職人の技が大事な「直火釜」
工場に入ると、大きな窯がずらりと並びます。
「ここでは、海苔を洗って貝などの異物を除去したり、煮る作業をしています。今日は、小魚を煮る工程を体験してもらいます」。
鍋の下に見えるのは勢いのある炎。これが、遠忠食品の特徴のひとつなんだそう。
「Eマークの認定を受ける条件として、“伝統的な手法で作られたもの”というのがあります。釜に直火をあてるこの作り方が、まさに伝統的な手法なんです」。
佃煮を作るとき、最近は蒸気釜が使われることが一般的。ですが、蒸気を熱源にすると釜の温度が100度ぐらいまでしか上がりません。それに比べ、直火釜であれば高温で煮ることが出来ます。
「中華料理をイメージしてもらうとわかりやすいと思うんですが、直火で高温調理すると違いがでるんです」。
高温で煮ると、どうしても焦げやすくなってしまうのが難しいところ。そこで経験のある職人の技が大切になります。大きなヘラを使ってかき混ぜる作業を体験したものの、動かすだけでも一苦労! 煮る作業は1時間ほどかかり、その間ずっと休まず様子を見ながら佃煮を作ります。大変な作業に頭が下がります。


