代々守り継ぐ、伝統のくさや

八丈島神湊港の近く、島のネコたちが日向ぼっこをしている路地を歩いていると見えてくる「マルタ水産加工場」。この加工場で伝統のくさや作りを守り続けているのが、八丈島水産加工業協同組合の代表も務める浅沼 拓仁さん。八丈島生まれで一度島外で教師の仕事をしていたが、父親との約束で島に戻ってきたそう。

子供の頃からくさや作りに親しみ、仕事をする両親の姿を見てきた浅沼さん。島に帰ってきても戸惑いなく、すぐにくさや作りに打ち込めました。くさや加工場が年々減少する中、その伝統を受け継ぎ、守っています。

傷みやすい魚を保存する先人たちの知恵

八丈島の主なくさやの原料はムロアジやトビウオ。実は九州から仕入れたほうが安いのですが、マルタ水産では八丈の魚にこだわって作り続けています。

くさや作りはまずは魚を開くところから。ムロアジは傷みやすいのでお腹から、トビウオは背中から開きます。昔は手作業でしたが、現在は機械化し、1時間で約500Kgの魚を開けるそう。その後、手作業で内臓を取り、水でキレイ洗ってからくさや液へ。魚の種類ごとに、くさや液の塩分も違います。そうして丸一日漬けた後、さらに真水に4、5時間漬けて乾燥機へ。かつては天日干しでしたが、雨の多い八丈島では乾燥機が必需品。

こうして手間暇かけて作られたくさやは真空パックや瓶詰めにされ、店頭に並ぶことになります。

偶然が生んだ奇跡の食べ物

くさやの歴史は謎が多く、塩水を使いまわしながら干物を作っていたところ、偶然出来上がったという説が有力。八丈のくさや液は伊豆諸島・新島から買い取ったのが始まりで(昭和20年当時の価格が40ℓ30万円(現在の価値で約3000万円)したというから驚き!大変高価なものでした。)長年にかけて調合を繰り返し、引き継がれ、八丈の味へと変化してきました。

八丈島のくさや液は伊豆諸島の他の島々に比べ、塩分が高いのが特徴で、塩分が高いと匂いが抑えられる効果があります。また、真水に漬ける時間も他の島より長いため、匂いが少なく食べやすいと評判になっているんだそう。

くさやの美味しさを知ってもらいたい

くさやを食べたことがない日本人が多いと危機感を感じている反面、近年では海外からの問い合わせが増えてきたそうです。チーズのような独特の発酵臭が、ワインやパンによく合うと注目されています。2020年のオリンピックに向けて、海外の旅行者に是非オススメしたい、日本の伝統食品です。

イイシナ販売店「マルタ水産加工場」のページはこちらから
https://tokyogrown.jp/e_mark/shop/detail?id=572019

イイシナ「マルタ水産加工場」のページはこちらから
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農林水産体験レポ「AIGAE KUSAYA BAR」のページはこちらから
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THE 東京仕事人「新島水産加工協同組合代表理事組合長」のページはこちらから
https://tokyogrown.jp/special/professional/detail?id=571353

代表 浅沼 拓仁さんへの一問一答

QUESTIONS AND ANSWERS

Q.くさやの美味しい食べ方は?
A.焼きたてのくさやにマヨネーズ。
外国の方はマスカルポーネチーズにディップして食べているみたい。
Q.八丈島の魅力は?
A.とにかく海!とてもキレイで魚も美味しいです。
Q.2020年オリンピックに向けて
A.八丈島に聖火リレーが来るので、くさやの魅力を知ってもらおうと画策中です!

八丈島水産加工業協同組合(マルタ水産加工場)

代表 浅沼 拓仁さん/ASANUMA Takuhito

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