料理人が認める濃厚な烏骨鶏の卵

東京都立川市、五日市街道を下ると突如現れる「烏骨鶏」の文字。その看板の先にある路地を進むと視界がひらけて伊藤養鶏場が姿を現します。ここ伊藤養鶏場は「東京うこっけい」の鶏卵を有名レストランに出荷し、中国では薬膳に使われる骨まで黒い烏骨鶏肉も出荷するなど、いま東京都内で注目が集まっている養鶏場です。こだわりの烏骨鶏の卵は色が濃く、味も濃厚で、都内の著名な親子丼の料理人も認める優れた逸品です。

代表の伊藤彰さんは6年前に婿養子として伊藤養鶏場を継いだ異色の養鶏家で、元々生産者としての興味はなく、経営者を目指していた普通の青年でした。人生の転機によって養鶏ビジネスの冒険家となった伊藤さんが何を思い卵と向き合っているのか、東京仕事人が行う独自の経営論を探ります。

婿養子から養鶏家になる異色の経歴

伊藤さんは元々不動産に係わる仕事に喜びを感じており、家を売る面白さに魅了され、いつか独立したいと東証一部上場の不動産企業で経験を積んでいました。「自分のアイデアを実現することが何よりも面白い」そう感じながら独自の経営論を構築してきた伊藤さんの人生には「養鶏場の伊藤さん」というビジョンはなく、人生の中で卵は作るものではなく買うものでした。

その人生は結婚を機会に大きく変わります。「結婚するのであれば、伊藤家に入り家業を継いでほしい」そう話す義父の言葉に対して伊藤さんは迷いなく養鶏家の道を選ぶのでした。もしかすると葛藤があったのかもしれません。それでも伊藤さんが不動産から養鶏にシフトチェンジしたのは彼の冒険家としての情熱と、やるならとことんやらないと気が済まない独自の経営論あったからだと思います。

独自の経営論による家族経営の体質改善

伊藤さんにとって不動産も養鶏も変わらず「ビジネス」でした。彼が伊藤養鶏場を継いで初めに行ったのは経営の見直しです。そして徹底的に行った衛生管理と体質改善。個人経営にありがちだったバランスの偏った管理体制を見直し、一般事業としてあるべき水準まで経営体制を持ち上げたのです。そうすることで義父の築き上げてきた養鶏場を活かした新たな養鶏スタイルを確立していきました。

誰しも新たな挑戦をする時、孤独さを感じながらも過去を否定して自分の情熱だけを頼りに進んでしまうかもしれません。でも彼は違います。彼はチャレンジの前に徹底的に運営基盤を固めました。それによって「強い伊藤養鶏場」が出来上がったのです。それがあるからこそ新たな挑戦は確実なものになります。かつて先人が成し得なかった烏骨鶏の肉の普及、老舗鶏料理店との烏骨鶏の新しい食べ方を模索、狙い通りの卵を作るために餌からカスタマイズするなど、多岐にわたる挑戦を伊藤さんは今なお続けています。

我が子が継ぎたくなる仕事を

彼が独自の経営論を展開し、生産者として徹底しているのは、彼が経営者として何かを成し遂げたいためではありません。

「自分は伊藤家の親と子どもの懸け橋となる存在です」そう彼は話します。

彼の使命は自己実現ではなく、婿養子として伊藤家に入ったことによる役目を果たすため、義父が築いた養鶏場をちゃんと子どもに託せる準備、そして子どもが継ぎたいと思える仕事を作ることだと伊藤さんは語ります。

「おやじ、おやじ、」と義父を本当の父親のように呼ぶ伊藤さんは、儲けだけを追求する経営者ではなく、未来のために自分に何ができるのかという独自の経営論を持った経営者です。

親子愛と家族愛が彼を強い経営者にしていきます。

東京の畜産物「東京うこっけい」のページはこちらから
https://tokyogrown.jp/product/detail?id=571286

食材ハンター「東京うこっけいをハント!」のページはこちら
https://tokyogrown.jp/special/hunter/detail?id=656724

とうきょう特産物販売店「伊藤養鶏場」のページはこちら
https://tokyogrown.jp/shop/detail?id=634515

レシピ「うこっけい卵のプリン」のページはこちらから
https://tokyogrown.jp/recipe/detail?id=571365

東京の食STORY再発見 第5話

東京動画で伊藤養鶏場の代表 伊藤彰さんが出演する動画を公開中です。
天野ひろゆき、岩井ジョニ男の「東京の食STORY再発見 第5話」
https://tokyodouga.jp/mslkj1nlg64.html

伊藤 彰さんへの一問一答

QUESTIONS AND ANSWERS

Q.東京の一次産業の魅力は?
A.東京には面白い人がたくさんいる。また人との距離が近いことが最大の魅力。企業とのビジネスチャンスも多く、個人でも気軽に買いにくるお客様がいるのは東京だからこそ。
Q.養鶏の魅力は何ですか?
A.他にはない自分だけのオリジナルを作れること。卵の色や味などお客様の流行や好みに合わせて少しの変化で自分の個性を出すことに面白味を感じています。
Q.伊藤養鶏場の卵の美味しい食べ方は?
A.うちの烏骨鶏はシンプルに「卵かけご飯」で食べることで卵の美味しさを感じてもらえるように作っています。もし可能でしたら、白身とお好みの調味料を先にご飯と混ぜて後から黄身をのせて黄身でご飯を包むように食べてください。うちの卵の味が一番伝わります。

ちなみにおやじは「ゆで卵」が一番と言っていました。笑

我々家族でも好みの食べ方が違うので、ぜひ色々と試してみてください。

伊藤養鶏場 三代目

伊藤 彰さん/ITO Akira

RELATED ARTICLERELATED ARTICLE

トピックス

「フローリスト農家」が目指す、ちょっぴり豊かな暮らしの提案。

トピックス

【第12回】「まちのタネ屋さん」は進化する!~野村植産と東京西洋野菜研究会

トピックス

【第11回】ヤギのナチュラルチーズで新規就農! 東京の山地農業にも勝算あり「養沢ヤギ牧場」

トピックス

給食という名の愛と導き 中野区立緑野中学校 

トピックス

新春特別寄稿『都市に農地を創るときが来た』

トピックス

陽のあたる縁側 すぎのこ農園

トピックス

【第10回】目黒で農地を残すには?コミュニティの拠点として都市農地を守る  目黒区「八雲のはたけ」

トピックス

【第9回】小松菜400連作!「全量残さず出荷、それこそが一番のエコだと思う」 江戸川区 小原農園

トピックス

【第8回】落ち葉を重ねて数百年 『 武蔵野の黒ボク土』をコミュニティで掘り下げる! 三鷹市 冨澤ファーム

トピックス

【第7回】女性が主体となれる農業経営の仕組みづくり( 株式会社となったネイバーズファームの狙いと可能性)

ページトップへ