ビールの原料の一つでもある「ホップ」を東京で育てて、オリジナルのビールを創って名産化しよう!という活動をされている「東京でホップを育てよう!プロジェクト」。ホップも順調に育ち、いよいよ収穫!ということで、収穫+醸造イベントに、TOKYOGROWNビール編集部がお伺いしてきました!

ホップは生き物。だから愛情が大切です。

「吉祥寺の清水農園では、昨年約60株のホップを植え付け、今年は2年目の収穫となります。予想よりも育成のスピードが速く、実の付き方も想像以上ですね」と、東京でホップを育てよう!プロジェクトの平槇さん。
ホップはアルカリ性土壌での栽培が一般的らしいのですが、畑のある武蔵野市はどちらかというと弱酸性の土壌。
様々な肥料や土壌改良を加えながら、2年目を迎えたのだとか。植物は言葉を発せられないので、日々の小さな変化から試行錯誤をし、今年は壁型の棚を設置した大坂農園(武蔵野市関前)、プランターで栽培を行っているJR武蔵境駅での植え付けを行い、すべての栽培地で収穫ができるそうです。雨風や虫など、様々な困難を乗り越えて収穫を迎えたお話をお伺いしました。

「最も大変だったのが、武蔵境駅のプランターです。虫がついてしまって、とってもとっても葉っぱを食べられてしまいました。多くの人の目につく場所で栽培しているので、通りがかりの人から『葉っぱ食べられちゃってるけど大丈夫?』といったご心配の声も多くいただきました(笑)。
口に入る農作物には使用できる農薬に制限があり、基本は対処療法です。毎晩様子を見に行き、虫をつかんで捨てて…の繰り返しでしたが、ある時からぴたっと虫がいなくなり安堵したのを覚えています。その後、上部の方ではぐんぐんと蔓が伸び、剪定の作業などを行いました。蔓に栄養を使いすぎると、肝心の実がなりにくくなってしまうのです。」

スイベルアンドノットの平槙さんは、通勤路でもある駅のプランターの様子を伺うため、毎日通ううちに、実は多くのファンがいることを実感されたそう。作業をしていると、多くの人に「楽しみにしています」「本当にビールができるのですか?」等、話しかけられることが、このプロジェクトの大きな意味合いであると話します。

8kgのホップを収穫。たっぷり汗をかいて、みんなで収穫体験。

「今年の吉祥寺地区では、初回の収穫で約8kgのホップを収穫することができました。これは昨年の10倍近い収量になります。昨年ベースで考えていたので、人手が少なかったのと、炎天下での作業でしたので収穫が大変でした…。ホップの中に含まれる『ルプリン』と呼ばれる黄色の粉が、ビールらしさを作る重要な物質なのです」と見木さん。

編集部も収穫に参加させていただいたのですが、小さな松かさのようなホップは、とてもふかふかしていて摘み取りをしているととても気持ち良い触感!イベントはコロナ感染症拡大防止の観点から関係者のみの実施でしたが、それでもお断りする方がいらっしゃるくらい盛況だったそう。当日は、ホップ収穫後に隣の畑でもぎたてトウモロコシのプレゼントという嬉しいサプライズもありました!お土産には26Kブルワリーで仕込んだ、珍しい煎茶ビールをいただき、充実した一日となりました。

摘み取ったホップが、いよいよビールに!

摘み取ったホップは、鮮度保持のためビニール袋に纏められて数時間以内にすぐ冷凍されます。そして数日後のビール醸造を待つこととなります。ビールの醸造は収穫日から3日後に、同じ武蔵野市内の醸造所で開始されます。
製造を予定している2021年のホップを使用したビールの数量は約400リットル。前回はすぐに売り切れてしまったので、今回は増量して製造されるそうです。また、関前と武蔵境のホップも順調に生育中とのことで、今年の秋は「東京武蔵野産ホップ3種ビール飲み比べ」ができるかも!?
ホップ収穫のお土産でいただいた生ホップをビールに浮かべ、完成を心待ちにする編集部でした!

【TOKYOGROWNビール編集部】

株式会社スイベルアンドノット

代表取締役 見木久夫/KENMOKU HISAO

東京でホップを育てよう!

所在地
<高架下3坪のビール醸造所 26Kブルワリー> 東京都武蔵野市境南町3-2-13 Ond(オンド) TEL:0422-38-5500 http://26K-brewery.com <駅徒歩1分のワークスペース Start Up Cafe武蔵境> 東京都武蔵野市境2-10-1-2F TEL:0422-38-5175 http://startupcafe-tokyo.com
WEBサイト
https://tokyo-hop.com/

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東京ホップ育成レポート

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