また小笠原に行きたいという希望が叶った2回目の赴任

小笠原・父島にある小笠原亜熱帯農業センターでは、小笠原の農家をサポートしながら、この地に育つ植物の研究を行っています。ここで所長を務める吉原恵子さんは、大学卒業後すぐ小笠原に赴任し、現在が2回目の赴任。最初の赴任を命じられた時、地図で小笠原を探してその距離に驚いたそう。初回の赴任では、トマトやシカクマメの品質向上や収量を安定させる研究に従事。所長となった現在は、若い研究員のサポートや施設の維持管理を行っています。

小笠原だからこそできる研究は、自信になるしチャンスでもある

東京都で亜熱帯の試験研究ができる場所はここだけ。日本全国を見渡しても、ここか沖縄のみです。日本において、小笠原亜熱帯農業センターで行う研究はとても貴重で「これにかけては自分が一番知っている」という気持ちで研究ができると吉原さんは語ります。
「海外には文献が多くても、日本で育てるとどうなるのか分からない植物はたくさんあります。私たちは亜熱帯での農業を牽引する大切な役割を担っているのです」

小笠原の農家が安心して農業に取り組める環境を作る

農家が農業を生業としてしっかり経営できるようにサポートするのも、小笠原亜熱帯農業センターの仕事です。小笠原の農業振興の発展、生産額を上げることはもちろん、小笠原の農産物をもっと知ってもらいたいと考えているそう。そのためには収穫量を安定的に確保しなくてはいけないため、小笠原の土地と相性が良く、たくさんの収穫できる苗を見極めたり、農家の仕事が楽になる作業方法を見つけたりと、センターの仕事は多彩です。

小笠原でしかできない研究に取り組める貴重な場所

所長として若手研究員を育成している吉原さんは、スタッフが気持ちよく働ける環境を作り、地元の農家と研究者が信頼関係を作れるように心を砕いています。
「私たちはどうしても数年間ごとに異動があり、ずっと小笠原にいられません。けれどそれで農家さんからの信頼を失うことがないよう、しっかり情報を引き継ぎ、いつも万全のサポートができるよう心がけています」
小笠原の農業が安定して発展していけるよう、吉原さんをはじめ小笠原亜熱帯農業センターのスタッフは今日も全力で研究に取り組んでいます。

吉原 恵子さんへの一問一答

QUESTIONS AND ANSWERS

Q.この仕事についたきっかけを教えてください。
A.生物が好きで、植物に関わる仕事がしたかったからです。
Q.やりがいを感じるのはどんな瞬間ですか?
A.農家さんから喜びや感謝の言葉をいただけたときです。
Q.オリンピックに向けて何か取り組んでいることはありますか?
A.特産品のパッションフルーツは6月までが旬ですが、オリンピックの時期に合わせた出荷ができる作型を試験しています。

小笠原亜熱帯農業センター

吉原 恵子さん/YOSHIHARA Keiko

RELATED ARTICLERELATED ARTICLE

トピックス

「フローリスト農家」が目指す、ちょっぴり豊かな暮らしの提案。

トピックス

【第12回】「まちのタネ屋さん」は進化する!~野村植産と東京西洋野菜研究会

トピックス

【第11回】ヤギのナチュラルチーズで新規就農! 東京の山地農業にも勝算あり「養沢ヤギ牧場」

トピックス

給食という名の愛と導き 中野区立緑野中学校 

トピックス

新春特別寄稿『都市に農地を創るときが来た』

トピックス

陽のあたる縁側 すぎのこ農園

トピックス

【第10回】目黒で農地を残すには?コミュニティの拠点として都市農地を守る  目黒区「八雲のはたけ」

トピックス

【第9回】小松菜400連作!「全量残さず出荷、それこそが一番のエコだと思う」 江戸川区 小原農園

トピックス

【第8回】落ち葉を重ねて数百年 『 武蔵野の黒ボク土』をコミュニティで掘り下げる! 三鷹市 冨澤ファーム

トピックス

【第7回】女性が主体となれる農業経営の仕組みづくり( 株式会社となったネイバーズファームの狙いと可能性)

ページトップへ