はじめまして!株式会社corot(コロット)の峯岸です。これから連載を通して、東京都内で非農家出身者が農業をはじめる「新規就農」とその活動を応援する者たちの集まりである「東京NEO-FARMERS!」の取り組みについて、みなさんにお伝えしていきたいと思います。
東京NEO-FARMERS!のことを知っていただき、応援したいなと思っていただけるきっかけになるように、その魅力や活動内容について様々な情報を発信していきます。

連載の第1回目は、東京NEO-FARMERS!とそれをサポートする株式会社corotの関わりから、活動をご紹介します。

東京NEO-FARMERS!と株式会社corotの関わり

東京NEO-FARMERS!は、もともと一般社団法人東京都農業会議を通じて、東京都内で新規就農した者や新規就農を目指す者、またその活動を応援する者で毎月夜な夜な集まっていた夜会が、直売などに取り組むようになり発展した集まりです。

※株式会社corotは、古民家付き農園「corot」をはじめ、ファーマーズマーケット「ころいち」、イタリア料理「ナチュール」を運営しています。
弊社は、東京NEO-FARMERS!の営業の窓口となり、販売やマルシェのコーディネートなどをサポートしています。単に窓口となっているわけではなく、販売戦略、作付けや栽培、出荷のコーディネートをはじめ、実際に集荷、販売するにいたるまで、東京NEO-FARMERS!と二人三脚で活動しています。
活動エリアとしては、あきる野市・小平市・青梅市・立川市・八王子市・日野市・瑞穂町・檜原村・三宅村、都外では相模原市などが中心になります。

東京NEO-FARMERS!の普段の活動

東京NEO-FARMERS!は、「新規就農者メンバー」「独立を目指すメンバー」「農表法人などで働くメンバー」「応援メンバー」など、多様なメンバーで構成されていますが、基本はメンバーごとに活動を行なっています。
今はコロナ禍ですのでなかなか集まれませんが、月に1回実際に集まり情報交換などをしています。オンラインでも毎月会議を行い、販売戦略や作付け会議などを行います。

新規就農者は、就農してからの最長5年間交付される資金(年間最大150万円)を活用しながら、5年以内に自立することを目標にします。
就農から3年までは様々な作物や経営方法などを試して4、5年目で方向性を決める人が多いです。
基本的に畑の規模が小さいため、少量多品目で作っているメンバーが多く、供給量も限られてくるため、数人でグループを作って同じ種類の作物を同じ栽培方法で生産し、ノウハウを共有して量と質を安定させる取り組みや、マルシェなどで少量の物も販売できる仕組みをバランス良く展開しています。

サポート側としては、例えば「品目を選ぶ際には、なるべく価格競争に負けないもの」を選び、「種苗会社とタイアップ」して種苗の手配や栽培指導を行うなど新規就農者でもなるべく生産の効率を上げられるようにフォローアップしたりします。

東京という生産地と消費地が近いメリットを活かし、「農業体験」や「CSA(会員制契約販売)」など幅広く柔軟な経営にも乗り出すメンバーも多くいます。

また、東京NEO-FARMERS!は、20代~30代の若者が中心となっており、女性農業者が多いことも特徴です。これからの活躍に期待が集まり、メディアにも取り上げられる機会が増えてきております。

東京NEO-FARMERS!との出会い

私たち株式会社corotと東京NEO-FARMERS!が本格的に取り組みを始めたのは約3年前のことです。
当初は、瑞穂、青梅エリアのチームを中心に会議を行い、各人の現状などを共有し、弊社ができることを擦り合わせていこうとしました。
ところが、東京NEO-FARMERS!をサポートしていくことは簡単なことではなかったのです。

弊社は、東京NEO-FARMERS!と出会う以前より、埼玉県で江戸時代から続く歴史ある農家の方々から野菜を買わせていただいています。
そこでは、長い歴史の中で経験に裏打ちされた農業技術が確立されており、まとまった農地、広い母屋、作業場、トラクター、ハウス、堆肥場など、農業の環境が充分に整っており…農業の現場はそれが当たり前だと思っていました。

