新品種「東京ゴールド」は偶然から生まれた?

東京都小平市で、野菜や果樹を栽培している中村園の中村利行さん。ブドウをつくってみたいという想いから東京都農林総合研究センター(東京都農林水産振興財団)で果樹全般の研修を受け、2000年から就農しました。その後、中村さんの父・康記さんがはじめていたキウイづくりを一緒にするようになりました。「最初は果実が緑色の“ヘイワード”など一般的な品種を栽培していたんです。キウイには雄木と雌木があって、受粉させると実がなります。ある日、父が雄の苗木を新しく買ったんですが、実はそれが間違えて販売された雌の苗木だったことがあとからわかりました。雄か雌か、というのは育ててみないとわからないものですから。それを伐採せずにそのまま育ててみたら、今までとは違う実がなりました。それが新品種の原木になったんです。センターの研修生だった頃に、お世話になった研究員にこのキウイのことを話したことがきっかけとなって、この品種の形質を調べるために栽培を継続しました。その後、「東京ゴールド」と名付けて、東京都農林水産振興財団との共有名義で農水省に品種登録を出願、平成25年に登録されました。東京で生まれた金色のキウイだから“東京ゴールド”。わかりやすいですよね」

▽東京の特産物(キウイフルーツ)
 https://tokyogrown.jp/product/detail?id=571239

▽食材ハンターがいく!(東京産のキウイフルーツ「東京ゴールド」をハント!)
 https://tokyogrown.jp/special/hunter/detail?id=715981

ぶどうから始めた果樹栽培

「東京ゴールドをつくっているせいか、キウイなどの果樹がメインの農園だと思われることも多いのですが、自分では野菜も含めた農業全般がメインの農園だと思ってやっています。果樹については、ぶどうづくりが面白そうだなと思ったのがきっかけでセンターに勉強に行きました。中村園は、東京ゴールドが代表の作物のようになっていますが、特にキウイだけにこだわりがあるわけではなくて、面白そうだなとか、ニーズがありそうだな、というものは積極的に取り入れるようにしています。最近だとパクチーをつくってみましたね。問い合わせも多くて、実際によく売れるんです。でも作業するとパクチーの匂いがすごいので、ほかの作物に影響を与えないように栽培するにはどうするかなど、課題もいろいろですね」。

趣味は農大!?

東京農業大学出身の中村さん。今も、学園祭やOBの集まりで積極的に母校と関わっているといいます。「学園祭の役員をやっていたこともあって、学校とのつながりは強いですね。卒業後は、OB会の事務的なことなどをやることが趣味のような状態です。デスクワークが得意というか、もしかしたら農業よりも、そっちの方がむいてるのかなと思ったりもします。農業は、いまだにわからないんですよ(笑)」。

積極的な情報発信を

中村さんは、自分でホームページを作成するなど、情報発信も積極的に行っています。「最初は、同じ地域の他の中村さんと間違えられないようにした方がいいな、ぐらいの気持ちで始めたんです。東京ゴールドで注目された時に、うちへの問い合わせが別の中村さんにいってしまっていて、ご迷惑かけるのもいけないなと思って。農業についての自分の考えなど、いろいろなページがありますが、世の中からどんなことに興味を持たれてるんだろうって、どのページが一番見られているかがわかるので面白いですね。一番見られているのは、東京農大仲間の結婚式などでもよく踊られる“大根踊り”のページなんですけどね(笑)」。

中村 利行さんへの一問一答

QUESTIONS AND ANSWERS

Q.農業をやっていなかったら何をしていましたか?
A.中学生の頃は弁護士になりたかったんですよ。しっかりと勉強して、何かになりたいと思っていたんです。もともと、研究や分析が好き、というのがあるのかもしれないですね。今も、農業をやっていても、なるべくデスクワークで済ませたいなあと思っている部分があるんです。
Q.都市農業の魅力はなんだと思いますか?
A.なんでも自由にできるっていうのが、一番面白いところじゃないですかね。何をつくってもOKというか。例えば、キャベツの産地だったら、それしかできなかったと思うんです。その点、都市農業はそういうこだわりがなくて、何を作っても何を売ってもOKというところがある。それは大きいです。例えば昔は、この辺りは養蚕をやっていたけど、戦争で食料難になって、さつまいもやカボチャをつくるようになった。戦後は食が洋風化して、トマトやキュウリを作っていた時期もあるし、東京特産のウドを作っていた時期もあります。そうやって、時代にあわせて変化してきたのが都市農業なのではないかと。だから、これからも残っていくだろうと思うし、将来への不安はそれほどありませんね。
Q.これからやりたいことはありますか?
A.「東京ゴールド」の2号がつくりたいなあと思っているんですよ。実は挑戦したこともあるんですが、うまくいかなかった。芽は生えたんだけど、それ以上育たなくて。キウイには雌雄があって、芽が生えても実がつく雌の個体は非常に生育が悪いということがわかりました。キウイの品種改良って、ほとんどがセンターでやられていて、農家が個人的にやることはほとんどないんです。それでも、2号がつくれたらいいなあとは思っていますね。

農産物直売所 ファームショップ中村園

中村 利行さん/NAKAMURA Toshiyuki

電話
中村利行 090-1459-3925
所在地
〒187-0001 東京都 小平市大沼町6-13-13
WEBサイト
https://tokyogrown.jp/shops/detail?id=604634

RELATED ARTICLERELATED ARTICLE

Tokyogrown's Producers ~生産者など~

多摩産材オーダー家具で暮らしも環境も良くしていく

農林水産体験レポート

奥多摩の森で自然に触れながら木育体験!

農林水産体験レポート

東京湾にいる生き物の魅力がたっぷりの水族園

Tokyogrown's Producers ~生産者など~

変化を恐れずチャレンジを

農林水産体験レポート

立川の新名所「GREEN SPRINGS」で多摩産材を感じる

Tokyogrown's Producers ~生産者など~

ヤギと暮らしてチーズを作る 小さな農家の魅力

ページトップへ