年齢や人種を越えて作業するおさかな研究会のメンバー
八丈産おさかな研究会には、現在男性2名を含む18名が所属。なかには外国人のスタッフもいて、人種や年齢、性別を越えて、魚食の普及に力を合わせています。穫れたての魚をさばき、ひとつひとつ野菜を刻むスタッフ。笑顔あふれる作業場ですが、学校給食に食材を提供することもあり、衛生管理は徹底されており、彼女たちの真剣な眼差しからは、プロフェッショナルとしての自負が感じられました。
八丈島では、長年漁業が八丈島の人々の生活を支えてきました。漁業が島にとって大切な産業である一方、環境の変化による漁獲量の減少、漁業者の高齢化、そして魚の消費量の減少といった問題を抱えていました。そんな時、漁師の奥さんである山下ミヤ子さんを中心とする八丈島漁業協同組合女性部は、八丈島の学校給食に、島の魚が使われていないことを知ります。
「安心して食べられる島の魚を子どもたちに食べてもらいたい。」その思いに駆られ、島の魚を学校給食に提供するために彼女たちは奔走しました。その結果生まれたのが、魚を加工する工場と「八丈産おさかな研究会」です。彼女たちが最初に目をつけたのが、ムロアジとトビウオ。ムロアジはとてもおいしいのですが、身がすぐにやわらかくなってしまうため、鮮魚として島外に出荷するには難がありました。トビウオについても、販売が思うように伸びず、どちらの魚も新たな販路が求められていました。「どんなふうに加工・調理すれば、子どもたちに喜んで食べてもらえるか一生懸命研究しました。」
そう振り返る山下さんたちがたどり着いたのが、ムロアジとトビウオのミンチ。真空パック詰めにされたミンチは、さつま揚げやメンチカツなど子どもたちの喜ぶ料理に姿を変え、学校給食で重宝されるようになりました。山下さんたちは現在、さらなる「魚食」を普及させるべく、島内外の小中学校に出向いて、魚の捌き方や料理を教える食育授業も行っています。また、給食を作る栄養士さんたちにトビウオやムロアジが給食用食材として広まっていないことを知ると、彼らに向けた講習も行うようになりました。魚を食べてもらうことが島の生活を支え、ひいては日本の漁業を支えていきます。一見遠回りに見える地道な活動ですが、着実に成果を上げ始めています。
八丈産おさかな研究会には、現在男性2名を含む18名が所属。なかには外国人のスタッフもいて、人種や年齢、性別を越えて、魚食の普及に力を合わせています。穫れたての魚をさばき、ひとつひとつ野菜を刻むスタッフ。笑顔あふれる作業場ですが、学校給食に食材を提供することもあり、衛生管理は徹底されており、彼女たちの真剣な眼差しからは、プロフェッショナルとしての自負が感じられました。
八丈産おさかな研究会では、商品を購入することもできます。ムロアジのおかかソフトふりかけや、削り節、冷凍メンチカツなど、料理する人のことを考えて使いやすい形に加工。なかでもおすすめは、八丈島の木で薫製にしたムロ節ちぎりです。これを使って作る炊き込み御飯は、香ばしいスモークの香りが食欲をそそる絶品なので、ぜひ試してみてください。
東京動画で八丈島漁業協同組合女性部の皆さんが出演する動画が公開中です。
天野ひろゆき、岩井ジョニ男の「東京の食STORY再発見 第4話」
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