さて、東京NEO-FARMERS!はというと、そもそも新規就農者なので2、3年程度の研修はしていますが、当然農業のノウハウは充分には確立されていませんし、さらに農地はあるものの、人によっては飛び地で作業性が悪かったり、農業機械や作業場もなかったりという状況でした。
雨を凌げる場所もなく、軽トラの荷台に幌をかけてその中にポリタンクを積んで大根を洗ったり、アパートのテラスに中古の風呂桶をおいて野菜を洗ったり…。
そんな様子を目の当たりにすることになり、私は自分の考えの狭さを痛感させられました。「こりゃ大変だ…」と思うと同時に、「なんとかしたいな」という思いを強く持ちました。
ノウハウがないのでできなくて当たり前で、私も未経験の職種で起業しており、何もないところから失敗を繰り返しなんとかここまでやってきたため、東京NEO-FARMERS!のメンバーのことを他人事にはとても思えなかったのです。

東京の農業と東京NEO-FARMERS!の可能性

日本の農業者の平均年齢は、67.8歳(2020年農業センサス)であり、農業者の減少も止まりません。
今、農業に従事している方々はとても貴重な日本の宝だと思っています。

私は、農家の持つ役割は大きく2つあると思っています。
1つ目は、「新鮮な農産物を生産、供給してくれる」こと。
東京の食物自給率は47都道府県で最下位の1%と言われています。
東京の農家の野菜を食べることはもはや貴重な体験になってしまっており、日本では昔から「身土不二」という言葉が表すとおり、その土地の物を食べ生活するのが良いとされていますが、現代ではそれがいかに難しいことかと痛感させられます。

2つ目は、「故郷の風景を守ってくれる」こと。
四季があり緑豊かな日本。この緑が守られているのは農家が農業を続けているからです。農家が農業を続けられなくなると新鮮な地の野菜だけでなく畑をはじめとした緑地も失ってしまうかもしれません。

地元東京の野菜を食べることは、緑豊かな東京を守ることにも繋がります。東京の農業を支え存続させることができれば、未来の子供たちに東京の田畑の風景を残すことができると思います。

今回は東京NEO-FARMERS!とそれをサポートする株式会社corotの関わりから、東京NEO-FARMERS!についてご紹介しました。次回以降、具体的な取り組みや活動の魅力についてお話していきたいと思います。

株式会社corot

代表取締役 峯岸祐高/MINEGISHI YUTAKA

古民家付き農園corot、地域内流通ころいち、イタリア料理ナチュール、世田谷BOUGHなどを経営している。
会社のミッションは”自然に寄り添う事業を通じて時代の流れを作り、関わる全てにいい影響を与える”こと。
東京の新規就農者団体東京NEO-FARMERS!といっしょに、東京の地産地消にも取り組んでいる。

グリーンコネクション東京 アドバイザー
狭山丘陵フェア実行委員会 委員長

電話
04-2930-4202
所在地
〒359-1145 埼玉県所沢市山口2040 ▼株式会社corot http://www.corot.co.jp/ ▼古民家corot https://www.corot.bz/ ▼東京NEO-FARMERS! https://www.tokyoneofarmers.com/ ▼グリーンコネクション東京 https://green-connection.tokyo/

BACKNUMBER

東京NEO-FARMERS!が東京の農業を考える。

RELATED ARTICLERELATED ARTICLE

トピックス

「自然の近くで暮らす」ライフスタイルも魅力的に! 新規就農7年目、繁昌農園が多くの人々を引き寄せる理由

トピックス

色で楽しむ東京野菜シリーズ ~『橙色』編~

トピックス

多摩地域唯一の村、檜原村名産のコンニャク ~伝統のバッタ練り製法が生み出す本来のおいしさ~

トピックス

女性農業経営者のホンネ! ~東京農業の未来を考える「東京農村」6周年スペシャルイベント~

トピックス

調布の農家が作ったアプリが大注目! 全国3万7千の農家が使う「アグリハブ」で生産性をあげる

トピックス

色で楽しむ東京野菜シリーズ ~『あか』編~

トピックス

生ごみを宝に!市民が活躍するコミュニティガーデン ~日野市 せせらぎ農園~

トピックス

色で楽しむ東京野菜シリーズ ~「きみどり」編~

トピックス

色で楽しむ東京野菜シリーズ ~基本編~

トピックス

「ガストロノミー」が、東京農業の新たな一手となる!

ページトップへ