でダイビングをしたときに見える風景を再現した水槽で泳ぐウミガメと多数の魚たちにしばし魅入ったら、次は川辺の水槽へ。ここには水中ではなく陸上で生きるタマカエルウオという魚がいて、たまに水の中に入ってしまうと、勢いよく跳ね上がって石の上に避難します。神秘と驚きに満ちた小笠原の水辺の生き物たちの様子に、時間を忘れてしまいます!

無線局と研究室を見学

小さな水族館を背中にして右手にあるのが、無線局と研究室の建物。普段は公開していない施設ですが、今回特別に中を見学させていただきました。無線局では、年中無休で海の情報を漁船に向けて発信し、漁業をサポートしています。研究室では小笠原水産センターの船「興洋」が採集したプランクトンを調査しています。生物を詳しく調べることで、小笠原の海の生態が明らかになり、資源管理に役立てるのです。
新鮮な驚きがいっぱいの小笠原水産センター。小笠原観光の際はぜひ足を運びたい場所です。

取材担当者から一言

小笠原の水産業を技術面で支えている水産センター。カジキ漁が成功したのも水産センターの皆さんと漁師さんがお互いに協力していたからと聞き感動しました。また水族館は島の子供たちにも愛される癒しの空間でした。

新村晃代(TOKYOLOVERS NO_31)
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