農業デザイナーとして

NPO法人めぐるまち国分寺の南部です。「こくベジプロジェクト」でデザイン・企画・配達を担当している、いわば“野菜を配達する農業デザイナー”です。
野菜を配達する農業デザイナー…?何者?と思いますよね。
今回は、僕がこくベジプロジェクトでどのような仕事をして、この特別な関わり方にどんなやりがいを感じているかをお話しします。

今から7年前のこと。グラフィックデザイナーとして独立し、息子が生まれたのをきっかけに国分寺に転居。国分寺の畑に囲まれたアパートで生活を始めました。
時が経つにつれて僕がどうしても気になったことが、この短い期間にも周りの畑の景色がだんだんと失われていったこと。畑が宅地になっていく様子を寂しく感じていました。
そして次第に、デザイナーとして農業の分野で何か力になれることはないだろうかと考えるようになり、結果、農業に携わるデザイナー“農業デザイナー”として仕事をするようになりました。

農業デザイナーとしての作品の一部

「こくベジ」との出会い

農業関係のロゴやパッケージデザインのお仕事をいただくようになり、農業デザイナーとしての活動の幅が少しずつ広がってきた頃のこと。
国分寺市役所から、地方創生の一環で国分寺市内の農畜産物を使って、まちの活性化を図る企画の立ち上げに参加してくれないかというお話をいただきました。
詳しくお話を聞いてみると、国分寺に愛着がある僕の頭の中にまちを活性化させる企画アイデアが次々と湧きあがってきて、それを実現するために、NPO法人めぐるまち国分寺の代表の高浜さんと監事の奥田さんとともに、アドバイザーとして関わらせていただくことになりました。
僕とこくベジプロジェクトの関係はここから始まっています。

「こくベジ便」と“野菜を配達する農業デザイナー”の誕生

「こくベジプロジェクト」では、様々な話し合いを経て、「国分寺野菜を使って地元飲食店にそれぞれのオリジナルメニューをつくってもらう」ことを軸にするという方向性が決まりました。
ただ、せっかく協力してくれる飲食店さんが地元の国分寺野菜を買う手段が少ない、という問題がありました。

どうしたものかと悩んでいたある日、高浜さんから「南部さんと奥田さんで野菜を配達したらどう?」と言われたのです。

僕はデザイナーとしての役割を全うしようとしていたので、これには衝撃を受けました。でも、野菜を配達するデザイナーってなんだかおもしろそう。仲間たちと一緒にチャレンジする新しい取り組みにワクワクしてきたのです。
「こくベジ便」の誕生とともに“野菜を配達する農業デザイナー”の誕生です。

“野菜を配達する農業デザイナー”と『こくベジプロジェクト』

配達を始めると、まず農家さんと関わる機会が格段に増えました。農家さんとの会話が日常的になる中で、多くの農家さんから農業に対する様々な思いを聞くことになります。そうした環境で、自ずと僕自身の農業に対する理解や思いも深まっていきました。

「こくベジ」を中心にワクワクなときを過ごすマルシェ「こくベジのじかん」
国分寺の特産品である「東京うど」をテーマにした「うどフェスタ」
トマトの収穫時期に「トマトフェスタ」

こういった「こくベジ」の企画は、誰かの“あったらいいなぁ”という想いをきっかけに始まります。このきっかけはまさに、配達をする中で出会います。
「トマトがたくさんできるって聞いたから、なにかやりたいんだよね。」「うどって国分寺の特産品だからもっと売り出せないかなぁ。」「春になると野菜にも花ができるからそれを畑でちらし寿司にして食べたい。」などなど。

自分が配達をすることで、農家さん、飲食店さん、そして地域の人々の考えを直接知ることができ、それをデザインに活かせるだけでなく、ともにアイデアを練り、様々な人を巻き込みながら一体となって誰かの“あったらいいなぁ”を「カタチ」にしていくことができる。
配達を始める以前の仕事のスタンスは、デザイナーとしてクライアントから依頼を受けて納品するという、どちらかといえば受け身の形だったので、“野菜を配達する農業デザイナー”となったことで、地域の農業を盛り上げていくために周りの人と積極的に関わり、ともに考え、ともにつくり、ともに楽しむことができるようになったことは、僕にとって大きな変化であり、喜びになっています。

農家さんだけでなく、配達先の飲食店さんとの関わりも増え、新店舗のロゴや記念品のデザインを依頼していただけるようになり、デザイナーとしての幅も広がりました。“野菜を配達する農業デザイナー”だからこそ開けた道だと感じています。


僕が「こくベジ」に関連するデザインで大切にしていることは、〝ともにつくる〟こと。
そして地域の人々に長く親しまれる企画にチャレンジし、「こくベジ」が人々の日常に溶け込むことを意識してデザインしています。
「こくベジ」の持つワクワク感や楽しさが、いつの間にか暮らしの中に当たり前にあるように「こくベジ」との出会いをデザインできたらと考えています。
これからも、“野菜を配達する農業デザイナー”として、みんなとともに「こくベジ」から新たなチャレンジをしていきたいです。

※今回のコラムは農産物を軸にした「まちの活性化」に焦点を当て、NPO法人めぐるまち国分寺の皆様に執筆を依頼しました。

NPO法人 めぐるまち国分寺

南部 良太/NANBU RYOUTA

1984年宮崎県生まれ。子どもが生まれ、たまたま住んだ国分寺で周りに畑が多いことから農に興味を持ち、農業デザイナーに。
国分寺市とともに 「こくベジプロジェクト」を立ち上げ、デザイン・企画・配達を担当。
赤坂見附に ある「東京農村」のディレクション・デザインを担当。
一般社団法人 M.U.R.A.代表理事。NPO法人めぐるまち国分寺理事

NPO法人めぐるまち国分寺

所在地
東京都国分寺市本多一丁目13-7

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こくベジのある暮らし

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