「令和6年度 東京産小松菜給食レシピコンテスト」(主催:東京都農林水産振興財団)の最終審査と表彰式が、9月22日(日・祝)に開催されました。
このコンテストは、東京都が、地域における地場産農産物の利用をより一層促すため、都内小学校に在籍する児童のうち、4~6年生を対象に「学校給食で食べたいレシピ」を考えてもらい、広く東京産食材の魅力を周知する目的で実施されました。
当日は、一次審査(書類審査)への応募者47小学校64名から選ばれた5校5名の児童が審査会場の織田調理師専門学校で、自分が考案したレシピを自身で調理(30分間)し、そのレシピに込めた想いをプレゼンテーション(15分間)にて審査員にアピールする実技審査に挑みました。
使用する東京産野菜は「小松菜」
初開催となる今回のレシピで使用する野菜は、「東京産小松菜」です。
江戸川区の越塚農園で収穫された新鮮な「小松菜」が、児童のために用意されました。
小松菜の名称は東京発祥で、年間出荷量全国第4位(出典:令和4年農林水産省「作物統計」)を誇っています。
栄養価は緑黄色野菜の中でも群を抜いていて、ビタミンや鉄分やミネラルが豊富で、特にカルシウムは、他の野菜に比べてとびぬけて多く含まれています(出典:文部科学省「食品成分データベース」)。
入賞作品のご紹介
審査は、「調理技術」「プレゼンテーション」「料理の完成度」の3項目に基づき採点されました。
「調理技術」は、① 調理技術の高さ ② 適切に調理技術が出来ているか ③ レシピに基づいて調理できているか ④ 調理時間が管理できているか、の4つの基準。
「プレゼンテーション」は、① 表現力(レシピに込めた想い)が伝わるか ② 小松菜の良さや特徴が伝わるか ③ 栄養のバランスが考慮されているか、の3つの基準。
「料理の完成度」は、① 見た目のクオリティ ② 味のクオリティ ③ オリジナリティ、の3つの基準。
審査の結果、最優秀作品である「グランプリ」のほか、「小松菜賞(小松菜の使い方が優れている作品)」「料理達人賞(料理のクオリティの高い作品)」「プレゼンテーション賞(プレゼンテーション得点の高い児童)」「アイデア賞(料理のオリジナリティの高い作品)」が選出されました。
なお、審査員は、有識者3名(田中延子氏:元 文部科学省 学校給食調査官、白井秀子氏:元 栄養教諭/文部科学省 功労者表彰受賞、江口敏幸氏:元 栄養教諭 / 全国学校栄養士協議会 監事)、料理人1名(梅原陣之輔氏:八雲茶寮 総料理長)、主催者1名(松岡公介:公益財団法人 東京都農林水産振興財団 事務局長)の5名が務めました。
入賞作品は次の通りです。
【グランプリ】 高梨 藍(たかなし あい)さん 「小松菜とチキンのイタリアンカレー」
・レシピ紹介
小松菜を使った緑のグリーンカレーと、赤のミニトマトと、白のスライスチーズをトッピングした、イタリアンカラーのカレーを作りました。
・アピールポイント
鳥もも肉は、ヌルヌルして包丁では切りにくいので、調理ハサミでカットしています。
カレーの野菜を、火が入りやすいように薄切りにしました。
・感想
低学年の児童でも食べやすいように、甘口のカレーに仕上げました。
・審査員コメント
多くの野菜を使ったレシピは、野菜嫌いな子でも食べやすい工夫が施されているうえに、小松菜の緑など野菜の色を活かした彩り豊かな見栄えで高評価でした。調理技術の高さも印象的で、使い慣れた包丁で段取りよく作業を進めていく姿から、ご家庭でもよく料理していることがわかりました。これからもぜひ料理を楽しんでください。
【小松菜賞】 大山 陽介(おおやま ようすけ)さん 「栄養満点!小松菜の混ぜご飯」
・レシピ紹介
小松菜、ごま、しらすは栄養たっぷりな食材なので、ごはんに混ぜるとたくさんのいろいろな栄養が摂れます。
緑の野菜が苦手な人でも、たくさん食べることができます。
・アピールポイント
材料を変えたり、分量を変えたりして家族にアンケートを取ってこのレシピにたどり着きました。
・感想
小松菜はもともと大好きですが、レシピ作りは味の調整が難しかったです。今日はいつもどおり美味しく作ることができました。
・審査員コメント
