檜原村に根づくコンニャク芋の栽培


こんにちは!管理栄養士、お野菜料理家として活動する二児の母の今村結衣です。
「野菜は栄養のためだけではなく、楽しくておいしいから食べたくなるもの」そんな思いで、畑と食卓をつなぐレシピやコラムをお届けしています。
今回ご紹介するのは、東京都内でも生産が続く伝統食材「コンニャク」です。
「低カロリーで食物繊維たっぷり」のコンニャクは、昔から食卓で親しまれてきました。
コンニャクをテーマに、「おうちでできる食育」のヒントやレシピをご紹介します。
檜原村は、東京都で唯一の村であり、面積の93%が山林。
水が豊かな一方、平地が少なく農業には不向きとされてきましたが、江戸時代から「コンニャク芋」の栽培が続いています。
村で唯一のコンニャク製造業者「井上食品」では、50年以上にわたりコンニャク作りを続けています。
特徴は、今では全国でも数軒しか残っていない「バッタ練り製法」。生芋をすりおろし、羽のついた機械で練り上げるこの方法は、機械がバッタバッタと音を立てることから名づけられました。
手間はかかりますが、コンニャクの中に無数の気泡が生まれ、ぷるんとした独特の食感や、煮物にしたときの味しみの良さを生み出します。
二代目社長の井上文喜さんは、「父から『バッタ練りができなくなる時代が来たら、潔く辞めなさい』という遺言を受け継ぎました。大変ですが、この味を残していきたいと思っています」と語ります。
その思いが込められた檜原村のコンニャク芋は、東京の伝統食材「江戸東京野菜」にも認定されています。
▶「どうして手間のかかる方法を守り続けているのだろう?」と、一緒に考えてみましょう。
食の背景を知ることは、食材への愛着につながります。
▶「コンニャクの中に見える、小さな気泡や黒い粒々は何だろう?」と観察してみると、コンニャク作りへの理解も深まります。
このレシピのポイントは、生芋コンニャクを手で潰して加えること。プリッとした食感に仕上がります。
さらに豚肉と合わせることで、食べ応えのある食感と味わいに。
握って潰すという遊びのような手順を通して関わるだけでも、料理や食材への親近感が高まります。
生芋コンニャクは柔らかく潰しやすいですが、一般的なコンニャクを使う場合はフードプロセッサーを使ってもOKです。
甘酢あんで味付けすれば、ごはんのおかずにもお弁当にもぴったり。新しい楽しみ方として、コンニャクが苦手な子どもにもおすすめの一皿です。
● 生芋コンニャク…1個(350g)
└塩…小さじ1
● 豚ひき肉…300g
● ショウガ(すりおろし)…1かけ分(15g)
● 片栗粉…大さじ2
● みそ…大さじ1
● 油…適量
【ソース(甘酢あん)】
● ケチャップ…大さじ3
● みりん…大さじ2
● 酢…大さじ1
● しょうゆ…大さじ1/2
1.コンニャクは手で握るようにして細かくする。塩を振って5分ほどおき、水気を取ったら片栗粉をまぶす。
(遊び感覚で、コンニャクの手触りを楽しみながらやってみましょう。細かくすれば豚肉との混ざりが良くなりますが、大きめにしても食感が楽しく、コンニャクならではのプリプリ感を味わえます。)
2.ボウルに豚ひき肉、コンニャク、みそ、すりおろしショウガを入れ、よく混ぜる。
3.ピンポン玉程度に丸め、油をひいたフライパンで焼く。
片面に焼き色がついたら返し、フタをして弱火で3分ほど蒸し焼きにする。
(しっかり焼き色がついてから返すと、崩れにくくなります。)
4.余分な油を拭き取り、ソースを加えて煮からめたら完成!
▶ 親子で「細かくする」係と「コロコロ丸める」係に分かれて、協力しながら作ってみましょう。
▶ 「コンニャクはどんな食感?」と感じたことをシェアすることで、食材への好奇心が高まります。
檜原村の山間地で、3年かけて育つコンニャク芋。
それを昔ながらの製法で練り上げてコンニャクに仕上げます。
一見身近な食材の裏側には、自然・人・技がつながる物語があります。
30年間減り続けているコンニャク需要。
今日の食卓に「このコンニャク、どんな人が作っているんだろう?」という会話を添えてみませんか?
いつものごはんがぐっと豊かに、そして学びに変わるはず。
ぜひ楽しんでみてくださいね。
埼玉県出身。二児の母。女子栄養大学 栄養学部 実践栄養学科卒業後、青果物の専門商社でカット野菜工場の品質管理業務に従事。
その後、地域密着型の青果店で野菜の仕入れ、配送、営業等に携わる。その傍ら、野菜の切り方教室を開催。
結婚、出産を経て、野菜や農業に関わる企業のサポートやレシピ記事執筆を行っている。
Instagram▶https://www.instagram.com/ponsan.68/