持続可能な漁業を目指して

 東京都の水産業は、伊豆諸島や小笠原諸島などの島しょ地域を中心とした広大な海域を漁場として漁業が営まれています。
ここ10年の漁業生産量は3,000トン前後~4,000トン台を推移していますが、最盛期の昭和50年頃に比べると3割以下にまで減少しています。
 そこで東京都が力を入れているのが、「水産業振興プラン(※)」。
令和3年度から10年計画で、持続可能な漁業の実現と水産業の競争力強化に向けた施策を展開しています。
日々多くの水産物が消費される東京において、資源の持続性に配慮した漁業を実現していくことは、都の水産業振興の重要な責務です。
(※)https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/plan/nourin/suisan/

ブルーシーフードガイド東京都版

 東京都は水産資源の持続可能な消費を推進するため、2022年7月に一般社団法人セイラーズフォーザシー日本支局と協働して、持続可能な水産物のリストである「ブルーシーフードガイド東京都版(※2)」を完成させました。これは、2021年9月に両団体が締結した海洋環境保護に関する包括協定に基づいて作成したものです。
 「ブルーシーフードガイド東京都版」には、東京都の伊豆諸島や小笠原諸島で獲れるメカジキ、カツオ、ハマダイ、キハダマグロ、メバチマグロ、ビンナガが持続可能なブルーシーフードとして掲載されています。
また、世界最大級の魚市場である豊洲市場で売られている40種程の魚種も持続可能なブルーシーフードとして掲載されています。
(※2)https://sailorsforthesea.jp/blueseafood/blue-seafood-guide-tokyo

8月に開催された、第1回フェアにて(魚耕・西武池袋店)。

セイラーズフォーザシー日本支局理事長の井植美奈子さんに、お話を伺いました。

▪東京都と包括連携した経緯と目的をお聞かせください。
 持続可能な水産物リストを紹介する「ブルーシーフードガイド」の普及活動において、東京都と2021年9月14日に海洋環境保護に関する包括協定を締結しました。
この協定締結により、両団体は主に(1)持続可能な水産物リストであるブルーシーフードガイドの推進、(2)海洋環境の保全に係る普及啓発、(3)東京産水産物の持続可能な利用及び水産業の発展、の分野で協働し活動することを目的としています。

▪一般消費者へのPRはどのようにされていますか? 
 セイラーズフォーザシーでは、ブルーシーフードガイドの理念に賛同する様々な分野の組織、飲食店等について認定審査を行い、「ブルーシーフードパートナー(※3)」として認定しています。(2023年9月末現在、東京都を含む30の団体・企業・レストラン等が、都内のブルーシーフードパートナーとして認定されています。)
 この「ブルーシーフードパートナー」を介して消費者の皆様へ発信を広げてまいります。
特に、飲食店ではブルーシーフードガイドに掲載されているサステナブルなシーフードを、優先的に調達することが推奨されています。
 ・ブルーシーフードパートナーのレストランで、ブルーシーフードメニューを楽しむ。
 ・ブルーシーフードパートナーのお店で、新鮮なブルーシーフードを買う。
 ・ブルーシーフードパートナーの企業を、応援する。
など、消費者の皆様の毎日の小さな選択が、海と地球を守る大切な一歩につながることをお伝えしていきたいです。
(※3)https://sailorsforthesea.jp/sustainable

▪東京都が取り組むメリットやポイントを教えてください。
 他府県に比べて非常に有利なのは、東京は一大消費地であり産地と直結する豊洲市場を持っていることだと思います。
マーケットの大きさは日本一。全国の水産物が集積する流通のセンターというイメージですが、東京の島しょエリアから短時間で市場に納入できる強みがあります。
 TOKYOシーフードや新鮮なブルーシーフードを買うことで、魚の「地産地消」を進めてもらいたいですね。

▪今後の展望をお聞かせください。
 東京産ブルーシーフードの“ブランディング”に取り組んでいきたいと考えています。ブルーシーフードパートナーとの連携・協働に注力していきます。
また、教育面での充実も視野に入れています。現在は産官学の連携で大学との接点はありますが、小・中学生や高校生を対象にした「食育教育」を広げていこうと考えています。
 今後は、持続可能性に観点を置いた「食育教育」の一つとして、学校給食にブルーシーフードを取り入れてもらうことなどを想定しています。
東京都との包括提携の柱の一つ、「東京産水産物の持続可能な利用及び水産業の発展」をさらに進めてまいります。

▼一般社団法人セイラーズフォーザシー日本支局
 https://sailorsforthesea.jp/

一般社団法人セイラーズフォーザシー日本支局 井植美奈子理事長

【第3回】東京産水産物とブルーシーフードのPRフェアが開催されます

 都内で生産される水産物の消費促進を図るため、「東京産水産物」と「ブルーシーフード」のPRフェアを開催します。
第3回目の開催は、令和5年10月21日(土)~10月22日(日)に行われます。
みなさん、今こそ『魚の地産地消』を考えてみませんか?
TOKYOシーフードを知って、食べることでの“SDGs”。あなたも今日から始めてみてはいかがでしょうか。
ぜひ、ご参加ください!

https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/nourin/suisan/TokyoseafoodPR/

【開催店舗】(上記の日程で下記の株式会社魚耕店舗でフェア開催いたします。)
▪魚耕荻窪本店 東京都杉並区上荻1-9-1 荻窪タウンセブン地下1階
▪魚耕西武池袋店 東京都豊島区南池袋1-28-1 西武池袋本店地下2階
▪魚耕調布店 東京都調布市小島町1-38-1 調布パルコ地下1階
▪魚耕西武所沢店 埼玉県所沢市日吉町12-1 西武所沢店地下1階
▪魚耕武蔵浦和店 埼玉県さいたま市南区白幡5-19-19 武蔵浦和マーレA館1階
▪魚耕相模大野店 神奈川県相模原市南区相模大野3-2 ボーノ相模大野ショッピングセンター2階

東京グロウン/TOKYO GROWN

https://tokyogrown.jp/

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TOKYOシーフードで『地産地消』

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