自宅で4回も試作した力作で、しらすの塩分とごま油が小松菜とごはんを引き立たせ何杯でも食べられるほど美味しく出来上がりました。小松菜をたくさん使い、アンケートを実施しレシピを完成させた努力は小松菜賞に最もふさわしいものでした。
【料理達人賞】 荒川 桃花(あらかわ ももか)さん 「小松菜ボールのトマト煮」
・レシピ紹介
小松菜がたっぷり入った、ミートボールのトマト煮込みです。
・アピールポイント
ミートボールもふんわり柔らかく、トマトソースで煮込むことによって、小松菜が苦手な人でもおいしく食べられると思います。
・感想
自分で材料の分量を考えたり、珍しい体験が出来てとても楽しかったし、いい経験になりました。
これからも料理を続けていきたいです。
・審査員コメント
はんぺんを入れるなど、苦手な食材をどうやって食べられるようにするかといった工夫、また、調理中に煮詰まりそうなタイミングで水を入れたりするなど、臨機応変な対応が出来ていて素晴らしいと思いました。
【プレゼンテーション賞】 井出 心咲(いで みさき)さん 「小松菜味噌つくね」
・レシピ紹介
小松菜が入ったつくねです。豆腐が入っているのでフワフワです。肉だねに味噌と醤油を入れているので、焼いている時に調味料を入れなくて済みます。
・アピールポイント
小松菜が嫌いな人も食べやすいように工夫しました。小松菜のクセを抑えるために生姜を細かく切り、花かつおと和えました。小松菜の味を残すため塩もみはせず、茎のシャキシャキ感が残る大きさに切りました。
・感想
審査会場と家で料理するのはだいぶ違ったけど、色々サポートしてもらって、うまく料理が出来ました。
・審査員コメント
生姜のシャリシャリ食感、花かつお、醤油と味噌のハーモニー」と説明してくれた通りの美味しいお料理でした。しかも小松菜と豆腐を使っているのでヘルシーなお料理ですね。いつもお父さんにお弁当を作っているとのこと、お父さんも毎日嬉しいと思います。とても心温まるプレゼンテーションでした。
【アイデア賞】 小高 龍季(こたか りゅうき)さん 「小松菜ドライカレー」
・レシピ紹介
小松菜の緑を活かすため、カラーピーマンを使いました。
小松菜とピーマンは、フードプロセッサーだと細かくなりすぎてしまうので、包丁を使います。
・アピールポイント
セロリを入れることで、サッパリ味となります。
工程が少なく野菜をたっぷり摂れるので、季節に関係なく食べられます。
・感想
ごはんの真ん中にカレーを盛り付ける予定でしたが、緊張してしまい丸く盛り付けるのが難しかったです。
・審査員コメント
料理好きの少年、小高さんという印象を受けました。色んな材料を使い、たくさんのアイディアで美味しい料理に仕上げてくれました。ぜひこれからも、色んな材料で料理を作ってください。おめでとうございます。
入賞レシピ
入賞レシピの詳細は、本コンテスト特設サイトに掲載されています。
以下のコンテンツリンクから、ご覧ください。
審査員の梅原氏によるデモンストレーション
表彰式(結果発表)を待つ間に、審査員で八雲茶寮総料理長の梅原氏による、調理法で小松菜の味の違いを五感で感じるデモンストレーションが行われました。
児童は、プロの料理人による素材を活かし「蒸す」手法の解説に興味津々。
素材を料理に生かす手法を、学びました。
ご家庭で「食のあり方」や「東京の農業」について考えるきっかけに
表彰式では、審査員から以下のようなコメントが寄せられました。
・「材料に小松菜がたくさん使われていて、しっかり味わえました」
・「何度も試作を重ね、レシピを完成させた努力が素晴らしいです」
・「苦手な食材を食べてもらえるようにする工夫が光っていました」
賞状とトロフィーを手にした児童の皆さんの、コンテストをやり終えた達成感と安堵感が伝わる爽やかな笑顔がとても印象的でした。
受賞された皆さん、おめでとうございました。今後もたくさんの素敵なアイデアや挑戦を期待しています。
副賞として受賞者全員が、小松菜の収穫体験やプロの料理人が作る小松菜スペシャルランチを楽しめるツアーに招待されました。
ツアーの模様は、後日、レポートいたします。
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